ネットのニュースを見ていたら、こんなタイトルを目にして思わずクリックしました。
学校で習った英語が“炎上”を招く!? 知らなかったでは済まされない“ヤバい英語”
元記事はこちら
記事を読み進めてすぐに、これは“ヤバい宣伝”であると思い、ブログネタとして格好の批評対象になりました。
これは、デイビッド・セインさんの「もしもネイティブが中学英語を教えたら」(アスコム/刊)という書籍の宣伝でしたが、記事にはこんなことが書いてありました。(赤文字は記事の引用です。)
もしもネイティブが中学英語を教えたら (アスコム英語マスターシリーズ)/アスコム
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危険な断り文句「No, let’s not.」
「Let’s have lunch!」と誘われて、「ちょっと今は無理そうだから」と断りたい時、「No, let’s not.」と言っていませんか?(中略)実は「No, let’s not.」は、「いいえ、そんなことしませんから(笑)」と、ちょっと相手をバカにした返事に聞こえてしまう表現。
「いいえ、そんなことありませんから(笑)」 ← キツイ言い方ですね…
字面だけを追えば、これも当てはまります。ただ、重要なのは口調と表情です。
また、その記事の続きにも関連しますが、日本人であれば「Sorry」など、申し訳ない気持ちも自然に伝えるのが普通ではないでしょうか。(日本人は日本語でも英語でも、この言葉をよく使います。)
私は、英語ネイティブとの会話で「No, let’s not.」という表現を聞いた記憶はないのですが、これを間違いと断定することはできないと思います。
こんなことを言い出せば、英語ネイティブが普通に使っている、提案されたことに対して「私は結構です。」の意味である「No thank you」も「有難迷惑だ」とも訳せるので危険です。要は、口調と表情、そして状況です。
炎上を招く「Thank you for your effort.」
おかげさまでうまくいって「努力してくれてありがとう」とお礼の気持ちを伝えたい、という時、日本語を直訳して、「Thank you for your effort.」と言ってしまったら、その場が大炎上するかもしれません。
日本語では「努力」はポジティブな意味なのですが、英語のeffortは、「報われない努力」「骨折り」といったネガティブな意味で使われます。
デイビッド・セインさんの周りの方はそうなのでしょうか?
私は、この表現はポジティブな(良い)意味で普通に聞きますが…。
ただ、「おかげさまでうまくいった」場合に、日本語において「努力してくれてありがとう」という表現は、あまり使わないでしょう。使う状況としては、友人や親しい仲といった対等な場合や、部下や後輩に限られるのではないでしょうか。
では目上の人などにはどう言うでしょうか?
かしこまった言い方まで必要ないとすると、きっと「お手伝いいただきまして、ありがとうございました。」とか「おかげさまで、助かりました。」などと言うでしょう。
これなら「Thank you for your help.」が適切です。もちろん、ここでも口調と表情が重要なのは言うまでもありません。
ほとんどの日本人は、礼節をわきまえた言葉は得意のはずです。
「Where is my wallet?」で周囲が敵に!
「あれ? 財布が見当たらない!どこに行っちゃったのかな?」
こんな時、「私の財布どこ?」を直訳して「Where is my wallet?」と言ったら、大変なことになります!(中略)
「あんたたち私の財布、取ったでしょ?どこなのよ?」と疑っているように聞こえてしまうため、ネイティブは絶対に使わないといいます。
日本語でも、人の顔見ながら「私の財布どこ?」なんて聞きません。
こんな聞き方をしたら、たいへんなことになるのは当たり前です。
状況としては、財布がなくてあわてている、さらには自分のポケットないしは周辺を捜していることでしょう。
また、「どうした?」と聞かれ、「財布をなくした」(I lost it (my wallet).)とか「財布が見つからない」(I cannot find it (my wallet).)などと続くのが普通です。
私の知り合いの、とあるイギリス人は、しょっちゅう何かをなくすので、その度に「Where is…」「I lost…」と言って一人であわてています。
私の反応は、あくまで にこやかにですが「Again?」(また?)なんですけどね。(笑)
このように言葉尻だけをとらえて、これは間違っている、と断定することは無意味です。
さて、この記事を読んで、デイビッド・セインさんって何者?と思い、ざっとウェブサイトを見てみました。また、動画もありましたので、いくつか観てみました。
すると、この記事の印象とはかけ離れた、とても感じのいいアメリカ人のおじ様でした。
デイビッド・セインさんの著書は読んだことがないので、何とも言えませんが、この記事を見る限り、出版社の“ヤバい宣伝”のような気がしてなりません。
くれぐれも、こんな宣伝文句を前に委縮しないでくださいね。
「デイビッド・セイン英語ジム」を運営されているようで、有名な方なんでしょうか。
文章が長くなってしまったので、今日はここまでにしますが、デイビッド・セインさんのウェブサイトに興味深い内容がいくつかありましたので、改めて書きたいと思います。
今日もお読みくださり、ありがとうございました。