いやあ、最近毎日花火が見られるねえ。
赤い花火ばかりかと思ったら、昨日は青いやつだったよ。
そうだね。おとといなんざ黒い花火だった。
えっ?
黒い花火なんてあるんかいな。
なにを言ってんだい。
よく上がってるけど、夜空だから見えないだけさあね。
ああ、なるほどね。
しかし、あんまり花火が多くって、飽きてきたなや。
おっと、おめえさんの足元にもなんだか炎が見えますぜ。
あれっ。
花火に気を取られて、火の粉が燃え移ったのに気付かなかったよ。
ダメだなあ。
川向こうの花火ばっか見てないで、少しは自分の身の回りにも目を向けなくっちゃね。
あれっ。
そう言うお前さんの家が燃えてやすよ。
あら。本当でげすな。
こりゃ、人のこと言えませんな。
はっはっはっは。
そうですなあ。
あっしも背中に火が燃え移ったらしいや。
いやあ、お互い様ですなあ。
はっはっはっは。
はっはっはっは。
暮れの夜の、なごやかな会話である。