事務所のあるマンションから出てくると、でかいショーウィンドウが毎度目に飛び込む。「どんなブランドのお店なんだろう、変わった洋服が置いてあるよなぁ」と興味もなく過ごしてきたけど。「なんかステキ」と思う洋服やストッキングだったのでパシャリ、と写真撮影。
2022年1月30日撮影(Photo by BLM)
商標出願代理を仕事にしているのに、ブランドの記号に興味がない一方、外観デザインには感覚的に反応してしまうワタシ。
ヨックモックの店舗(ヨックモック青山本店ブルー・ブリック・ラウンジ)の屋根の青色(左上)と、ここのショーウィンドウの赤色(左下)が惹き立てあっていました。
2022年1月30日撮影(Photo by BLM)
で、なんて名のお店なんだ?? ちょっと拡大。「UNDERCOVER」と。
ちなみにその下には「JUN TAKAHASHI」の文字。右上には登録商標を表す®️や、著作権を表す©️かと思いきや、(U)(丸ユー)の文字が。この手は良いですね。®️や©️をつけるのは、ちょっとカッコ悪い? そんな時、自分のブランド名などを丸の中に入れてみる。そうすると、ちょっと特別な記号感、出ますね。要するに識別標識である旨、他のデザインに埋没しなければ良いので、こういう表示もありだなぁと思いました。
ちなみに、©️の効果については、裁判例あり(ピーターラビットのロゴ事件 平成14年12月27日判決 東京地裁平成12年(ワ)第14226号、同平成14年(ワ)第4485号)。
2022年1月30日撮影 (Photo by BLM)
で、これを手がかりに、さっそくJ-PlatPatで検索。
「株式会社アンダーカバー」さんを権利者として、複数の登録商標がありました。
例えば、登録第4207134号では、以下の商標が登録されています。
指定商品は、第18類 かばん類,袋物 です。
他にたくさんの商品区分で、この商標が登録されています。
「なんと、国産ブランドでしたかあ。」BLMとしては、この店の前のマンションの一室に、小さな事務所を構えて今年で10年になりますが、知りませんでした…。
ある時は、ショーウィンドウは、「蛾」「蛾」「蛾」のデザインが。なんとユニーク、少々人が嫌がる虫の絵柄、毎日、出入りする身にとって、「嫌がらせかぁ」と軽く思いましたが、デザインの素材としては独創性あり、で、許せました
2021年12月29日撮影 (Photo by BLM)
Wikipedia 情報によれば、「UNDERCOVER(アンダーカバー)」は、高橋盾氏が「1989年に設立したアパレルブランド。株式会社アンダーカバーにより展開する」とある。「1990年代、東京の裏原宿系ブランドの代表格として若者を中心にブームを巻き起こした」とも。さらに、同ブランドのHP(こちら)には、その歴史が書かれています。好きな人にはたまらないんでしょうね。
さらに「こちら」のほぼ日刊イトイ新聞には、「90年代、「裏原」のころ。」とのタイトルの下、鈴木哲也氏との対談が記載されています。「裏原」が“何を発明したのか”、つまり『ブランドとしてのアイディアや世界観のほうが先にあって、そこを起点にアイテムをつくっていった』などと書かれていて、面白いです。
というか、そうか、上記日刊イトイ新聞には、『若き日の高橋盾さんとNIGOさんが、
原宿にオープンした「NOWHERE」という伝説的なショップ』で、『高橋盾さんは「UNDERCOVER」で』などとお話しされています。 (『』内引用。)
そんなすごいブランドだったのですね。どーりで、休日は人が並んでいる訳です。ファッション好きや、この世界を目指している若者の聖地なのかもしれません。(観光地に住んでる人、京都の人とか、スペインの片田舎の人とか、こんな感じなのかな、なんか普通に暮らしてるけど、実は、みたいなぁ)
上記「こちら」のほぼ日刊イトイ新聞には、「90年代、「裏原」のころ。」とのタイトルの下、鈴木哲也氏との対談は、とっても面白いのでぜひ読んで。で、続けて読んでいくと、鈴木氏が『受け取る側の感性に優れた「探す天才」たちが探しても見つからない自分たちの「欲しいもの」をかたちにしたんだと思う。』と述べておられる。『それが、裏原。』と対談相手が一言。さらに対談相手が『大きなアパレル会社のつくった洋服を、消費する人の話じゃなくて。』と一言。これに対し、鈴木氏が『あくまでも、選ぶ側、買う側の目線で、モノをつくっていたんじゃないかな。』と。
(『』内引用。)
こう読んでいくと、まの抜けたワタシの存在(≒大衆≒感度の弱い人≒別に悪いことではない)としては、ワタシの知らない頭のうえで、キャッチボールをしている人たちが、この店舗を支えているように思います。表参道はそんな街だ。デザインより、アートの街という感じがする。アートに隠された意味が読めないとその価値がわからない。価値が読める人間は、より価値を感じ、そのアート作品(ブランド商品)は、より価値を増す、という仕組みになっているのだろう。そして価値がわかる人間の社会が創られる…。
ちなみに、弁理士的には、登録商標が「UNDER COVER\JUN TAKAHASHI」となっているのが気になる。商標を使っていくうちに、「UNDER」と「COVER」を途中でくっつけようということになったのかなぁ。J-PlatPatで登録情報を見ていくと、2013年辺りから、「UNDERCOVER」一連の商標の登録も散見されるように。
登録商標と使用商標が社会的同一が必要だけど、社会的同一と言える範囲かな。言えない場合でも、どこかで「UNDER COVER」と使用していれば、不使用取消審判で取り消されないとは思うけど。
まあ、そんな野暮な話はどうでも良いか
(^u^) ====================================
知的財産-技術、デザイン、ブランド-の“複合戦略”なら、
ビーエルエム弁理士事務所(兼・今知的財産事務所BLM相談室)
の弁理士BLMと、今知的財産事務所の弁理士KOIP
======================================== (^u^)