~明日も生きていくあなたへ~
ようこそいらっしゃいませ
スピリチュアルヒーラーのみずほです。
俳優座劇場で上演している舞台『嘘』を
観てきました。
フランスの作家フロリアン・ゼレールのヒットコメディ。会話に惹き付けられました。
海外のお芝居が日本語に訳されるとき、
翻訳者によってイメージが微妙に変わるんですね。
翻訳者さんの人生観とか引き出しがいくつもあって、同じセリフでも訳によって伝わりやすくなったり、感性だと思います。
今回も翻訳が素敵で親しみやすい
楽しいお芝居でした
『嘘』は、フランス人の恋愛観に彩られる、
エスプリの効いたドラマ。
親友同士の夫婦(ポール&アリス、ミッシェル&ロランス)によるダブル不倫のお話しなんですけれども、ネタバレしてしまうので内容はくわしく書きませんが、
これは不倫なんだ!と思って観ていても、
ちっとも面白くない。
男女の恋愛のあるあるを楽しむ
心理を見せられて…そうそう!と思ったり
苦笑いしながら、自分だけでこっそり頷いて、
どこか肯定してしまうところが、このお芝居の面白さなんですね。
お客さんは男女半々。
大人が多かったけれど、前の方で笑っている男性のお客さんは純粋にお芝居を楽しんでいる感じ。
わたしの周りのシニア男性は、
やたら体を動かして笑うに笑えず
ポイントを掴まれているみたい
全般に男性はだんまりと息をのんでいる感じがまた面白かった
『嘘をつくことだって愛情なんだ』
とアリスに主張するポール。
言わなくてもいいこと、相手を傷つけてしまうくらいなら、黙って嘘をつくのも相手に対する愛情の印だと考える男と、
『真実を言って!真実が知りたい』
と尋問するアリス。
たとえ傷つくような真実だとしても、知らないで悶々と苦しむよりはキッパリできる…。
真実を語ることこそ愛情だと考える女。
すべての男女に当てはまるわけでは
ありませんけれど、
黙して語らずを通す男性と、語ってくれないのは愛が冷めたと絶望する女性。
でも感情という目に見えない、形のないものを説明するのが苦手な男性と、感覚感性で理解できる女性とはもともと持ってきているものが違うんですね。
だから女性は複雑な動きをしてしまうこともあって、
アリスの心の内はもちろん別のところ(断ち切れていない不倫相手)にあるのだけれど、
夫(ポール)の愛情に何か不信はないか…
夫にも浮気の過去がないだろうか…
気持ちのやり場に迷うアリスはお互いの関係をめぐって議論をしかけていくんですね
う~ん面倒くさい(笑)
愛情の議論って当事者がエスカレートして
収まりがつかないとエンドレスになっていくし、お互いに相手のせいにしまうしね
どこかわたしにも覚えがある(笑)
でもじつはこの議論ってよ~く観ているうちに
相手不在だと感じたのです。
男と女の真実と嘘…
議論すればするほど相手が見えなくなって
しまう。
すべて信じるのも疑うのも
自分次第なんですね。
それこそ自分の内側に精密正確なセンサーがあります
そこが嘘だと感じるか、真実と感じるか。
そこだけなんですね。
もちろん女性は言葉を求めたくなるし、
そこで愛情を確認したい。
もっと言えばそこで共感が生まれるので安心できるんですよね
『真実を言って!』
『僕はちゃんと真実を話している』
『嘘じゃないの!本当なのよ』
『もしそれが嘘だとしたら…』
こんなセリフの応酬にひたっていると、
会話=議論であっても、
もともと会話好きなフランス人にとっては、
キツイやり取りがスパイスになって、関係を刺激し合えるのかもしれません
日本ではまだ、夫婦や恋人が向かいあって、
真面目に激しく愛情を語り合うのは難しいかもしれません。
真実と嘘をめぐってケンカに発展しそうで、刺激にはならないかも(別れ話が持ち上がるかも?)。
そこは別の機会で書いてみたいと思います。
しかしポールはよく喋る!
お芝居だから面白いですけど、実際こんなお喋りだと、わたしは心配だな(笑)。
喋る分だけ足跡をつけているみたいで、
まあ愉快といったら愉快だけども。
本当は男性の方が正直で、
嘘をつくのが苦手で
その分、真実をお喋りでカバーして訳がわかなくなっていくのかもしれませんけど、
心の中は震えているはず
そんな不慣れな不器用な?
男性のみなさん(女性のみなさんも)
道ならぬ恋愛のモヤモヤに
ガチで対決するフランス人カップルを
お芝居で観て、
ひそかに頷いて、あるいは高揚して、
痛いところを見せられて、
何となくハートが熱を帯びていけばいいな、
と思うのです。
俳優座劇場の『嘘』は明日まで。
チケットのお問い合わせは
劇場:03-3470-2880
みずほ