輪廻転生 | ショートショートはいかがですか?

輪廻転生

死んじまった。

うかつだった。

まさかあんな空いてる道にトラックが突っ込んでくるなんて。



競馬、麻雀、パチンコ、スロット・・・。

まあ、借金に追われてろくな人生じゃなかった。

ここは生まれ変わって1からやり直すとするか。
















暗いトンネルを抜けると、受付を待つ行列ができていた。

フラフラの老人から産まれたばかりの赤ん坊までいる。

大声で笑ってる奴もいればギャーギャーと泣き喚く奴もいる。

1日に死ぬ人間がこんなに多いとは知らなかった。














やっと俺の番が回って来た。

















「お名前をどうぞ」

受付の女性が笑顔で聞く。














「Mだ」










「Mさんですね」

そう言うと受付譲はパソコンに入力を始めた。






















「え~と、5000ポイント貯まっておりますがどう

なさいますか?」

















「あ?どうって、生き返れるのか?」













「残念ですが生き返るにはあと95000ポイント足りません。

このポイントだと生まれ変わってになれます」

受付譲は慣れた口調で言う。














「犬だと?せめて人間にしやがれ!」














「申し訳ございません。

人間に生まれ変わるにはあと45000ポイント必要です。

お客様のポイントではちょっと・・・」









「ふざけるな。人間に生まれ変わらせろ!」






「そう言われましても・・・。お客様の普段の行いから出たポイント

が5000ポイントなので・・・」












「そのポイントってのはどうやって決まるんだよ。貸しやがれ!」

俺はそう言って受付譲が見ているパソコンを奪い取った。













そこには俺が人生で行った善行、悪行、嘘を付いた数や友達の人数、

生き物を殺した数など様々な行いが数値化されていた。













「おい。もうどうしようもないのか?」











「ええ・・・」



受付譲は申し分けなさそうな顔をしてみせた。













「本当にもう人間にはなれないのか?」



俺は受付譲の肩を掴んだ。




















受付譲は小さくため息を吐いた。

















「方法はありますが・・・、でも・・・」












「なんだよ。いいからその方法を教えろ!」






























































こうして俺は生まれ変わりを賭けてカジノにやってきた。






















全くふざけた話だ。

あの世に来てまでギャンブルとは。














しかし、俺はずっとギャンブルとともに歩んできた。

こればっかりは素人よりも詳しい。

俺はみるみるうちに自分のポイントを増やしていった。





















「お客様。本当によろしいですね?」

ルーレット台の前で、ディーラーが無表情な顔で言う。












「ああ」



俺は最後の大勝負に出た。

手持ちのポイントを全部賭けたのだ。

ギャラリーが俺の周りに集まってくる。




これが当たれば財閥の御曹司に生まれ変われる。

外れたら?

ふん。

リスクを恐れていてはリターンを得ることはできないのさ。













ディーラーはホイールにゆっくりとボールを投げ入れた。
















































































































雲ひとつないよく晴れた空の下、真っ青な広い海の底で、

小さな小さなプランクトンが生を受けた。



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C王子のペット『夢見るバク』です。
Boojilさんから預かっています。