りーちゃん一家が住んでいるのは、まあまあ多くの世帯が住むマンションである。毎年、お祭りのようなことをしていて、今年も行われた。


一家に一枚、お祭りの抽選券とかゲーム券などのものが配られる。子ども向けのものばかりではあるので、お兄ちゃんにとってはもはや興味の対象外だが、りーちゃんにとってはまだまだ楽しめるものばかりである。


ダディは別件があったので、りーちゃんと2人で行くことにしたマミ。マンションの敷地内なので、ワンオペでもりーちゃん対応にさほど不安はない。ゆっくり起きて遅い朝ごはんを食べたあと、りーちゃんを誘う。


「りーちゃん、お祭り行く?お買い物してくれる?」と声をかけるマミ。お祭りには出店のようなものも出ている。近隣の飲食店などが出店してくださるのである。特に某飲食店のカレーが美味しいということで、例年、出遅れると売り切れてしまう。そのためマミは少し焦っていた。


「ほら、べらこあおむしのお財布で、りーちゃんお買い物してくれる?」とさらに声をかけるマミ。「べらこあおむし」とは、子どもたちに大人気の絵本「はらぺこあおむし」のことである。りーちゃんはなぜか、小さな頃から「べらこあおむし」と呼ぶ。


しかしその「べらこあおむし」の財布でもなかなか釣られないりーちゃん。そう、いつもの居間の定位置での遊びを、途中でやめたくないのだ。だんだんとマミもイラつくようになる。「りーちゃん、行かないのね?マミだけで行っちゃうよ!」しかしそれでもりーちゃんは動かない。結局、30分くらいそんなやり取りをして、ようやく重い腰を上げたのだった。


結局はカレーにもありつけて、一安心だったマミ。りーちゃんもあれこれお腹いっぱい食べて、今年もお祭りを満喫したのだった。でももう少し、スムースにお出かけできると、親たちも助かるのですがねぇ。