りーちゃんと両親は、毎朝格闘である。眠くてなかなか起きないし、遊びたくて支度もテキパキしたくないりーちゃんと、早くスクールバスの集合場所に連れて行きたい両親の、せめぎあいなのである。
この日もまさにそうだった。朝ごはんのあと、「お洋服取っておいで」と言われて持って来るまでは良かったりーちゃんだが、長い縞々のスパッツを持って来た。親に却下されると、「しましまがいい〜〜」とうめくように言って取り返し、履こうとする。もはや時間優先なので、そのまま履かせるしかない、両親である。
その後も、お着替えをすると「ひざがいたい〜〜」、歯磨きをすると「くちがいたい〜〜」など、うめきっぱなしのりーちゃん。靴を履きながら「あしがいたい〜〜」と言い、りーちゃんが玄関を開けると、ドアに設置されているブザーがけたたましく鳴った。するとりーちゃんが、
「びっくりしちゃった〜〜」
とまたうめいたのである。これには両親とも大爆笑だった。
ちなみにブザーがあるのは、過去にりーちゃんが3度も大脱走したからである。その度にマミとダディは探しに行き、時にはお巡りさんに連れられて帰って来たこともあった(その節は大変お世話になり、誠にありがとうございました)。
親たちがりーちゃんにコンコンと諭したせいか、ブザーを設置して以来、脱走していないりーちゃん。ここ3年くらいは脱走していないので、親たちもすっかり安心して、ブザーをセットしない日も多いのだが、この日はたまたまセットしていたのだった。
両親が大笑いしていると、なんだかつられて楽しくなってしまうりーちゃん。それまでうめき声をあげてしかめっつらだったが、思わずニコニコになってしまった。
笑顔で通学できるのは大変良いことですな。この日も暑かったので、良い1日のスタートになりました。