りーちゃんが通っている放課後デイサービスは、障害児を対象としている。小学生の頃は学校が終わる時間も比較的早かったのと、そもそも学校からデイサービスの距離が近かったので、デイサービスで過ごす時間は長かった。それに比べると、支援学校はデイサービスから少し距離があるので、1日当たりに過ごす時間は1~2時間と短くなった。

 

小学生の頃からデイサービスではおやつの時間があった。希望する人はおやつを持参するのだが、希望しなければ食べなくても良い。中学生になったりーちゃんは、おやつを食べる時間がほとんどなくなってしまった。しかもりーちゃんは気分で行動が変わるので、さっさと食べる時もあれば、拒否して全く食べない日もあり、あるいは食べるのに1時間くらいかけるという日もあったようだ。

 

そこで、親の判断でおやつを廃止にした。1時間かけて食べるということは、その日デイサービスにいる時間がほとんどすべておやつで終わってしまう。そもそもデイサービスから家までは近いし、わざわざ短時間の滞在中に食べなくても良いだろう、と考えたのだった。

 

ただ、そうなると天邪鬼なりーちゃんは、おやつのある友達を見ると食べたいと言い始める。そこでデイサービスの先生と相談し、ドリンクにしたらどうかということになった。前置きが長くなったが、いよいよここでタイトルにもある、紙パックのジュースの登場である。マミの判断で、アンパンマンの絵のパッケージのものを持たせた。最初にこのジュースがおやつに登場した時は、とても嬉しそうだったと報告があった。りーちゃん13歳、アンパンマン大好きである。

 

ただここで注意点が一つ。りーちゃんは家の中に紙パックのジュースがあるとわかると、次々とストローをさし、飲み終わる前にまた次のものにストローをさす。飲みかけのものはりーちゃんが冷蔵庫にしまってくれれば御の字で、椅子の下、ソファーの下、カーテンの裏などに隠される。こうして以前は買いだめしたジュースはもちろん、豆乳などもりーちゃんの餌食となり、ソファの下からかなり時間のたった飲みかけの豆乳が発見されたこともあったのだった・・・。

 

そこでマミは、りーちゃんに見つからないよう、紙パックのジュースを別の部屋に隠した。ところがある日、りーちゃんはこれを見事に探し当ててしまった。毎日のおやつに持たせようと思っていたジュースは、残らずストローをさされてしまったのである。

 

ジュースがなくなっているのを発見したマミはりーちゃんを問い詰める。「りーちゃん、ジュースどこにしまったの?ないと困るんだよ。デイサービスのおやつがなくなっちゃうよ」と穏やかに尋ねるも反応はない。マミの口調がきつくなる。「りーちゃん!困るよ。ジュースどこにあるの?!」しばらく詰問されて涙目になってしまったりーちゃん。最後にはおもむろに立ち上がり、自ら冷蔵庫を開けてジュースのありかを告白したのだった。そこにはストローが刺さったアンパンマンの紙パックが立ち並んでいたのである。

 

まあでもこれはねぇ、親がもっとちゃんと隠さなかったのが、悪かったかねぇ。