マミとダディはりーちゃんのことを「ユーチューバー」と呼んでいる。
と言っても、りーちゃんがYouTubeを使って何かを配信したりするわけでは、もちろんない。そこから収益を得たり、ましてや職業にしているわけでも、もちろんない。りーちゃんが圧倒的に長い時間をYouTubeの視聴に費やしているので、「ユーチューバー」と呼んでいるだけである。
前回のブログに書いたように、りーちゃんはテレビで動画を見ている時は、絶対にテレビを譲らない。少しでも別のものを見ようとすると、「うーう!ゆーちゅーぶ!」とドスの効いた声で怒り、マミやダディをにらみつけて、リモコンをひったくって画面を元に戻す。そのため居間にいるダディがタブレットでニュースなどを見ながら用事をすることがあるが、ダディが席を外すと、今度はそのタブレットで動画を見ていたりする。テレビはそのままなので、テレビもタブレットもりーちゃんが好きな動画になっていることもあるのだ。
少し前から言われている「スマホ育児」という言葉があるが、りーちゃんは完全に「動画育児」または「YouTube育児」である。そのせいでりーちゃんは、動画がないと家で過ごすことができないユーチューバーになってしまった・・・。
そんなりーちゃんのお気に入りの動画はいろいろあるのだが、そのうちの一つが「鬼滅」シリーズ。ちょっとグロテスクな描写もあるので、親としては見せたくない気持ちもあるのだが、学校やデイサービスなどのお友達の影響もあるのだろう。これほどの日本中の大ヒットになっているので、致し方ないところだ。
いつも見ているわけではなくたまになのだが、見出すとそればかり見る傾向があるりーちゃん。この2日間くらいはやたらに「鬼滅」を見ている。以前は筒状のものを口に当てて「ほら、ほら、こーれ、ねずこ」などと言って悦に入っていたところ、ダディが「それなんだっけ?ゆずこ?」などと返す、わけのわからないやり取りもあった。
さて、この日の朝は着替えにいつも以上に時間をかけていたりーちゃん。どうしたんだろうと思って見ていると、長い靴下を膝下まで引っ張り上げ、そこに合わせるようにスパッツの裾をたくし上げるという、なんだか野球のユニフォームのような着こなしをしていた。意図はわからなかったが、直すとまた激怒しそうなので放っておいたところ、「こーれ、たんじろ」と言うではないか。詳しくないマミとダディでも主人公の名前は存じている。しかし主人公はそんなファッションをしているのだろうか。
ちょっとおかしなかっこうではあったし、寒そうでもあったので、そのまま登校するならどうしようかな、と思っていたマミとダディ。玄関を出ると、りーちゃんはいつものとおりスパッツの裾を下げてから歩き始めた。ちょっとやってみたかっただけなのかねぇ。