以前にもご紹介したことがあるが、りーちゃんは支援学校の中学部に通っている。障害児の中学校は大きく分けて二通りの選択肢がある。一つは地元の公立中学校にある支援級、もう一つはりーちゃんが通っている支援学校である。
支援級だと、体育や音楽などは交流級(健常児の生徒さんと同じクラス)で、それ以外の勉強は支援級で、という形になることが多いそうだ。一方で、支援学校では生徒さん全員が障害児になるので(健常児の生徒さんは基本的にいない)、すべての授業が障害児向けということになる。
それぞれのメリットがあると思うが、支援学校では生徒一人に対する先生の人数も多く、その点ではとても手厚い学校生活を送ることができる。高校卒業後の就労を見据えた授業も多いし、季節ごとのイベントに合わせた活動もたくさんある。
前置きが長くなったが、この時期ならではの活動ということで、りーちゃんは学校で書初めをしたらしい。この日、家に帰ってくるなり自分からリュックを空けて、新聞紙に包まれた半紙を広げてくれた。新聞紙に包まれていたので、マミは最初、野菜か何かを持ってきてくれたのかと思った。半紙を広げると、それはそれは愛らしい文字で「えがお」と書かれていた。マミは一目で気に入ってしまった。
この日はダディの帰宅が遅かったが、りーちゃんはまだ就寝前で、マミに話を聞いたダディがりーちゃんに尋ねた。「りーちゃん、お習字書いたんだって?」「うん!えっとえっと、きのう、かいたのー(本当は今日)」「何て書いたの?」「え・が・お」(と言ってにっこりするりーちゃん)。
りーちゃんは笑顔の意味を分かっているようで、満面の笑顔を浮かべながらそう答えた。マミがすでに壁に貼ってくれていた書初めを見て、ダディももちろん気に入った。両親揃ってべた褒めして、りーちゃんもとても嬉しそうにしていた。
ほとんど毎朝、りーちゃんの登校に同行しているダディは、お習字道具を持っていった記憶がなかったのでマミに尋ねると、個人の習字道具は必要なく、学校で貸し出してくれるのだという。近所の小学校でも、低学年の小さな子が苦労しながら持ち歩いている姿を見ることがあるが、りーちゃんたちはその必要もない。やっぱり何かと手厚い、支援学校なのであった。
これまで、りーちゃんが帰宅するなり自分の作品を披露することは滅多になかった。自分でも上手に書けたと思ったのだろう。早くマミに見せたいというその気持ちが、親としてもとっても嬉しかったのでした。
早速我が家の壁に貼られた「えがお」。りーちゃん作。
