6月
「西条秀樹、脳梗塞で倒れる」
全国に駆け巡った、ワイドショーネタであった。
私も出勤前にご多分にもれず
ワイドショーを何気に見ていた。
西条氏が
「口から物を落とす」
「どもる」
「吐き気」
何気に最近の私と同じである、
西条秀樹の症状を
キャスターが伝えていた。
あまり気にもせず
自宅を出た。
妻から一言
「衣装合わせがあるから、ちゃんとホテルに来てね。
お母さんと待ってるから。」
披露宴を待ち望んでいる
彼女の笑顔を見ると
私の置かれた状況、借金まみれになってしまったこと
ますます言い出せなかった。
「あいつに言える筈が無い。」
「こんな男とこれから苦労をさせていいのだろうか?」
「あいつには、別の人生があるんじゃないか?」
結婚に未来を見出している
妻に対して
自責の念が沸かざるを得なかった。
しかし、これまで、
どんな「どん底」でも、「どぶの中」でも
幾度と無く這い上がってきた私だ。
これくらい
何の問題も無い。
たった5、6千万の借金なんか
屁でもない。
これから始まる
「私と妻との明るい未来」
それだけを考えるように勤めた。
つらいのは今だけだ。
しかも、気のせいだ。
どんなつらいことでも
半年経てば過去のこと。
半年後には乗り切っている。
明るい未来が待っている。
いつも
がけっぷちになった時に
心に刻み込んだ
私オリジナルの「暗示」をかけた。
7月
私はある「経営者団体」に入っている。
そこでは「博多祗園山笠」
に参加するイベントを進めていた。
ふんどしTバックに
腹巻?
恥ずかしいがこの格好を皆でやれば
怖くない。
いやいやながらではあるが
ふるって参加してみることに・・・・・・
気が知れた社長仲間と
雑談をしている最中
私は強烈な吐き気に襲われた。
友人の「大籠」
が・・・・・・
「おい、お前顔腫れとるぞ。
みてみぃ~真紫になっとぉぞ~」
常日頃、何事にも大袈裟でお馬鹿な彼は
大声で笑い出した。
彼はあまり深く物事を憂慮
する人間ではない。
笑いながら
商店街にならぶガラスに写る私の顔を指した。
大籠と一緒に笑いながら
ガラスに写った私の顔を眺め・・・・・・・
何かが
一つ一つ
私の体を
破壊しているのが
その時に
ハッキリとわかった。