アルミトラが言った。-----お話しください、あなたの幼少時代を。
アルムスターファ氏が答えて言った。
バンコクから2時間半ほど車で移動する。今でこそ、バンコクは多くのビルが立ち並び都会の顔を見せているが、車で40分も走れば農地と山脈が顔を出す国だ。
その中で、私の母の一番の財産である鉱山は2つあった。どちらも、山の頂上から見渡す限り以上に母のものだった。
父が母と結婚したことで、それまで細々と採掘をしていた鉱山に大きな資本が入ることになった。それに伴い、父がたくさんの関連会社を造りの兄弟たちにそのおこぼれでそれぞれ仕事をさせた。
私はそれを引き継いだのだが、その当時の会社や私自身が設立した会社を含め現在68社の関連会社がある。
母の家とは別に、父が大きな家を建てた。二階建ての、チーク材で作った高床式の家が何軒も庭に建っていた。父の兄弟たちと同じところに住み、食事は大きな食堂で一族全員で摂ったものだ。
家にはたくさんの人がいた。たくさんの叔父さん、その妻、その子供たち。家には常に誰かいた。でも母の姿はあまりなかった。