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監督ブログ  wecker

「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

公演が終わって早2週間。

何度もご覧になって頂いた方々にとっても、もう彼女たちの姿は記憶のかなた…かもしれません。

舞台ってそういうものだしね。


僕の回想はもう暫し、続きます。もう少しお付き合いください…


今回は『時空怪盗オラクル』

前回も登場しましたが、今回名乗ってた本名が違ったので、別の子たちかもしれません。

もっとも、前に名乗っていた本名が本名とは思えませんが(笑)


事故や事件で失われていく芸術を失われる前に守る(未来に持ってくる)!事を(勝手に)使命としている時空怪盗。

今回はアインシュタインのラブレターを盗むだの、そんな案もあったんですが、怪盗らしい事はしてません。


メンバーは

メリー(本名テルル)


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時組メリー 松上祐子ちゃん。

オーディションでいちばん印象に残った子。同じように感じたプロデューサー氏によりいきなり別の舞台で主演デビュー!

彼女にはひたすら「可愛く!きもいぐらい可愛く!」と言い続けました。実際可愛いコなんですが。

可愛い瞳の中に光と闇が同居している。そんな印象があります。

彼女のメリー可愛い妹キャラでありながらしっかりしたリーダーでもあったと思います。


クリス(本名セレン)


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時組クリス 宮森セーラさん。

なかなか決まらなくて、ぎりぎりに決まった時組クリス。ちょうど衣装合わせ直前で、いきなりあのふりふり乙女衣装を着せられて、さぞ面食らった事でしょう。

クリスはお芝居経験がある人を…という事でお願いしました。

もう、「お母さん」のようにメンバー(空組の方も)の面倒を見てくれてたので、無理に可愛く演じてもらうのをやめて「お母さんっぽく」変えてもらいました。


フランス人の血が混じってるらしく、笑い方に特徴のある、本当に明るく楽しく、頼もしい方でした。


マス(本名ビスマス)



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時組マス 北山亜梨沙ちゃん


彼女こそ、本物のアリサ(名前が、ですが)。とっても頑張る人で、稽古を休みがちだった空組マスの分もいっぱい頑張ってました。不器用ながら、ひとつずつハードルをクリアしていくタイプに見えました。

試行錯誤の末、「男の子っぽく、でも頼りない」マスに。


メリー・クリス・マスは本当に大好きなキャラクターで、前の公演が終わった後に「彼女らのスピンオフをやりたい!」と言ってたのが、ある意味で実現したのが本作かも。


今度こそ(もっと小規模、少人数でいいから)やりたいなぁ…




「上演時間が長くなるのでダメです!」

「印刷台本通りにお願いします!」

…というプロデューサー諸氏の当然の意見をねじ伏せて(笑)作った日替わりゲスト脚本。

基本、アリスインフォーマットでは「同じ役を違う(有名)有名タレントが演じてもらい、演じ分けを楽しむ」ものらしい。

お客さんにも毎回同じレギュレーションのものをお見せする、というのが演劇の基本…だというのもわかる。

照明、音響も合わせて変えなきゃいけないし、当然絡む役者の負担も増える。


でも、稽古開始後、中国で

完成台本を何度も読み直してみて、まだまだ新キャラ、新主役である「チームプレアード」の描写が弱いと思った。


それで、「付け足した」のがゲスト台本です。

完全日替わりに出来なくて残念。僕の中では「リタ専用」そして「コルネイユ専用』台本もあったんだけど。


すべてそれぞれのヴェッカーの過去にだけ存在する。

演劇で回想シーンをやるのはこれまたタブーだという。


だからやってみた(笑)


自分の中でのタブーも破った。ヴェッカー役は違う役者には演らせない、という。

時空刑事アルシオーネ。合計3人が同じ役を演じた。


森田涼花さん
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奈津子&亜希子さん


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時空刑事アルシオーネ(本名星川茉莉依)。かつてのプレアとリタの同僚。

女の子戦隊的には主人公カラーであるピンクを与え、本来なら主人公だったアルシオーネ。

プレアデス星団でいちばん輝く星、だしね。

ヴェッカーの基本テーマのおさらい(初めて見る人にはこういう話だとわかってもらう)エピソード。


優秀な時空刑事でありながら、目の前で大勢の子供たちが死ぬのを見て、それを止められない、止めてはならない時空刑事の任務に疑問を感じ、「そんな事わかってて時空刑事になったはずでしょ?」と問うプレアに「教えられて知っているのと自分で知るのは違うんだよ!」と答え、子供たちを救おうと時空犯罪を犯す…という役柄。

最終的にはプレアのクロノブラスターをアレスト(逮捕)モードから殺傷モードに密かに切り替え、親友プレアに「背中から撃たれて」死ぬ。


この難しく濃密(冒頭にアクションもある!)な役柄を、3人それぞれの解釈で演じてくれました。


森田さんは「シンケンジャー」のイメージがこのブログ読者さんには強いと思うけど、もともと「本編の」主人公ヴェッカーにしようとしていた方。(リタ役ではないよ)

現在撮影中の(情報解禁されたら奇跡のコラボ!と思わせるハズの)映画撮影ともろ被りのスケジュールだった為、完全に諦めていた(ので、リタ主人公の現在のチームになりました)んだけど、「ゲスト出演ならなんとか」という事で撮影の合間をぬって出てもらった。


もちろんお会いするのは初めてだったけど、台詞を覚えるより、役を理解する、役を掴む方が大事、と思っていたようで、自分の中でかなり試行錯誤していたよう。

ホントに短い稽古時間にも関わらず、アクションもソツなくこなしてました。

彼女なりの空気感で不思議な雰囲気をまとったアルシオーネになったと思う。



亜希子&奈津子さんは元SDN48の双子アイドル。

「長い夏、短い秋」と覚えてください、と本人たち談の通り、長い髪の方が奈津子、短い髪の方が亜希子。

それぐらいそっくり同じ顔のお二人。

でも、稽古してみたら、二人でまったくお芝居が違う!

別人(お二人も別人ですが)である森田さんが演るより違っていた。


元気で明るく、自信満々な亜希子さん、しっとりして、感情表現が細やかな奈津子さん。

同じ台詞を言ってるのに、動きが全然違う。

合わせて絡むリタとプレアの動きも変わった。

これが同じ役を複数でやる面白さか!と初めてわかった(笑)。


しかし本番直前に「風疹」にかかり、お二人とも出演が絶望的になった。


本番当日、奈津子さんだけがなんとか舞台に立てるぐらいに回復し、「妹の分まで頑張ります!」とふらふらしながらも立派に難しいアルシオーネを演じてくれた。

二人ともレギュラーのみんなと同等に、いやそれ以上に役を愛してくれていた。

亜希子さんの悔しさを思うと、今でも泣けてくる。

舞台に立つ奈津子さんは、まるで亜希子さんと融合したかのように、細やかで繊細でありながら大胆で買活発なお芝居を見せてくれた。


プレア、リタもものすごく熱の入ったお芝居をしてくれた。


全編の中でも思い出深い、いいシーンになったと思います。


奈津子さんが演じるアルシオーネも、いつか見られますよう。






来週から出張(国内出張なので飛行機で4時間かかる)なので、今日、明日に「回想のエトランゼ」行けるとこまで行こう!的自分目標。


まだまだメインキャラ(アルやメリクリ)が残ってるけど、まず一人目日替わりゲスト紹介


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整備士フェレス。男前な女の子が多い本作(俺ら趣味でもあるんだろう)に中でもより男前な役。

他のゲストと違い完全に専用の役になった。しかも初日1回だけ。


メシエが新人だった頃、プレアやリタに会う前の話。

その頃から最強で、単騎で任務を任されていたメシエに武器や装備の扱いが雑だ!とケンカを売ってきたのが新人整備士フェレスだった。

ケンカしながらも気の合う二人はそれぞれ時空刑事として、整備士として成長していく。そして開発部主任となり、とある辺境基地の責任者となったフェレスは、与えられた仕事への責任の重さとそれを果たすための仲間の大切さをメシエに語る。

しかしフェレスはその責任を果たすためにメシエの前で基地と共に炎の中に消えていく…


…という役柄でした(わかった?)


印刷台本にも整備士は出てきますが、まったく別の役です。


メシエの記憶の中にだけいる、文字通りメシエの為だけにいる存在。

底抜けに明るいメシエの葛藤や泣き顔が観れる唯一のシーンになりました。

演じた大河内美沙さんはメシエ役のちゃきさんと同じくSDN48のメンバーだった方。

息の合ったお芝居で、稽古中から二人だけの空気感を醸し出していました。


いい感じで仕上がりつつあったのに、本番当日、こちらの伝達ミスで、大河内さんはゲネプロに参加できなかった!

つまり、1日目の1回目本番が彼女の人生初舞台で、最初で最後のフェレスだったんです!


最初の「出トチリ」はそれ故に起こった事故。

なんとかちゃきさんが繋いでくれてたけど、これもこっちの指示ミスです。

「当然、このへんで出てくれるハズ」と思い込んでた。


大河内さん、ちゃきさん、そして初日ご覧になった皆さん、本当にごめんなさいっ!!


時空警察にも裏方はいるんだ!というのを見せたかった役でもありますが、今回のスタッフを合わせてご紹介させてください。


まずは何度もこのブログに出てくる共同脚本、演出補の麻草郁氏。

有名演出家&役者でありフォークシンガーである方のご子息で、お父さんの下、20年以上舞台の世界にいて、演劇を知り尽くしている人。

脚本も書き(今やこれが生業か)アルティメートバズーカ他、小道具制作も出来る。

SFを肌で感じれる稀有な存在で、もっと活躍してて然るべき人です。


舞台監督&美術監督の坂亨宣さん。

いちばん重要な舞台監督と美術監督を兼ねる…事にどだい無理があるのですが、飄々と楽しそうにやってくださってました。演劇素人の畑澤がもっとお世話になった方の筆頭。


音響、音効の伊藤一巳さん。

これも音響、音効をひとりでやる事にどだい(以下略)…どんどん増える僕の要望に即座に応えてくださいました。


照明の島田雄峰さん。

あの超絶照明、ムービングライトを一人でやっている(!!)のだ!注文すればするほど豪華になる!もっとやりたかった!凄すぎます!


基本この4人&俺(は本番は何もしてない)だけでやってたんです!


これにもちろん、スタイリスト、衣装担当の西田さゆりさん(毎日の大量のお洗濯、少女たちの面倒、本当にありがとうございました!)、ヘアメイクの関谷佳代子さん(女子にとって衣装と同じぐらい大事な髪型。

全員分工夫して頂いてありがとうございます!)や当日ヘアメイク応援の方…などが加わる訳ですが、役者41人に対して本番当日これだけのスタッフでやってたんです!


ホントに皆さんプロでした。

僕が監督を名乗ってられるのは皆さんのおかげです!


何よりこの舞台で大切なアクションサンプラー(攻撃音、防御音など)、素晴らしいアクション演出をしていただいた押田美和さんとteamAZURAの皆さんにも改めて大謝!謝謝!!









やっと「終わり」が見えてきたた「回想のエトランゼ」。

なんか寂しい気もする。

終わったらまたループするか(笑)。


今回のタイトル「彷徨のエトランゼ」。

仮タイトルは「時のエトランゼ」だった。そのまんまのタイトルの作品が昔あったので、「ノエルサンドレ」に近いノリで「ウロボロスリング」あるいは「マクスウェルの約束」にしようと思ったんだけど、意味が分かる人にしか分からなすぎるだろう…という事で「彷徨のエトランゼ」…「彷徨」が読めない、という人もたくさんいたけど(;^_^A

タイトルというのはある程度洗練され過ぎてないダサさが必要…というのはかつての平山師匠談。


今回は学園組最後の一人、野分先生。


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天才ばかりの科学部にて、いちばん状況判断が遅い、ついていけない、いわばいちばん観客目線に近いキャラとして設定した今回の野分先生。


オーディションに来た中でいちばん先生っぽかった(体育の先生ぽい)河合有理さんと、まったく対照的で先生に見えない、でもおどおどしたテンパってる感じがいちばん出せそう(?)な澤村佳奈。さんにお願いする事になった訳ですが…


スケジュールの都合とか体調不良とかで…僕は殆ど稽古場で彼女らに会ってない。(特に佳奈。さん)

それでも、本番は立派に役をこなしていたので、何も言えないんですが、もっと作りこめば面白いキャラになったのに…と、とても残念です。

有理ちゃんは短い間だったけど、僕のワークショップの生徒だった。頼りになる人で、みんなを影から支えてくれていたと思う。

土壇場で(それまで佳奈。さんと同じオドオド芝居をしてたので)「ありちゃんらしくやっていいよ」と、頼りになる、熱血先生っぽく変えた。ちゃんとした先生だけど、状況についていけない…という風に。


佳奈。さんは本番直前劇場見学中にケガをしたり(実際真っ暗な舞台袖、急な階段を踏み外したり、転んだりする子が本番中も続出。表に出たらちゃんと笑顔でやってますが、裏ではみんないっぱい泣いてましたね)たいへんだったけど、ホントにちゃんと話せなくて残念。

今回の一番の心残りです。


役者が悪いわけではない。僕自身が前半稽古にまったく参加できていないのがいちばん悪い訳で、何よりそれがいちばんの後悔です。


次は「まったく参加しない({鬼切姫}みたいに)か全部参加する、かどちらかだろうなぁ…。





「みんな元気かなぁ」by亜里沙

と、ときどき呟きながら詩の朗読…はしてないけど、異国(エトランゼ)で一人の休日を過ごしています。


このシーンの最後、「おかえりなさい」の後、亜里沙の後ろの光の中に1年カルテットの影が…というのは本番後半足した演出。気づきましたか?(事故じゃないです)解釈はいろいろ。僕なりの答えはありますが。


さて今回はドイツっ娘カルテット(とは言ってなかった)のみなさん。


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いわゆる「アクション班」「からみ」と呼ばれるアクション選任として来てもらった「チームAZURA」の方々。

オール女子限定、という事で、アクション班もアクション演出も女子の方に。


女が教える女の殺陣…これって男が教えるより容赦ない。

アザだらけにあろうが、スカート全開(・・;)になろうが気にしない

…事はないよ。

女性らしい、より美しく見せるアクションを付けてもらえました。

僕も楽しくなって、次へ!次へ!を要求した。

にこにこ笑って応えてくれたアクション演出押田美和さんに感謝。


そして彼女たち…とまとめて紹介するのも失礼なぐらい個性豊かな方々でした。


写真右から

高橋里菜さん、川口莉奈さん、佐藤加奈さん、金田瀬奈さん

(パンフの名前、佐藤さんと金田さんが入れ替わってました。失礼)

高橋さんにはアルシオーネ編のゲスト女子高生も演ってもらいました。

役名は「奈菜」といいます(みんな奈と菜がつくから)。



みんな他の出演者と同じぐらいの年頃のお嬢さんなのに、超激しい立ち回り、がんばってました。

ヴェッカー達がカッコよく見えていたなら、それは彼女たちがカッコいいからです。


彼女たちもスタントウーマンでありながら、役者でもあるので、「現地のドイツ人」という役にしました。

役名もフランス人の友人マチュウくんに考えてもらいました。アドリブで話しているドイツ語もちゃんと正しいドイツ語です。

ただでも多いキャスト、これ以上本編に絡む役や台詞は増やせない、でも何か際立たせたい、という事でドイツ語を喋ってもらう事にしました。

それぞれの役についても決めてみたら、もの凄く深く役を追及してくれました(ファンブック参照)。

台本の台詞は「ヤーヴォール!」しかないのに。

この姿勢はほかの役者にも見習ってほしかった。


稽古もほぼ皆勤。

彼女たちとは稽古場や劇場でもいちばん話したかもしれない。他の現場でもそうですが、アクション班はスタッフに近いので話しやすい、という事もあるんですが。


押田さん、みなさん、これからも日本のアクション界をお願いします!



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