Bar-a-vins Bistro Au GRENIER
札幌の繁華街「すすきの」の近くにあるワインバーです。フランスワインが中心です。ご予約でお料理もお出しします。
https://www.facebook.com/au.grenier/

  • 01Oct
    • 4代目FITがすごくイイという話の画像

      4代目FITがすごくイイという話

      技術の進化は日進月歩。4代目FITがすごくイイという話2016年に新車登録したわが HONDA SHUTTLE が、2度めの車検を迎えた。同じ整備メニューでありながらディーラーにお任せすると高くつくので、今回は量販店のJAMESでお世話になろうと思い見積に持ち込んだところ、ご対応いただいたサービスの方から「ディーラ車検なら新車から5年までは保証つき」という事実をうかがい、それではとディーラーに持ち込んだ次第である。JAMES琴似(ことに)店のサービスの方、すばらしいアドバイスをありがとうございました。次回の車検はJAMES琴似店にお願いします。▲新車で購入したSHUTTLEも導入から5年が経過した。当たり前だが、2度めの車検くらいでは特に不具合は見当たらなかった。強いて言えば、タイヤが摩耗したことと、バッテリーが少し弱ってきたことくらい。HYBRID車は強力な走行用バッテリーを搭載していて、こいつはまず廃車まで交換の必要はないが、補機類は一般的な鉛蓄電池で駆動されているから、バッテリーが劣化すると、一般のエンジン車同様始動もできないもう、かれこれ10年以上の付き合いとなるHONDAのディーラーのよいところは、車検などの整備でクルマを預ける際、無償で代車を貸与してくれるところだ。量販店ではそうはいかない。これまでも、クルマを預けるたびに最新型のFITやNBOX、FREEDなどを借り受け、それなりに新鮮な思いをしてきた。たまに、マイカー以外のステアリングを握るのも楽しいものだ。で、今回の車検で貸与された4代目FITが、驚くほど実にいいクルマだったという話である。走り出してすぐに驚いたのは、その走行性能やフィーリングみたいなカーキチ的なものなんかじゃなくて、目の前にぱっと広がる不思議な視界だった。フロントウィンドウのピラー(支柱)が細い。ものすごく細い。さらに、ダッシュボード天板が低く、しかもほぼ真っ平らで、フロントウィンドウ全体が風景を切り取った一枚の絵画のように見えるのだ。ワイパーが車内からまったく見えないのも斬新だ。フロントウィンドウまわりは常に視線を注いでいるところだけに、この不思議感たっぷりの風景は、4代目FITの最大のセールスポイントだと感じた。▲4代目FITの最大の魅力は、この不思議な前方視界にほかならない。Aピラー(フロントウィンドウの最前方の支柱)がとにかく細いのだ。近年のクルマは厳しい衝突安全基準をクリアするために、ピラーの類が極太化の一途を辿ってきた。たしかに頼もしいには違いないが、見た目に無骨だし視野が圧迫される。4代目FITの場合、実際に強度を確保しているのはドアの付け根から立ち上がる2番めのピラーだ。なるほどな構造である。ほかに、ステアリングホイールが2本スポークなのもシンプルでよい。さらに走行セレクターが通常のレバー型になったのは、なんでいままでこうじゃなかったのかと思うくらいしっくりくる。トヨタの猿真似は、もう卒業しよう。このように全体的に直線的でシンプルなデザインは、ともすれば安っぽく感じるかもしれないが、これが安価なコンパクトカー本来の有り様であって、やたらゴージャスに見せようとするこのところの軽自動車のデザインなどは、小粒なチワワがギャンギャン吠えているようで見苦しい▲現行SHUTTLEもご他聞にもれずAピラーが太く、これくらいの角度だと歩行者がすっぽり隠れてしまうのが悩みのタネだが、4代目FITではご覧のとおり。死角が少ない。画像では伝わらないかもだが、左右の三角窓も含めて、3枚のガラス一体でフロントウィンドウを構成しているのではと錯覚するようなパノラマ感がある。ちょっとしたランチア・ストラトス気分だ。衝突安全基準が存在しなかった時代、スポーツカーのピラーはみな細くてエレガントだったものだ。4代目FITの極細ピラーのアイディアって、現行車でほかにあるのかな。HONDAのオリジナルだとしたら、さすが本田宗一郎の血筋を引く会社だと褒めちぎりたい▲ディスプレイパネルもシンプルでとても見易い。これでいいのだ。パネルのすぐ左脇に、大きめのパネル調光ボタンが用意されているのも親切で、ある意味、かゆいところに手が届いていた初代FITのスピリッツに原点回帰したかんじだ。個人的な感想として、2代目、3代目と退化し続けた印象だったので、HONDAもやっと本気を出したか。HONDAは本来、ブレイクスルーを得意とするエポックメーカーであるはずで、常に業界に新しい風をびゅうびゅう吹かせてほしいものだが、そこはやはり、社内事情だとかいろいろあるのだろう。4代目FITのようにやればできるんだから、ぜひ、この勢いで画期的なクルマをつくり続けてもらいたいものだせっかくだから、走行性能についてもちょいと触れておこうか。どうやら、4代目FITを送り出すにあたり、HONDAは既存のHYBRIDシステムを一新したようだ。一時ボロクソにいわれた3代目FITのHYBRIDシステムは、「トヨタに追いつけ追いこせ」を背景に大胆にもドイツの変速機メーカーと提携したまではいいものの、身の丈以上に無理をして、結果的にどうにもしっくりこない中途半端なプロダクトとなってしまったのは否めまい。自分のSHUTTLEもこのシステムを搭載しているからわかるが、走行パターンによっては変速を迷ってギクシャクするし、低速ではギアがカチャカチャいうし、坂道でパーキングからリリースするとガツンと衝撃が走るし、それでいて肝心の燃費はトヨタ車にぜんぜん及ばないという残念オンパレード状態なのが悲しい。まあ、SHUTTLEの場合、クラス最高の積載能力というキラーコンテンツがあるから許せるのだが。詳しい話をするとボロが出るからほどほどにしておくが、4代目FITに搭載されたHYBRIDシステムは、正しくは一新されたのではなく、かつてHONDAが開発し育んだ、独自の技術を再構築したものだ。▲3代目FITのHYBRIDシステムでは、ほとんどの走行シーンにおいてエンジンが主体でモーターはサポートだったものが、4代目では主従が逆転した。新システムでは、フル加速時にはたしかにエンジンが始動するが、それは走行用モーターにより多くの電力を供給(発電)するための存在で、車輪の駆動には直接関わらない。一方、モーターが不得手とする高速回転時(高速走行時)にはモーターを止め、定速走行が得意なエンジンに切り替えるという合理的な仕組みだ。HONDAはかつてこのシステムでHYBRID技術を確立しようと意気込んだが、トヨタの革新的な発明に完敗し、方針変更を余儀なくされた経緯があるHYBRIDカーというエコロジーの新しいコンセプトを、名車INSIGHTを安価に量産することで具現化したHONDAであったが(先駆者がほかにいたらすみません)、巨人トヨタの圧倒的な技術開発力と配下ディーラの絶大な販売力の前に屈し、残念なことに、ここ十数年はその後塵を拝し続ける忍耐の日々だったのではなかろうか。ことの背景はちゃんと調べていないので真実はわからないが、おそらく、HONDAはトヨタに敗北を喫した自社技術を諦めず、開発チームを維持し続け、いつの日かトヨタを打ち負かすために、粛々とワザに磨きをかけてきたのに違いない。そして、満を持して解き放たれたのが、4代目FITだった、というわけである(確証ありません)。では、その過渡期の技術を搭載するSHUTTLEを買った自分はどうなるんだ、なんていうくだらないヒガミは置いておいて、このような画期的なクルマが登場すると、これはまあ、クルマ好きとしては、理屈抜きにうれしくなってしまうわけで。もっとも、4代目FITがリリースされたのは2020年2月で、実はすでに1年半ほどの月日が経過しているにも関わらず、その遭遇率は思いの外低い。どうやら、あまり売れていないらしい。で、4代目FITを抑えて売れているコンパクトカーはなにかと調べてみたところ…トヨタ・ヤリスだった。FITの倍以上売れているらしい。やっぱりトヨタか。▲トヨタ車のプロダクツが世界最高品質であることについては、これはもう疑う余地がない。だが、カーデザインがひどすぎる。これが綿密なマーケティングの上でデザインされているとしたら、日本人のセンスがヤバすぎることになるので、近年のトヨタデザインのコンセプトは、世界を俯瞰した「いまここにない衝撃」…のようなラディカリズム路線ではないかと類推する。あと、ヤリスという名称は、本来、カローラシリーズの輸出名だったはずだ。国内でもあえてヤリスとして販売したのは、もはやカローラブランドでは売れないという判断だったのかもしれない…というわけで、久々に他人のクルマに乗って感動した件を記事にした。このたびは、短い乗車体験にもかからわらずすっかり4代目FITに惚れ込んでしまったので、身近でコンパクトカーの購入を検討している人がいたら、ずいずいとオススメしたいところだ。それにしても、技術の進歩はすさまじい。わずか5年足らずの差で、仕組みにしてもデザインにしても、前後で隔世の感がある。もう、このスピードについていく気力も感性もないけれど、興味だけは失わず、その行く末をしっかりとウオッチしていきたいものである。ちなみに、わがSHUTTLEは最低でも10年間はお付き合いするつもりで新車購入したので、いかに4代目FITに惚れ込んだとはいえ、まだまだこれからも大切に乗り続ける、…と心に誓っておりますです、はい。

  • 15Sep
    • 還暦移住計画 その13 入植した山についての画像

      還暦移住計画 その13 入植した山について

      世界は、運と縁でできている。還暦移住計画 その13 入植した山について『移住計画』をテーマに、当blogにて新規カテゴリを立ち上げたのが2019年の11月。実際には、バーを開業した2011年時点ですでに将来的な僻地への移住を構想していたので、当計画は、実は10年越しの壮大なものだったのではあるが、現実的に動き出したのは、まさに還暦を強く意識し始めた一昨年の秋からであった。一昨年の秋、といえば、いまだ続くコロナ禍発生の直前だ。ここまでの2年間ほどで計画を急進させたのは間違いなくコロナ禍の影響によるものであって、感染拡大と計画推進のタイミングがシンクロした結果だ。不可抗力とはいえ、ここにもなにかの必然を感ぜずにはいられない。以前の記事と内容がカブるけれど、移住にあたりもっとも重要な要件は、これはもう間違いなく「どこに移住するか」ということ、すなわち、「希望の土地が見つかってそれが手に入るか」という一点に尽きる。そして、その場所との出会いは、確実に『運』と『縁』によってもたらされると断言してもよいだろう。店主が入植した山は、余市郡赤井川村(よいちぐんあかいがわむら)にある。同村の人口は1,100人ほどしかないわりには面積が広く、人口密度は1平方kmあたり約4人。人口密度全国トップの東京都豊島区が同2,000人を超えることを考えると、いかに低密度かがわかる。もっとも、村の面積のほとんどは森林山岳で、集落は概ね北西部のカルデラ内外に集中している。▲GoogleMapsの地形図でみるカルデラのようす。切り立った山にすっぽりと囲まれていることがわかる。南側の一部が川で侵食されたため、湖にならなかったのかもしれない。直径6〜7kmの楕円形をしており、およそ1700万年前の噴火により形成されたという。中心部を南北に縦貫する道道36号線の沿道に郵便局、駐在所、村役場、ホクレンのガススタンド、そして村で唯一のコンビニ『セイコーマート』が集中している赤井川村を特徴づけているのがこのカルデラの存在で、直径6〜7kmと絶妙なサイズ。場所によっては360°ぐるりと山に囲まれているのを実感できる。さらに、カルデラ内部はかなりハードな起伏が形成され変化に富み、実に不思議、というか、ユニークな風情を醸し出しているのである。村随一の産業(農林業除く)は、1980年代末にヤマハの大規模な投資により誕生した『キロロリゾート』だ。ヤマハはスキー場、ゴルフ場、ホテルなどを相次いで開発したが、当時すでにバブル崩壊が始まっており、ゴルフ場は開業からわずか10年で閉鎖、その他の施設も低迷が続き、2007年には全事業を三井不動産に売却し撤退してしまうという、なんとも悲劇的な運命のリゾートである。現在、スキー場とホテルはタイ資本により運営を継続している一方、ゴルフ場は閉鎖以来復活することなく荒廃が進んでいる。数年前、中華資本が購入したという報道があったが、その後どうなったものか。通りすがりに遠目で見る限りは死んでいる。また、倶知安(くっちゃん)町に向かう国道393号線沿いのキャンプ場『ドロームキャンプフィールド』は、2016年、シンガポール資本に買収され、『TOMO PLAYPARK』と名を変えた。同資本は、ドロームが所有していた270haの敷地に加え、その周囲の森林を買い進めているという情報もあり、なんとなく背筋が冷える。…すべての外国資本が悪だとは思わないが、自治体が率先して外資に身売りしているようなイメージもあり、実は赤井川村はここまで敬遠していたのであった。▲TOMO PLAYPARK のサイトより。同キャンプ場の敷地内には管理釣堀、パンプトラックなど、キャンプ以外のアクティヴィティも楽しめるようになっている。当世流行のグランピングには、SNOWPEAKのトレーラーハウス『重箱』が奢られており、全体的に高品質なテイストだ。緊急事態宣言下でも営業しているようだが、収容人数を絞っている様子で、「予約が取れない」などのつぶやきがSNS上にちらほら…そんな自分が、結果的に赤井川村に入植したのは、やはり『運』と『縁』によるものにほかならない。村には、当店スタッフのゆうこりんの幼馴染が嫁いでいて、彼女から強力な誘致を受けたのである。先述のような先入観によりまったく眼中になかった赤井川村だが、ゆうこりん幼馴染の導きで初めてカルデラ内に足を踏み入れ、その不思議な世界観に一気に魅了されてしまったというわけだ。そこからはトントン拍子、である。2020年4月、雪解けと同時にカルデラ内部をクルマでめぐり、GoogleMapsを活用しながら候補地を2箇所に絞り、ゆうこりん幼馴染の協力を得つつ役場で当地の所有者を割り出し、同年7月には売買交渉にまでこぎつけることができた。現在、自分の所有となった山林は、すぐ近所にお住まいの農家さんの土地で、元農地である。その農家さんは代々この村で農業を営み、村内に16haの土地をお持ちだが、20年ほど前に高齢のため引退。いまやそのほとんどは原野山林に地目変更されており、残念ながら荒れ放題だ。それでも初対面では「代々受け継いだ土地は売れねえ」とおっしゃっていたところ、賃貸でもいいからと交渉を続けるうちにご了承をいただき、晴れてわが土地となった…のである。こうして振り返ってみると、計画始動のタイミングといい、この土地へのいざないといい、なにか運命的なものを感ぜずにはいられない。▲村から北隣りの余市町に抜ける『冷水(ひやみず)峠』の展望所より眺めたカルデラのようす。村の観光案内の古い画像と比べると手前のトドマツが成長して視界が悪いが、伐採する予算は…ないだろうな。中央に望むのは羊蹄山。村人の話では、この展望所から雲海を見下ろせるらしい。なかなかの観光スポットだ…とかなんとか書いちゃうと、「アンタはツイてるね」とかシンプルにまとめられてしまいそうで、はたと筆を止めた。だがしかし。たしかにそういう側面もあるのだろうけれど、買わないと決して当たらない宝くじのごとく、熱い想いのないところに風は吹かないわけで、これはやはり、自らが呼び寄せている運気なんじゃないかと思うわけでして。せっかく舞い降りてきた絶好のチャンス。逃すことなく、着実に計画を実現していきたい。

  • 03Sep
    • 山の暮らし : マツモムシの画像

      山の暮らし : マツモムシ

      ひたすら大自然…。山の暮らし : マツモムシ山には、とにかく虫が多い。店主はキャンプ好きとはいえ、基本的には虫が苦手なのではあるが、山の開拓を始めてからというもの、これほどまでにムシムシワールドにどっぷり浸かると、これはもう、開き直るほかないのである。で、山に生息するたいていの虫たちは、これまで見たことがあったり、たぶんその仲間だったりと、その形状的にナットクできるものがほとんどなのだが、先日、これまでの知見にまったく当てはまらない、驚愕的な虫を発見した。▲よかれと思い、軽トラに迷彩のトノカバーをかけたところ、これが衝撃の事態を招くことになるとは。どうすればこのサプライズを予見できるというのであろうか当山の作業用軽トラは、製造から30年ほどのロートルだ。仲良くなった地元の業者さんがどこからか見つけ出し、素早く手配してくれた、95年式スズキ・キャリーである。走行6.6万キロとはいえ、本年11月まで車検があり、しかも思いの他程度がよいので、このまま継続車検で現役続行をもくろみつつあるところで、さらに少しでもその劣化速度を遅くしたいと、荷台にトノカバーをかけることにしたわけなのである。数日後、北海道は豪雨に見舞われた。晴れ間をついて山を訪れてみると…、くだんのトノカバーが、盛大な水たまりになっていた。そして、「おいおい」と近づいてみると、なにやら水たまりの中に多数の生物がウヨウヨ泳いでいるではないか。気味が悪かったのですぐに排水してしまい画像を残せなかったのが惜しまれるが、ネットで泳ぎの特徴を調べたところ、すぐにその正体が判明した。マツモムシ…である。初めて見た。▲マツモムシ。体長は1cmちょいくらい。長い脚をオールのように漕いで泳ぐ。英名はそのまんま『Backswimmers』というそうだ。カメムシ系だけあって飛翔もできるらしい。飛ぶときはわざわざいったんひっくり返って背面になってから飛ぶという。どこまでもヘンな虫だマツモムシは水生肉食カメムシ類に属す。タガメの仲間だ。最大の特徴は、水面近くを背泳ぎする、というところに尽きる。覗き込むとひっくり返ってあたふたと潜水するのだが、息が続かないのか、すぐに浮上してまた背泳ぎになる。この慌てぶりは、まあ、かわいいといえなくもない。ところが、見た目と裏腹に生態は凶暴で、オタマジャクシやほかの水生昆虫を捕まえて鋭い口吻を突き刺し、消化液を注入して溶かした肉質をすするという、これがまた実にグロテスクなものだった。ヒトも刺されると、腫れて激痛をともなうという。触らないでおいてよかった。▲最近のコンテナハウスのようす。張りっぱなしにしているColemanのトンネルタープは、ここまでなんとか耐えてくれている。鉄骨鋼板製ガレージの発注はすでに完了しているが、納期が10月中旬になるというウワサもあり、はたしてそこまでもつものか戦々恐々としているところだ。完成はどうやら台風シーズンに間に合いそうもない気配なので、せめて北海道に上陸しないことを祈るばかりである…というわけで、山には虫が多い。初夏にはブユ(ブヨ)、夏にはアブ、スズメバチ。こいつらは吸血したり刺したりするのでたいへんに厄介だ。しかし、鬱陶しいということで他の追随を許さないのが、メマトイである。メマトイはハエ科の小さな昆虫で、顔のまわりをうるさく飛び回るばかりか、目を狙って突っ込んでくるから困ったものだ。一説によるとヒトの涙を舐めるためにたかるらしい。チェンソーや刈払機などの危険な道具を操作しているときに目に入ると著しく集中力を欠くので、危険な存在でもある。webの情報では「ハッカ油が効果絶大」とあるが、当山のメトマイには効かないようだ。これはブユも同様。メトマイ対策としては顔をすっぽり覆う防虫ネットが一番。しかし、ネットをかぶると視界不良になるので、店主はスポーツグラスで対処している。▲周囲を山に囲まれたこの村は、当然のことながらヒグマの生息地域で、毎年目撃情報や食害が多数報告されている。店主の山がある地区は、これまで比較的出没頻度が低いといわれてきたようだが、昨年、直線距離で500mほどしか離れていない家庭菜園でスイカの食害があり、地元の農家さんも驚いていた。動物愛護、猟友会の高齢化、駆除予算の削減などが重なり、ここ数年、ヒグマの生息頭数が急増しているという。画像のトウキビ畑もハデに食われたということで、捕獲用の檻が設置されていた。ヒグマの生息地にヒトが割り込んでいるとはいえ、ヘタに出会うと命を落としかねない動物だけに、なかなか共生は難しいものなのであるあとは、気温が低下してきた今日このごろは蛾が増えてきた。概ねでかく、翼長が手のひらサイズのヤツもいて、夜間、コンテナハウスの壁にコンコンと当たってうるさい。もう少し寒くなったら、たぶん、カメムシも登場することになろう。…と、あまり歓迎できない虫たちではあるが、期待できることもある。山にはミズナラの樹が多く生えていて、それらにカブトムシやクワガタが集まるはずだ。今年はちゃんと観察できなかったので、来シーズンはそれなりな対策をしてみたい。ゆくゆくは養殖してひと儲けするか。

  • 20Aug
    • 山の暮らし: 倒木や落枝の処理の画像

      山の暮らし: 倒木や落枝の処理

      『まん延防止等重点措置』、再・再・々・延長だってさ。山の暮らし: 倒木や落枝の処理札幌の夏の酷暑が、もはやすっかり恒例化してしまった感がある。今夏、7月末から30℃超えの真夏日が10日間以上続き、うち猛暑日と熱帯夜も数日カウントされるなど、少なくとも札幌に移住した30年近く前には考えられないほどの厳しい暑さとなった。あまりの暑さに山の仕事も危険と判断し、なにもせずに逃げ帰る日もあったほどだ。そんな酷暑が、8月9日になってぴたりと収まった。これは、西日本を中心に大きな被害をもたらした台風9号の影響だったわけだが、札幌ではその日を境に最高気温が20℃前後まで下がり、日没後は上着がないと耐えられないという、かなりトンデモナイことになっていたのである。これでは調子が狂う。▲7月9日のようす。このエリアは、もやしのようにホッソイ白樺がやたらと密集しているやっかいな場所。無秩序に倒れている木は立枯れを伐倒したものだ。ここまで細いと、倒れる方向を慎重に計算せずにチェンソーが使えるので気が楽である。この一帯は、秋になって葉が落ちた頃を見計らい、一部の太い白樺やそれ以外の落葉樹を残して一網打尽にする予定。いまから楽しみそんなわけで、8月上旬は山でも無理をせず、比較的ライトな作業に精を出した。そのライトな作業というのが、土地のあちこちに散在する倒木と落枝の処理である。倒木については、そのほとんどが晩春から初夏にかけてチェンソーで切り倒した白樺の立枯れである。立枯れは森を暗い雰囲気に陥れるだけでなく、下草刈り作業のジャマにもなるので、ある程度の面積を一気に切りまくり、その後、倒した木を人力で数カ所に集積しておいたものだ。間伐材は薪になるので貴重だが、立枯れはたいてい幹が腐っているので、焼却処分するほかない。腐った木で焚火をしても、煙に燻されるのがオチだ。薪ストーブの燃料にしようにも、本体や煙突を傷めるリスクがあるので、活用の方法はない。▲国産の軽トラは、いまや海外からの買い手が急増しているという、すさまじいほど頼りになる働き者である。6.6万km走行とはいえ、しっかり4WDの上さらに11月まで車検付きで11万円。軽トラの相場をご存じない方は「こんなボロに11万??」と思うかもしれないけれど、まず、そもそもにして軽トラの中古流通数が少ないので、欲しくても手に入らないのだ。最初は車検が切れたらそのまま場内作業車に下ろそうと思ったが、これなら継続してもいいかな、と思い始めている長い倒木は集積現場で軽トラの荷台に乗る程度にチェンソーで切り、落枝などと一緒に荷台に載せてベースまで運搬し、作業場でさらにドラム缶に入る長さにカットして、あとはひたすらに燃やす。実にシンプルなルーティン作業ではあるが、実は、これがけっこうシンドかったりする。まず、暑い。それでなくともクソ暑いのに、さらにでっかい焚火をしているんだから、これはもはやどうかしている。ほぼ、密法の護摩行の世界である。もっとも、酷暑の中、重たいチェンソーや刈払い機を担いであちこち歩き回るよりは、いくぶんか楽ではある。▲作業場に設置した自作の玉切り台で枝をカットする。実はこれくらいの太さの枝がいちばん厄介で、人力では折れない上、あちこちに枝がはねて、なかなかまとまらないときている。結局、画像のように束ねて、上に重しを載せて強引にぶった切るしかない。これがけっこう疲れるそれにしても、「比較的ライトな作業」といいつつ、軽トラの荷台いっぱいの木や枝を燃やし切るのに少なくとも2〜3時間は要するわけで、その間、チェンソーをふるったり人力で枝を細かく折ったりの護摩行だから、結局、汗だらだらの重労働には変わりない。山にはイージーな仕事は存在しないのである。しかしながら、集積された木や枝が消え失せ、スッキリとした跡地を眺めたときの清々しさといったら。地道にシコシコと人の手を入れることで、初めて森が活きてくるんだなあ…と実感できる瞬間だ。こういうところが、山暮らしの醍醐味…のひとつ…なんじゃないだろうか。▲Before-Afterを撮り忘れたが、森の入口あたりから見える範囲の倒木と落枝を一掃してやったの図。障害物のない地面に降り注ぐ木漏れ日が美しい。手前のちょっと広場っぽくなっている場所は、昨年の今頃は背丈以上のイタドリが猛威を振るっていて人類の侵入を断固拒んでいたものを、春先の芽吹きから根絶を繰り返した結果、このようないいかんじの広場に変貌した。とはいえイタドリはしぶといので、この闘いは数年続くはずだが、勝利の暁にはかわゆい野草に覆われた、いいかんじの庭になってくれるに違いないさて。8月17日、北海道の『まん延防止等重点措置』の再再々延長が政府から発表された。これにより、当店では9月1日から12日までの休業延長を決定。長期休業は4ヶ月半におよぶこととなった。ここまで長丁場の自粛要請にも関わらず、ここ札幌においても感染は収まるどころか拡大方向に転じており、一方で50歳未満の若年層に対するワクチン接種は、現時点でまだ予約受付けすら始まっていないなど、これはもはや、どうにも立ち行かないところまできているように思えてならない。一般市民には「出かけるな家にいろ外で呑むな騒ぐなテレワーク」と諭しておきながら、一方では圧力に屈して祭典の開催を強行するあたり、わが国の指導者の政治判断の非合理性には、ほとほと愛想をつかしている常識人も多いことだろう。思い起こせば、昨年の今頃は『GO TO』の迷走ですったもんだしていたっけ。いや、ほんと、ダメダコリャですよ、実際。▲50〜59歳を対象とする集団接種会場のweb予約受付けが、8月11日の9時にやっとスタートした。当日、コンピュータの前で待ち構えて時報と同時にアクセスするも「たいへん混雑しており…」という予定どおりの反応に思わず脱力。当日は所用があり、画面をそのままの状態にして昼頃帰宅したところ、予約が可能なステータスになっていたのはいいのだが、近場の会場すべてが予約期限の10月末まで満員御礼…ってどういうこと?? 結局、自宅からクルマで30分にして最も巨大な会場と思われる『コミュニティドーム:つどーむ』でどうにか2回分の接種予約を完了させることができた。こんなんでほんと、大丈夫なの??もうすぐ解散総選挙。前例のないパンデミックとの闘いとはいえ、ここまで導きを誤り続けてきた政治家の人は、真摯に自らの失策を認め、誠実に責任を取っていただきたいものである。…ということで、みなさん、今回の選挙は特にちゃんと考えて慎重に投票しましょうね!

  • 02Aug
    • 山の暮らし : 玉切り台を自作するの画像

      山の暮らし : 玉切り台を自作する

      新しいカテゴリを設定。山の暮らし : 玉切り台を自作する本格的に入植して3ヶ月が経った。山の暮らしがそこそこ安定してきたので、ちょっとした思いつきなど、山の生活の様子を紹介するカテゴリを新設した。栄えある初回は、玉切り台の自作だ。過日の記事でも紹介したとおり、間伐した木は薪として利用する。薪にするには、伐倒した木を適度な大きさに輪切りしなくてはならない。この輪切り作業を、「玉切り」という。これまで、玉切りの作業は伐倒した現場で行っていて、後日、軽トラでそれらをまとめて回収するという地道な繰り返しでやりくりしてきたのだが、電動とはいえそれなりに重量のあるチェンソーを、腰を折り曲げて操作するのはかなりキツイ重労働だった。このままでは腰がヤバい。…というわけで、玉切り台を自作した。玉切り台を使えば、直立したままチェンソーを扱えるので、大量に玉切りするときなどは、腰への負担を大幅に軽減できる。構造はいたってシンプルである。開墾の師匠から大量にいただいた2✕4廃材を活用して、それらを丸のこで切って、ドリルで穴を開け、ボルト&ナットで組み合わせただけ。使用した材料は以下のとおり。2✕4材 1200mm✕2本2✕4材 630mm✕1本2✕4材 548mm✕1本M10-100mm ボルト✕2M10ナット ✕2M10 ワッシャ✕4M10 座金✕2コースレッド 75mm✕8 ▲自作した玉切り台。折りたたんで収納することができる。全幅は630mmだが、当山のように、細い木ばかりを玉切りするのであれば、幅はもっと狭いほうが運用しやすいようにも思う。材料は廃材の2✕4。そもそも建材として非常に堅牢なので、重量こそあるが、安定感はばっちりだ。今後、高さや幅のバリエーションを作って、多様な材に対応できるようにするのもよいかもしれないこのように、実にシンプル構成なのであるが、注意すべきポイントは、台の高さをどれほどにするか、ということであろう。店主の身長は176cm。チェンソーを自然に構えた際の高さを、材料を作業台に立て掛けつつ目見当で割り出した結果が、材のカット寸法1200mmであった。X字にクロスする材をどれくらいの角度で展開するかによって、台の仕上がり高さは異なってくる。太い木を切るなら開いたほうがいいし、細ければ狭いほうが扱い易いかもしれない。実際の角度は図っていないが、おおよそ60〜70°くらいか。また、台の全幅の設定も重要だ。薪ストーブの燃料を想定すると、薪の長さは300〜350mmくらいが適当と思われる。玉切りを繰り返して短くなった木を最後に分割する際、台の幅の内寸が700mm以上だと両端に引っかからないことになってしまう。今回、1830mmの材から1200mm分をカットして、その残りをそのまま桁として活用したため自動的に全幅が630mmになったわけだが、実際に運用してみたところ、600mmかそれ以下でもよいように感じた。で、自作玉切り台を使ってみてのファーストインプレッションは…、もっと早く作るべきであった…というものである。玉切り作業が、気持ちよいほどサクサクと進む。要改良ポイントとしては、台に横たえた木を固定する可動式のおもしがあればより作業性が上がるので、次回、ホームセンターで材料を物色してみようと思う。▲早朝、仮設のコンテナハウスの脇を通る林道から、カルデラの南壁を眺望した図。夕方に山から降りてきたガスが消滅してく様を観察できる。この舗装された村道は、実にいい味を醸している。道際の右側に見える青い屋根の小屋は、この地区の飲料水の浄化施設。そこからさらに100mほど下ったところに薬剤注入施設があって、当家の水道はそこから折り返して引かれる予定。水源は林道を登ったところにある…というわけで、山暮らしがルーティン化してきた。このところ毎年のように襲いかかってくる猛暑は北海道においても同様で、村も連日30℃超えの真夏日だ。幸い、山に吹く風は涼しく、日陰にいれば爽やかだが、草刈りや伐倒した木の運び出しなどでカラダを動かせば、滝のように汗が出る。とはいえ日没後は寒いくらいに気温が低下し、いまのところ寝苦しさとは無縁なところが救いだ。ここ数日は重労働はできるだけ避け、伐倒して集積しておいた木を玉切りしたり、ガレージと本居の建設予定地をマーキングしてみたり、昼から焼肉したり白ワインを飲んだりしながら山暮らしを楽しんでいる。札幌市は、本日(8月2日)から再々まん延防止等重点措置発出、ということで、8月31日まで酒類の提供が禁止されてしまった。これで、4月27日以来、4ヶ月強の休業が決定したわけだ。当店は要請遵守で真面目に休業しているけれど、覆面で営業している店も多々あると聞くし、再々にわたる行政発出に、いったいどこまで効果があるのか懐疑的にならざるを得ない。頼みの綱といわれるワクチンも、接種券こそ交付されたものの、肝心の接種場所の獲得が困難な状況だ。本日現在も、市の大規模接種会場の対象者は高齢者と基礎疾患を持つ18歳以上のみが対象。57歳の店主は、いつ接種できるのか、予定すら立っていない。ためしに、過去に通院歴のあるクリニックに数件に問い合わせたところ、ワクチンの割当本数が不透明なので接種そのものを中止していたり、そもそも枠が小さいため予約が取れなかったりと、まったく処置なしの状態だ。▲当初、感染後の死亡率が高いという理由で高齢者の優先接種が強行されてきたが、ウィルス禍から1年半経っていろんな知見の蓄積が進んだわけで、いまもっとも問題視されているのは若年層の感染拡大なのではないか。データでもそれが明らかなのにも関わらず、少なくとも本日現在、札幌市における60歳未満の接種予定は『未定』のままだ。高齢者はそもそも活発に行動するカロリーが低いはずなので、数量が限られているワクチンの接種を、若年層優先に一気に舵切りするのが収束に向かう近道だと確信するのだが、そこがすんなりいかないのが政治という魔物のなせるワザか巷間、オリンピックで盛り上がっている。「この状態でほんとにやるのか」となかば呆れていたものだが、実際に始まってみると、それはそれで盛り上がっていて、いまもTV観戦しながらblogを更新している。8月5日からは、札幌で競歩とマラソン競技が始まる。札幌中心部を1km以上にわたり横断する『大通公園』は、そのスタート会場になっており、一部が閉鎖され、交通規制も始まって、競技開催の準備が着々と進んでいるように見える。それにしても、こんな暑い中、ほんとにガチで走って大丈夫なのか?対策として、スタート時間を早め、朝7時号砲ということになってはいるが、それにしても無理があるような…。いっそのこと、夜明け(4時くらい)スタートにしたら選手の負担を減らすことができるし、沿道に観客が密集することも抑制できて感染拡大防止の観点からもメリットばかりだと思うのだが。…と、いうような妙案が採用されないのは金欲に溺れた権力者の都合であることはわかりきっているのでいまさらここに吠えるのはやめておくとして、とにかくオリンピックが原因で感染が再拡大して、またまた行政の感染拡大防止対策が延長されるということだけはやめてほしい、と、切に願う気温30℃の17時30分、なのであった。

  • 23Jul
    • 還暦移住計画 その12 ガレージ兼作業小屋を建てる計画の画像

      還暦移住計画 その12 ガレージ兼作業小屋を建てる計画

      モノグサ店長としてはめずらしく、連日投稿なり。還暦移住計画 その12 ガレージ兼作業小屋を建てる計画本年4月、仮住まい用のコンテナハウスの設置と同時に、雨天での作業や道具類の当座の保管場所確保のため、自宅の納戸で長らく眠っていた約20年モノのCOLEMANトンネルタープをここまで活用してきたことは、すでに直近の記事にてご報告済みである。この巨大なトンネルタープ、重量がかなりあり、独りで展張するのは著しく困難というかほぼ無理なほど手のかかるヤツで、数回キャンプ場に持ち込んで以来、張るのが面倒になり、以降ずっと畳んで放置していたものだ。今回、ようやく陽の目を見て、その実、たいへんに安心感のある存在となってくれている。棄てないでおいて、ほんとにヨカッタ。▲4月にコンテナハウスを設置した直後の画像。早々に例のトンネルタープを展張したが、その数日後、不在時に吹き荒れた烈風で見るも無残な姿になった。飛んでいかなかったのが奇跡だ。その後、杭を打ち込んで4方をロープで固定することで、今日までなんとか凌いでいるしかし、展張から数日後、この土地特有といわれる春先の烈風に翻弄され、スチール製のポールはたわみ、その他のジョイント部分も数箇所変形してしまい、タープ全体があからさまに歪んでしまった。こんな惨状にもかかわらず、引き裂かれたり飛んでいかなかったのが不思議なくらいであった。現在はそれなりの対策済みだが、予断を許さないシチュエーションには違いない。▲7月25日現在のトンネルタープ。右に大きく傾いでいるのは、ロープで強制的に引っ張っているためではあるが、ルーフのボールジョイントが歪んだため、本来の丸いドームのラインが完全に崩れている。左側も同じくロープで展張しているものの、スペース的にコンテナの屋根にアンカーを設けたためイビツ加減が増長されている。四隅のスチール製メインポールはたわみっぱなしで、無理な力がかかるジョイント部にはサビが…さらに、ここ3ヶ月にわたり張りっぱなしにしている上に、最近の猛暑と炎天下に晒されて全体的に褪色が進み、ついにはテント生地が劣化して、ところどころ自然に小さな裂け目ができてきたという、もはや断末魔の様相を呈してきたのには思わず目を背けたくなる。そもそも降雪前にちゃんとしたガレージ兼作業小屋を建設するつもりで、COLEMANには当初から天寿を全うしていただくつもりだったので、まあ思惑どおりといえばそのままなのではあるが、思いもよらぬ劣化速度の速さには、正直アセる気持ちを禁じ得ない。台風シーズンが到来したら、間違いなくすっ飛んでいくか、バラバラになってしまうに違いない。▲焚火をするにしても、このようなタープがあると安心感がぜんぜん違う。タープ内に見えるのは木工作業用の作業台。定尺の合板がすっぽり格納できるのもありがたい。タープの内部には、このほか刈払機用のガソリンやオイル、器具のメンテナンスのための道具類、手洗い用の水タンクなどが納まっている。さらに、無理やり単車を押し込むスペースも残されており、これなら雨が降っても心配無用だで、肝心のガレージ兼作業小屋なのだが、実は、入植した4月下旬から地元の業者さんに打診し続けてきた。…にもかかわらず、実際に工務店の担当者が現地確認にこられたのは、ようやく6月初旬を迎えた頃であった。タイムラグ1ヶ月以上…。これでもプッシュは怠らなかったのだが、まあ、その土地にはその土地の時間の流れがある、ということで…。こちらが要望したガレージ兼作業小屋の仕様は、というと…・間口3間✕奥行4間(5,460mm✕7,280mm)・木造外壁杉板仕上げ・間口木製引戸・屋根片流れ・コンクリ土間…くらいなもので、まあ、いわゆる、実にシンプルな、田舎にありがちな木造平屋の納屋である。ところが、7月初旬、はじめての見積が出てきて、目ン玉が飛び出た。断熱も内装もないただの木造平屋の小屋で、680万円ほどの見積額だったのだ。こりゃ、たまげた。できるだけ地元にお金を落としたい気持ちもあり、多少高くつくとは覚悟していたものの、それでも見積は高くても400万円以内に収まるという目論見であったので、さすがに度肝を抜かれた次第だ。憚りながらも田舎にありがちなボッタクリでは、と、念のため札幌の知り合いのツテでくだんの見積をプロに精査してもらったところ、たしかに高いが、その差額はせいぜい1割程度とのことであった。この想定外の高額な見積の要因のひとつは、巷間ささやかれてきた世界的な木材の価格高騰、いわゆる『ウッドショック』にあるようだ。コロナ禍の影響で需給のバランスが崩壊して、いち早く経済復興に舵切りをしている国にあらゆる資材が流れているのだという。そして、いまいま、木材の価格高騰がわが国の建設業界を脅かしているのだとも。事実、日本は建築用木材の買付に遅れを取り、在庫不足から卸価格が軒並み上昇、着工したものの資金不足で工事が中断したり、木造から鉄筋造に仕様変更を余儀なくされる施主が後を絶たないようだ。▲これまでもっとも安価な建築材料と思われていた木材が、いまや鋼材とさほど変わらないほど価格高騰しているという事実。たしかに、新国立競技場に木材が多用されるなど、世界的に木材建築物への原点回帰が進んでいるのかもしれない。それにしても、食品にしても資材にしても、このところ日本が世界的に輸入買付弱者になっているというニュースを頻繁に耳にするようになった。その要因は中国の経済台頭が主たるものだろうが、それ以上に我が国の急速な国力低下を憂うべきであろう。日本の政治家が無力化している証、である*この画像はこちらから拝借しました https://www.coconoki.com/存外に高額な見積を目の当たりにする以前、「ガレージ兼作業小屋は木造で」と当然のように考えていたが、実際のところ、見た目を考慮せず機能性に特化するのであれば、もっとずっと安価に建設できる選択肢が存在していた。その代表例が、鉄骨鋼板造のガレージである。そう、よく田舎の住宅の脇に立っている無機質なガレージだ。商標名『カスケードガレージ』と称するこの製品は、北海道江別市のメーカーが考案したもので、豪雪にも耐える独自の堅牢設計とその低価格から、全国的にも広く普及しているのだという。▲株式会社日江(にっこう)金属の『カスケードガレージ』。北海道江別市のメーカーだ。大きくRのついた軒部分で垂直方向(積雪)の荷重を逃がすと同時に、天井と側板は一体の曲げ&ジャバラ加工の鋼板になっていて、素人目からも非常に合理的な応力構造になっている。間口サイズを決めれば、奥行方向は600mm単位でどこまでも拡張可能という柔軟性もすごい。今回木造で見積もったものとほぼ同サイズで、概算額はおよそ250万円〜(基礎、土間打ち、税込)と木造の半額以下で最低限の建設が可能だ。惜しむらくは外観のイケてなさか。色こそ選択肢が増えたというものの、シャッターの仕様含め、佇まいとしては味気ない、というかダサい、と言わざるを得ないのが残念だもとより、自分の山には味わいのある木造のガレージ兼作業小屋を建立するはずだったものが、「無い袖は振れない」ということで、これは『カスケードガレージ』でなんとかするか、と、なかば観念しかけたところ、当店スタッフの『ゆうこりん』から、画期的な情報がもたらされた。あの、「100人乗っても大丈夫」の稲葉製作所が近年リリースした、『デザイナーズガレージ』である。イナバといえば、カスケードガレージ同様、オシャレとは無縁な実用最至上主義的なメーカーであったはずだが、このところのウッドショックを背景とした需要拡大を見越してのことか、精力的なマーケット開発にチャレンジしているようだ。▲イナバ製作所製ガレージの『フラッグシップ』に位置づけられている『ARCIA(アルシア)』シリーズ。イナバの確固たるノウハウを活かしつつ、「見た目重視」の製品になっているという。たしかに、フラットシャッターの採用、鋼板の塗色を内外ダークグレーとするなど、全体的にアーバンでシックな印象だ。とはいえ、味わいがあるかといえば、そこは木造の比ではない。仮に本居をコンテナハウスでまとめるとしても、外観的に「似て非なる」鋼材ガレージが全体的な雰囲気にマッチするかどうかは、ちょいと疑問だ。こちらがリクエストしている大きさで概算すると、コストはおおよそ350万円くらいか。『カスケードガレージ』よりは高価になるが、それでも木造よりははるかに安価ださらに、「木造ガレージ」のキーワードでweb検索したところ、長野県の木造ガレージキットメーカーがヒットした。主に米国やカナダから輸入する2✕4(ツーバイフォー)材を規格化、キット化し販売している住宅メーカーで、多少アメリカンな雰囲気が鼻につくものの、外壁の塗装次第では、鋼板仕様よりも当山に馴染むものができるかもしれない、なんて思料している。現在、躯体が村の豪雪に耐えられる構造なのかどうか、メーカーに問い合わせ中だ。▲長野県のEEplanという住宅メーカーのキット製品。この画像は同社HPの施工例より。2✕4構造特有の制約を前提としつつフレキシブルなプランを提案する意欲的なメーカーのようだ。現在のところ、当方の問い合わせに対する回答を得ていないのでなんともいえないが、2mにもなる豪雪に耐えられるなら、十分に選択の候補に入れることができる。自分が要望するサイズのフルキット表示価格は約240万円。キットを取り寄せて、地元の業者さんに基礎と土間打ちと組み立てのサポートを発注したとして、総額で400万円に収まるのなら、これもありか?…というわけで、いまいま、ガレージ兼作業小屋をどのような仕様で建設するか、かなり真剣に思案しているところだ。ふんだんに資金があれば理想重視で進められようが、実際のところ、現実はそんなに甘くない。ただ、こうして目の前にある選択肢をいろいろと吟味して、結果的に自分を納得させられればそれでいいし、吟味を繰り返す中で、ここまで思いもよらなかったようなスマッシュヒット的なアイディアが生まれるかもしれないから面白い。…面白いといいつつ、そう思わないとやってられん…という現実はちょっとのけておいて、まずは後悔しない『ガレージ兼作業小屋』作りにフォーカスしたいと集中力を高めている、『スポーツの日』の夕暮れ時なのでありました(ワイン飲みながら)。

  • 22Jul
    • 近況のご報告:2021年7月版の画像

      近況のご報告:2021年7月版

      はっきりいって、調子狂ってます。近況のご報告:2021年7月版予想どおり、行政の感染防止対策の発出が延長に次ぐ延長を続けている。振り返ってみれば、ワインバー『オ・グルニエ』の予期せぬ長期休業は、本年4月27日に端を発していた。・4月27日〜5月11日 感染防止対策(時短要請)・5月12日〜5月31日 まん延防止&緊急事態措置(休業要請)・6月1日 〜6月20日 緊急事態措置延長(休業要請)・6月21日〜7月11日 再まん延防止等重点措置(時短要請)・7月12日〜7月25日 道の特別対策(時短要請)上記は、ワクチン接種が思うように進まない現状において、確たる感染防止策の切り札を持たぬまま、ただ「だらだら」と飲食店に対する休業&時短要請を繰り返してきた行政の無様な対策の履歴である。医者や学者たちは早くからこの事態を想定してアピールし続けていたのだから、行政はそれらに対して真摯に耳を傾け、より強硬な対策を先手を打って発出するべきであった。まあ、言うは易し、ではあるが…。▲7月22日現在の札幌市HP『ワクチン接種NAVI』のステータス。いまだ65歳以上の高齢者も、基礎疾患を持つ方も『実施中』。87歳になる実父は医療機関にて2回めの接種予定だったが、ワクチン不足を理由に先方から一方的にキャンセルされてしまった。先日、自分にもワクチン接種券が郵送されてきたものの、結局、現時点で60歳未満に対する接種は予定すら立っていないという。札幌市の接種率は全国でもワースト1らしい。政府は接種実績を急ぐばかりに大企業を中心とした『職域接種』にワクチンを割り振りすぎて、本来優先的に接種されるべき国民にワクチンが行き渡らなくなってしまったのは明らか。財界から圧力があったのだろうか。いったい政府はなにをやってるんだか4月27日以降、間断なく続いたこれらの休業または時短要請について、行政は都度、要請に応じた事業者に対する協力支援金を準備してきた。北海道における従前の協力支援金は、業態の規模(キャバクラ等風俗は別枠)にかかわらず「一律一日2万円」という設定だったが、ここにきてようやく規模に応じた変動支給となり、それなりに不公平感の是正に尽力したのはせめてもの救いだ。それにしても、これらの協力支援金を得るためには、延長される都度申請書類の提出を求められ、正直たいへん面倒である。貴重な税金を投入するのだから厳密に審査すべしというのは理解できるが、先進国ニッポンらしく、web経由の一発エントリーで解決してほしいものである。いまだに書類のプリントを揃えて「レターパックで送れ」というのは、あまりに前時代的過ぎないか?しかも、ちょっとしたことで不備になって差し戻しになるし…。あと、問題なのが、申請から支給までの大きなタイムラグである。限られた人員で膨大な数の申請を処理しているのだから多少時間がかかるのはやむを得ないとはいえ、当店の場合、現時点(7月22日)で給付された協力支援金は、4月27日〜5月11日の『感染防止対策』と、5月12日〜5月31日の『まん延防止&緊急事態措置』の2件に留まり、いずれも申請から給付まで約1ヶ月半を要した。幸い、当店は借入金もない零細個人店だから、店の固定費と家計は貯蓄を切り崩すことでなんとか当座を凌ぐことができてはいるが、多くの飲食業経営者、特に従業員を多数かかえる大規模店は、まさに「火の車」だろうと想像する。せめて、申請から半月程度で給付してもらいたいものだ。▲協力支援金給付の要件のひとつとして、店の外に時短または休業している旨、告知物の掲示が求められる(書式は自由)。これまで要請が延長されるたびにプリントしてエントランスの扉に貼り出してきたが、そもそも当店はビルのセキュリティシステムの関係で店主不在時にはフロアにエレベータが停止しないので、掲示そのものに意味がないという。どんなに要件を厳しくしたとしても、役人の抑止力レベルでは確信犯的に詐欺行為を企てる輩を防ぐことなんかできるわけないんだから、とりあえず給付を急ぎ、あとから落ち着いて査定するのが間違いなく合理的だと思うのは店主ばかりではあるまい…というわけで、4月27日から7月25日まで、およそ3ヶ月間の長期休業となっている。5月の収入は実質ゼロである。こんなにも協力支援金の給付に時間がかかるなら、引き続き6月も無収入なのかと覚悟していたら、6月25日になってようやく一発目の協力支援金が給付となり、ちょいと胸をなでおろしたところである。…と安堵したのも束の間。7月21日になって、札幌市長は直近の市内感染再拡大を鑑み、北海道独自の特別対策を8月22日まで延長すると発表。さらに、鈴木知事は、国に対して同期間中の『まん延防止等重点措置』の適用を申請した。『特別対策』にとどまるにしても、『まん延防止』になるにしても、どうやら、この長期休業はさらに1ヶ月間延長される運びとなるのは間違いなさそうだ。ここまで、天から降ってきた長期休業を利用して、ただひらすら山の開墾に邁進してきたわけだが、さらに休めといわれると、さすがに調子が狂ってくる。果たして、コロナ禍収束後、まともにバーのおやじとして復帰できるのだろうか。なんだか思いがけず不安になってきた7月22日、変則・『海の日』の午後なのであった。

  • 06Jul
    • 還暦移住計画 その11 下草を刈るの画像

      還暦移住計画 その11 下草を刈る

      大自然との戦いは続く。還暦移住計画 その11 下草を刈るどうやらここ数週間、北海道では新型コロナウィルス新規感染者数の減少傾向が続き、現在札幌に対して発令中の『まん延防止等重点措置』は、予定通り7月11日で期間終了となりそうだ。6月21日から始まった最新の『まん延防止等重点措置』では、「酒類提供は19時まで、営業は20時まで」という規制がかかったため、当店ではそもそもの営業を諦め、期間中休業としたことは以前の記事でご報告したとおりである。この予期せぬ休暇を利用してひたすら山を開墾しているわけなのだが、このところ天候にも恵まれ、週のうち5日間は山に入っている。おかげさまで、だいぶ作業が進捗した。今回は、下草刈りの話である。開墾の最大の敵は『笹』であることに間違いはないが、自然界にはほかにもかなりなツワモノがいて、それらの駆逐について大いに難儀している。▲最大の難敵『笹』。場所によっては身の丈を超え、折り重なるように倒れつつもシブトク生きているやつらがことごとく行く手を阻む。土地の南奥のアシの原っぱに笹が侵攻し、微妙な境界線をめぐって両者せめぎ合っているのだが、どうやら笹のほうが根本的な生命力で勝っているようだ。画像では手前がアシで奥から笹が侵攻してるようすがわかる笹の次にやっかいなのが『イタドリ』だ。『イタドリ』は東南アジア原産の多年生植物。人為的または災害等で土地が撹乱された後、真っ先に勢力を伸ばす先駆的植物で、『世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 』にも指定されているそうだ。とにかく成長が早く、ほっておくとあっという間に身の丈を超え、さらに再生力がハンパないので、刈っても刈ってもすぐに芽を出すというゾンビ的な雑草である。『フキ』もヤバい。春には山菜としておいしく食べられるが、成長してからは憎たらしいヤツへと変貌する。巨大なやつはちょっとした卓袱台くらいに葉を広げるため、傘のように陽光を遮り、森を暗い雰囲気に沈めてしまう。葉に隠れて茎の位置が特定しにくく、正確に刈りづらいのも面倒だ。幸いなことに、イタドリもフキも茎自体は脆いので、笹ほど手こずることはないのだが、でっかいイタドリが自分のほうにばったばったと倒れてきたり、フキの葉に隠れた倒木に気づかずに刈払機のカッターがキックバックしたりするから、やっかいなことには変わりない。▲中央で高く伸びているのが『イタドリ』、左下に広がっているのが『フキ』。この現場はすでにある程度手が入った状態なのでさほどでもないが、手つかずの場所ではこいつらが生い茂って闇をつくっている。いったん刈り払ってやると陽光が地面に差し込み、これまで陽の目をみなかった小さい草たちが芽吹いてくる。この地道な戦いを繰り返すことで美しい風景が醸成されていくわけだほかにも、アシ、ヨモギのほか、名も知らないような多種の雑草が地面を覆い尽くている。これらの雑草に隠れてあちこちに硬い幼木が突き出ていて、これらに刃が弾かれたりするから、下草刈りは幼木を避けるようにあちこちウロウロしながらの作業となり、これはこれで笹刈にも劣らぬ重労働だ。しかしながら、笹と同様、やっつけたあとの爽快感と達成感は十分なものなのである。▲敷地の中には、その環境によって覇権を握っている雑草の勢力図がある。谷になっている場所は土地の水分が集まるのか、湿地を好むアシが強い。アシは冬に枯れると、倒れて積み重なり層をなすため、最終的には重機で引っぺがす必要があるようだが、茎が細く柔らかいので、刈り払い自体は容易である。上の2点はアシのエリア開墾のBefore-After。地面が見えてすっきりしたのがわかる。中央の株条に生えているのはウド。敷地内にはウドの株が点在していて、これらは春先の貴重な山菜となるので、刈らないよう細心の注意をもって作業をしている…とまあ、こんな具合に着々と開墾を進めている。当初、自然界の猛威に圧倒され、果たしてどれだけ時間を要せばこの森を我が物にできるのか不安になったものだが、気合を入れてやれば、意外とできるものだと実感した。開墾開始から2ヶ月半。ここまでで、この土地の地形、どこにどのような木があるか…など、その全容を把握しつつある。今後の予定としては、笹ヤブに巣を作るスズメバチが怖いので笹刈は一段落とし、森の南奥の下草刈り、いちど笹や下草を刈った場所のメンテナンス、倒木や枯木の整理、枝や細木の焼却など。また、秋までに将来ガレージとして接続される納屋を建設予定なので、その準備などに奔走されそうだ。▲最強の昆虫ともいわれる『スズメバチ』。刺されると命の危険もあるため、近くに営巣されないよう注意が必要だ。笹薮に営巣することも多いようなので、特に活動が活発化する盛夏は笹薮に接近しないほうが無難である。7月に入ってから、仮設テントにスズメバチの仲間が迷い込むようになった。単独行動なのでたぶん偵察飛行だと思うが、かわいそうでも人間の生活圏に侵入してしまった個体は躊躇なく抹殺したほうがよい。共存するには、お互い接近しないことが肝要だ『まん延防止等重点措置』解除以降は、店も通常営業に戻る。いまのところ、定休日の日曜以外に、月曜、火曜も休業として、山の開発を急ぐ予定。もっとも、それができるのも5月から11月いっぱいといったところか。積雪シーズンとなる12月から4月までは、屋根の雪下ろしなどやることはあるにしても、建設的な開墾作業は一時停止だ。そこが雪国のつらいところである。それにしても心配なのが、2ヶ月半も休業して、果たしてバーのおやじとしてちゃんと社会復帰できるのか、という点である。山では23時前後に就寝して5時起床、6時には作業を開始するルーティンが出来上がってしまったので、営業中に睡魔に襲われるのではといまから心配だ。まあ、カラダを壊さない程度に一生懸命やるしかないのではあるが…。

  • 02Jul
    • 還暦移住計画 その10 木を切るの画像

      還暦移住計画 その10 木を切る

      木を切る生活を送ることになるとはなあ…。還暦移住計画 その10 木を切るもっぱら笹と戦う日々だが、ちょいちょい木も切っている。木を切るには、チェンソーが必要だ。前回記事にした刈払機にしても、チェンソーにしても、現代は開墾を手助けしてくれる高性能マシンが、それなりなお手頃価格で手に入るからありがたい。北海道が開基された150年前はすべて「へいへいほー」な手作業だったことを考えると、先人たちの力強さと粘り強さには頭が下がる思いだ。刈払機同様、チェンソーの動力も、エンジンと電気モーターの2種に大別される。両者のメリット&デメリットは刈払機と同様で、太い木を大量に切るにはエンジン、ちょっとした日々の間伐や枝打ちには電動、…と使い分けるのがよいのではと実感した。▲店主が導入したのは『世界のmakita』の充電式電動チェンソー『MUC353DPG2』。18Vのリチウムイオン電池2個(36V)で、「30ccのエンジンと同等のパワー」とメーカーは豪語する。バッテリー2個および2個口急速充電器のセットで59,795円(税込・楽天実勢価格)とかなり高額。チェーンが装着されるガイドバーの長さは数種類あって、このタイプはもっとも長い350mm。「大は小を兼ねる」という大雑把な感覚でセレクトしたが、結果的には、200mmかそれ以下のほうが日常使いとしては勝手がよいと思う。やはり道具というものは、実際に使ってみないとわからないものだところで、木を伐採するのに適した季節は晩秋だ。葉が生い茂る時期は、切った木の枝葉がほかの木の枝葉に引っかかって倒れにくいばかりでなく、倒したあとも枝についた枯葉が邪魔で処分に難儀する。また、春先は葉こそないものの、木が冬眠から目覚めて激しく水を吸い上げているため切りづらい。この事実を知らなかったわけではないのだが、春先に入植してから、森の中を探索するのに邪魔なヤツや、その後奥地まで軽トラを乗り入れるのに障害となるヤツらを切ってきたのだ。まあ、チェンソーで木を切ってみたかった、というのが最大の理由なのだが…。▲作業用の軽トラ。最初に手配してもらったボロボロのヤツは発電機がイカれていたので、手配してくれた業者さんに泣きを入れたらさっさと取り替えてくれた。ものすごいフットワークの軽さ。やはり、地元の業者さんと仲良くなるのは大切だと痛感した。これから開墾を始める方は、ぜひ地元で助けてくれる人を探してください。それにしても、同じスズキのキャリーでも前回と比べて程度のよさが雲泥の差。4駆、5速でしかも11月まで車検がついている。これなら隣町のホームセンターまで転がして、長尺ものを積んで帰ることができる。助かるわーーー倒した木はどうするか、というと、当然のことながら太い幹の部分は薪にする。そのためには、まず、幹を適度な長さで輪切りにするわけだが、この作業を『玉切り』という。腰を折ってチェンソーを使う作業なので、腰痛をともなう重労働だ。玉切りにする長さは、薪ストーブの燃料目的の場合、30〜40cmくらいか。長すぎるとストーブに入らないから、本来ならいちいち寸法をマークしなければならないところを、大雑把な性格ゆえ感覚値でやっつけるので、当然、長いのやら短いのやらが混在することになる。まあ、いいさ。敷地内に生えている木は、農地として放棄された20数年前以降に自生したもので、そのほとんどが白樺。たぶん、一斉に萌芽して、陽光を求めて争うように伸びたからか、どいつもこいつもひょろ長い。本来、優良な薪にするためには、玉切りの後、さらに縦に割る『薪割り』をしなくてはならないところだが、ここの白樺どもは薪割りするまでもないので、ある意味助かるといえば助かる。▲競うように天に向けて枝を伸ばす白樺ども。この程度の太さだと「森」というよりは「林」レベルだ。秋には一斉に間伐して残した木を太く育てるつもりだが、生きてる間に「森」になってくれるかどうかは、はなはだ怪しい。それにしても、土と木々がもたらしてくれる爽やかな風の心地よさといったら。同じ気温でも、アスファルトの上にいるのとではまったく違う。笹刈でだらっだらだった汗が「すーっ」と引いていく玉切り、または薪割りを終えた薪は、風通しのよい場所に積み上げて乾燥させる必要がある。木、というのは、実はものすごく水分を含んでいて、切った直後は燃えにくく、煙ばかり出て効率が悪いので、燃料には適さない。キャンプで焚火するとき、そのへんにあった落枝とかをくべたら煙に燻されて散々だったことあるでしょう?識者によると、薪は2年程度は乾燥させなければならないらしい。それにしても、市販の薪は高価だ。ホームセンターでは、ひと束800円以上で販売されている。こんなもの買ってきて暖房したら、灯油やガスや電気よりも割高になるだろう。火力調整も難しいし。逆に、間伐した木を薪にして販売したら、ちょっとした副収入になるかもしれない。おかげさまで、資源は豊富にある。▲臨時の薪置場。ニセアカシアの木を側柱として利用している。本数はそんなに伐採していないにもかかわらず、玉切りしてみるとけっこうな量に。いまは仮設なのでこのまま放置だが、本設したらトタンなどで雨水が直接当たらないように工夫する必要がある。手前のタイヤや謎の手すりは、笹を刈っていて発掘した不法投棄物。たぶん、土地の所有者だった農家さんが、自分の土地だからとぶん投げた生活の名残かと思われる。実は、これらの不法投棄物はもっと頻出すると覚悟していたのだが、幸い、そこまでではないようだ。それにしても、漁師さんといい農家さんといい、昔の人はなんでもそのへんにぶん投げるので困ったものだ…というわけで、今回は「木を切る」をテーマに記事にした。実際のところ、本格的な間伐作業は晩秋を待たなければならない。具体的には11月後半、雪が積もる直前か。その頃には刈払機同様、たぶん、エンジン式のチェンソーが導入されているような気がする。「やってみなければわからない」とはよくいったもので、なにからなにまで初めて挑戦することばかりなので回り道ばかりしているような気がするが、これも成長のためには必要なプロセスなのかもしれない。いまは、失敗や回り道も楽しんで受け入れよう…と開き直る、山暮らしの日々なのであった。

  • 24Jun
    • 還暦移住計画 その9 笹を刈るの画像

      還暦移住計画 その9 笹を刈る

      嗚呼、大自然。還暦移住計画 その9 笹を刈る6月21日に緊急事態宣言解除かと思ったら、まさかの『まん延防止等重点措置』に移行ということで、結局、4月27日から7月11日まで、なんと2ヶ月半の長期休業が続く。ご来店のない休業中の店や静かな自宅で過ごすと精神的に病んできそうなので、雨天以外は山に泊まり込んで、ひたすら笹刈りに精を出す日々だ。笹を刈るには、刈払機が必要である。ひとくちに『刈払機』といっても、メーカー、パワーなど選択肢が多様だ。店主が最初に導入したのが、『世界のmakita』の充電式電動刈払機である。電動とはいっても、そのパワーは侮れない。18Vのリチウムイオンバッテリーでブラシレスモーターを駆動し、排気量23ccのエンジン刈払機と同等の能力を発揮するという。電動とエンジンの評価を比較すると、まず、電動のほうがメンテナンスが大幅に容易である。エンジンの場合、携行缶でガソリンを購入し、2サイクルオイルとガソリンを撹拌した『混合燃料』を用意しなくてはならない。その燃料を刈払機の小さなタンクに補充するわけだが、この際、火災のリスクがあることはいうまでもない。実際、補給中になんらかの原因で発火し、焼死してしまったといういたましい事故の報告もある。▲混合済みの『混合燃料』も販売されているが割高になるので、ひんぱんに使用するならやはり携行缶ガソリン+オイルのDIY混合のほうがコストメリットは高いさらに、エンジン機は回転部にグリスを補充したり、点火プラグを点検したりと、ほぼメンテナンスフリーの電動機に比べると、それなりに手間がかかる。あと、電動機は作動音が小さい、排気がなくクリーン(臭くない)、そしてなにより軽量で疲れにくいという美点がある。バッテリーを複数携帯することで、いちいちエンジンを停止し燃料を補給する手間もなく、ワンタッチでバッテリーを交換し、黙々と作業を継続することができる。世の中が30数年後には完全にEV車に移行するように、これからの時代はなにごとも電動が主流になるのは、まず間違いあるまい。では、そんな素晴らしい電動機のデメリットはなにかというと…それは、ずばり『コスト』である。届いて開梱した瞬間からすぐに作業ができる『makita MUR190 DRG』は、本体+純正バッテリー+充電器+付属品のセットで、そのお値段は48,400円(税込・楽天実勢価格)。なかなかにお高い。価格のうち大きなシェアを占めるのが、先述の、リチウムイオンバッテリーである。18Vと強力な分、プライスもかなり強力で、純正品は楽天の安値でも1個13,000円前後。バッテリーはあるていど消耗品と割り切るものだけに、この価格は重い。ちなみに、バッテリーと充電器を除いた「本体のみ」の販売もあり、こちらは24,146円(税込・楽天実勢価格)となっている。▲makita純正バッテリーBL1860B。ハイパワー&大容量でそれなりに重量もあるものの、エンジン刈払機に比べれば軽量だ。バッテリー1本あたり笹刈で30分前後作業可能。予備をひとつ携帯すれば約1時間の作業となり、インターバルにちょうどいい。エンジン機も満タンで作業時間約1時間といったところこのコストのデメリットをいくぶんでも緩和しようと、純正互換のバッテリーを2種類、合計4個購入して使用してみた。さすがメイド・イン・チャイナで、いずれも1個あたりのプライスは純正の1/4と破格だ。パワー自体は感覚的には問題なく、スタミナもやや短いかな…くらいなもので、実用上まったく問題ないとほくそ笑んでいたところ、数回充電を繰り返したのち、充電エラーが頻繁に発生するようになった。それでも、エラーが出たバッテリをなんどかセットし直せば復活したものが、4個のうち1個が、ついにまったく反応しなくなってしまった。うーむ。実質、10回ほどの繰り返し充電であっただろうか。この程度で使い物にならなくなるなら、高価でも純正バッテリーを導入したほうがベターと思われ、やはり、このコスト高が電動機の最大の弱点といえよう。…というわけで、もう1台、エンジン刈払機を導入しました…。ECHOブランドで知られる『やまびこ株式会社』のエンジン刈払機、ETG 260である。こちらは開拓の先輩に勧められた機種で、パワーとコストのバランスがよいということであった。大曲(おおまがり)のCAINZで21,780円(税込)。本体のみのmakitaよりさらに安価だ。排気量25cc、ディスクの直径が255mmと大きく、当然のことながらmakitaより数段パワフルである。当初、エンジン音や排気の臭いを敬遠していたものだが、実際に使ってみるとさほど気にならないばかりか、むしろ笹をやつけている実感が湧き、よりやりがいを感じる。あと、毎日エンジン音を響かせることで、ヒグマを遠ざける効果も期待できる。なにしろ、このあたりはヒグマの行動範囲に入っているから、注意が必要だ。もっとも、先日、札幌市内の一般の住宅地に若いヒグマが迷い込み、4人が襲われて怪我をした。これでは、どこが安全だかわかったものではない。少なくとも、開墾を進めているこの村では、近年人身被害は発生していない。▲地面が白っぽくなってるところは笹を刈った跡。1日4時間程度、のべ10日間ほどでここまで切り拓けた。やればできるものだ▲ before & after。うっそうとした笹薮をやっつけることで地面に直接陽の光が差し込み、森が大きく表情を変える。この瞬間に得難い達成感を感じ、疲労もすっ飛ぶというものだ▲森に分け入ると、白樺のほかにも数種類の木々が自生しているのを発見できる。これはオオベニウツギというらしい。庭木や園芸種としても人気なようだが、この山ではどこから種が飛んできたのか、あちこちに点在するように自生しているまあ、そんなわけで、山に泊まり込んでは、笹を刈る日々を送っていますよ。これから盛夏になると笹薮にスズメバチが巣を作って危険なので、先輩からは、笹刈は7月10日前後までと通達されている。ここまでだいぶ切り拓いてきたから、討伐が一段落した後は、敷地内の下草刈りと、いちど刈った笹の根絶やしに取り掛かるとしよう。こんな生活を送っていて、果たしてバーのオヤジとして社会復帰できるのかどうか心配にならなくもないが、まあ、あまり深く考えず、いまはとにかく、山暮らしを堪能しつつ笹の撲滅に専念することとしよう。

  • 04Jun
    • 還暦移住計画 その8 入植の画像

      還暦移住計画 その8 入植

      開き直って山の人になる。還暦移住計画 その8 入植『時短要請』から『まん延防止措置』、そして『緊急事態宣言』と、矢継ぎ早に発出される行政からの感染防止対策に翻弄され続けている。先般の記事にも記したとおり、6月20日までは店を休業しなくてはならず、これはもう、どうにもならない。…というわけで、天気の良い日は山で開墾作業に打ち込んでいる。移住計画については、3月18日の記事がラストだったので、その後の進捗をまとめてご報告しよう。▲4月9日、コンテナハウス設置場所の雪を排除して、ダンプ3台分の砕石を敷設。水平を出してあとはコンテナハウスの到着を待つばかりとなった。施工してくれたのは地元の小さな業者さんで、役場で紹介してもらった。小さいだけに実に小回りが効いて助かる。こっちは素人で何もわからないので、ほぼおまかせだ。当初、水平は自分で出してコンクリプレートを所定の位置に置いて…などと安易に考えていたのだが、実際のところそれなりに傾斜しており、とてもじゃないが手におえるレベルのものではなかった。施工費は約40万円。それなりに痛いコストとなったが、これは必要経費と見るべきだろう。まだ雪が大量に残っていたため、それを排除するための費用と、北海道新幹線や高速道路の建設ラッシュの影響で近隣の砕石が軒並み値上がりしているということだ。致し方なし、といったところか。▲4月16日、中国は大連で製作されたわがコンテナハウスが、苫小牧港より大型車で運搬されてきた。計画では4tユニックで吊るということだったのだが、ユニックを横付けする場所の地面が雪解け水のためぬかるんで埋まるということで、舗装道路側からラフタークレーンで吊ることになった。これまた手痛いコストアップ。結局、見積より17万円ほど追加となってしまった。とほほ…。▲とはいえ設置そのものはたいへんスムーズに進行した。ブルーシートをかけたままなのは、まだ建具類が入っていないため。▲『ほくでん』の電柱設置工事が、コンテナハウス設置日と重なった。こんな予定ではなかったのだが、『ほくでん』の工事はこちらでコントロールできなかったので致し方ない。土地に続く林道は大型車とクレーンと作業車で大渋滞してしまった。すみませんでした。それにしても、電柱を立てる工事を初めて間近で見た。まず人力で雪を掘り、特殊な大型ドリルで土を掘る。掘った穴に電柱を2m分差し込んで、まわりを掘った土で埋め戻す、という実にシンプルな工程だった。根っこをセメントなどで固めなくてもいいんだな…。▲4月20日、余市の電気工事会社が敷地内に引き込み用のポールを立てにきた。こちらは手掘り。分電盤とヒューズなどを取り付け、請求額は約17万円。当初見積より高額になったので、折を見て理由を尋ねようと思っているが、まあ、こんなもんなんだろう。ともあれ、これでめでたく電気が開通した、というわけだ。▲4月23日、内部に断熱材吹付け工事が実施された。中国で吹付けることもでき、そちらのほうがかなり安価なのだが、品質は国内施工の比ではないというので、こちらもコストアップを飲んだ。有害物質とか含まれていたら怖いし。内装は節約のため、本設になるまでこのまま。それにしても、ピンク色って…。▲…というわけで、無事仮設住宅が完成した。コンテナハウスにかかった費用は、設置のコストアップを加えて230万円に嵩んでしまった。なかなかな出費ではあるが、将来的には本設住居の一部になる想定なので、ここは腹をくくるしかあるまい。隣に展開したCOLEMANのトンネルタープは、15年以上前に購入したもので、重くて展開がめんどうなため10年以上使用していなかったが、ようやく陽の目を見た。捨てずにとっておいてよかった。取り急ぎコンテナハウスの居住性を確保するため、ロフト製作などの木工作業をするにあたり、雨に当たらない場所の確保は重要だ。どうせ年内には納屋を建設予定なので、トンネルタープは使い潰すつもりで張りっぱなしにする。…するんだが、村に特有といわれる春先の強風に煽られまくり、スチールのポールとジョイントがひん曲がってしまった。現在はあらゆるところをロープで引っ張って、無理やり固定している。台風がきたら、すっ飛ぶかもな…。▲5月6日の夜。端材などのゴミを直火で燃やせるのも、自分の土地ならではだ。この時点では、まだハウス周囲には押し込んだ雪が残っていた。夜はそれなりに冷えるが、断熱の入ったコンテナハウスは安心感ばりばり。薄暮の山は美しい。木々のシルエットがマグリットの画のようだ。ワインがうまい。このあと、5月の半ばあたりからウドが採れ始めた。敷地内に生えているのはわかっていたのだが、具体的な場所が特定できず、やや機会を失った感もある。群生せず、点々と生えているのでやっかいだ。タラノキも多数発見したが、こちらは時期が遅すぎた。来春は張り切って山菜を採る!▲6月2日のようす。地元の業者さんが、軽トラと仮設トイレを手配してくれた。9万キロ走行でボロボロのスズキキャリーが10万とはどうかと思うが、さっさと探してきてここまで陸送してくれたことを考えれば、価格相応かもしれない。まあ、持ちつ持たれつ、といったところか。トイレは本来、コンテナハウス内にバイオトイレを設置するつもりで購入もしてあるのだが、この時点で排気のためのコンテナの鉄板に穴を穿つのも気が引けると思料していたら、例の業者さんが「うちに仮設が一個ころがってるから貸すか?」と手を差し伸べてくれたので、遠慮なく借りることにした。その日のうちに職人さんがきて設置場所を整地し、次に訪れたらもう仮設トイレが立っていた。なにしろ小回りが効いて速い。「納屋ができるまで1万円でいいよ」ということだが、整地は別料金だろうな。▲現在のところ、天気のよい日は山にこもって、ひたすら笹を刈っている。この日は知人が刈払機持参で遊びにきてくれたのですさまじく進捗した。持つべきものは友、である。この土地を入手した大きな理由のひとつが、敷地内に笹が少ない、ということだ。刈った経験のある方なら深くうなずいてくれると思うが、笹はとにかくやっかいである。古くなって枯れた笹の茎は固く、刈っている最中に硬っい破片がすっ飛んできて危ない。ゴーグルやフェイスガードは必須である。…にしても、身の丈ほどの笹を刈っていって、地面に陽の光が届くようになったときの爽快感はたまらない。手前に積んである薪は、葉が茂る前に気になる細木を間伐したもの。20本も倒していないが、玉切りするとけっこうな量になった。年内に正式な置き場所を決めて、数年後には薪として活用したい。…というわけで、山暮らし、始まってます。緊急事態宣言下の休業で5月の売上はゼロ。ここまで協力金はいただけているので、なんとか生活は成り立ってはいるものの、この期に及んで、宣言の再々延長はまずありえないだろうから、6月20日以降にほんとうの試練が訪れるのかもしれない。まあ、あまり先のことは考えず、まずは目先の笹を刈りますよ。

  • 29May
    • 近況のご報告:2021年5月版の画像

      近況のご報告:2021年5月版

      夢のロングバカンス継続中。近況のご報告:2021年5月版…と第一声でボケたくなるくらい、どうしようもない日々が続いている。思い返せば昨年11月7日、北海道内における新型コロナウィルス感染の再拡大を受け、『すすきの地区』の飲食店を対象とした営業時間短縮要請(5時〜22時まで)が発出された。直後より夜の街から人が消え、僅差で『すすきの地区』から外れている当店も大きな影響を受けた。…にも関わらず『すすきの地区』ではないため行政からの協力金給付の対象外だった件は、過去の記事でボヤきまくってきたところである。▲当店ビルの斜め向かいのタワーパーキング解体工事。昨年5月末ですべてのテナントが退出し、10月になって解体工事が始まった。この時点では、次になにが建つのかは不明だった。足場と養生が組まれると、巨大なラフタークレーンがやってきててっぺんから廃材を搬出。もちろん、この段階での解体は人力だこの時短要請は延長を繰り返し、解除されたのは本年2月28日のこと。要請は、実に4ヶ月近くも間断なく続けられたのである。そして、要請期限が迫った2月16日になって、道は唐突に要請範囲を『札幌市全域』に拡大し、かろうじて当店も協力金給付の対象となったことはすでにご報告済みだ。このときの協力金は、一律1日2万円(1店舗あたり)で、当店は合計13日間要請に従ったことから、26万円の給付となった。こういうことをグチってもしょうがないのはわかっているが、『すすきの地区』の店は要請期間が129日間にも及んだから、1店舗あたり258万円の給付を受けた計算だ。従業員を多数かかえる大規模店にとってはともかく、小規模店の場合、業容によっては通常営業よりも儲かったりしているのは明らか(実際そういう店を知っている)。さらに、要請期間は土日祝日もカウントしているので、いわゆる『有給休暇』状態も発生しているのだ。▲昨年12月7日のようす。2ヶ月でだいぶチビてきた。ある日からでっかいハサミのアタッチメントをつけた大型のバックホーが参加。クレーンで吊り降ろされた廃材をちょっきんちょっきん切ってはトラックの荷台に積み込んでいく。その作業があまりに器用で、つい見入ってしまうちなみに、協力金の類は所得とみなされるので、翌年の申告に反映させなければならない。…が、申告しない事業者は多いと睨んでいる(店主は真面目に申告してますよ)。…というわけで、前述の協力金、26万円が4月2日に振り込まれた。申請から3週間くらいかかっており、給付が遅いといわざるをえないが、多分、役所もいっぱいいっぱいなんだろう。いろいろ文句をいっておいてなんだが、4月はこの協力金に救われた。時短要請解除といってもすぐに客足が戻るわけでもなく、さらに関西で爆発的な感染拡大が報告されるなど不穏な状況は継続していて、結局、4月の売上は、協力金を計上しても通常期の約▲20%という結果だった。協力金がなければ、生活費が出なかったところだ。▲同12月23日。ここまでくるとクレーンは去り、かわりに巨大ハサミつきバックホーが2台体制でばりばりぶっこわしていく。ときどき人間がバーナーで焼き切るという連携作業だ。タワーパーキングのモーターと思しきマシンも容赦なくつまみ出していた。ストレス解消にはぴったりだしかし、ほっとしたのも束の間、4月中旬以降、札幌市を中心に道内でも感染者が増え出し、ついに4月27日に『新型インフルエンザ等対策特別措置法』に基づいて、市内全域の飲食店に再度営業時間短縮要請が発出されてしまった。今回の要請はさらに厳しくなり、営業時間は5時〜21時まで、おまけにアルコールの提供が20時まで、という過酷なルールになった。この内容は、当店ようなバーには「休め」といわれるのと同義だ。そして、感染の縮小を見ないまま、要請発出からわずか9日間後の5月6日に「営業は20時までアルコール提供は19時まで」と内容がパワーアップ。さらに5月12日からは『まん延防止等重点措置』が適用され、ついに「休業およびアルコール提供禁止」になってしまった。もう、わけがわからない。結局、『まん防』から『緊急事態』に切り替わったのがいつだったのかも、もう忘れてしまった。▲奥の高い部分はどうするのかと思っていたら首がやたら伸びる巨大ハサミつきバックホーがやってきて、首をいっぱいいっぱいに伸ばしてガシガシをコンクリを破壊し始めた。いろんなマシンがあるものだ。この青いやつがかなり豪快で、でっかいコンクリの塊りを思い切り叩き落としていく。気分爽快このような状況だから、5月はまるまる休業となったため、実質売上はゼロである。頼みの綱の協力金は、4月27日〜5月11日までの分の申請をすでに終えているが、前例からすると、月内の振り込みは厳しい可能性が大。最悪、5月は無収入、ということになりそうだ。昨日、政府は『緊急事態宣言』の延長を発表した。いまのところ、6月20日までの予定で、その間、バーに対しては休業要請が続く。放蕩していた10代の頃を除いて、更生して以来、こんなに長期間にわたって仕事を休んだことはない。これでも、けっこうワーカーホリックなタイプだったりするのだ。▲本年1月23日の状態。ほぼほぼなくなった。このあと完全に更地になって作業が終了したのは3月に入ってから。最近になって、この土地は京阪不動産が取得したことが判明、ホテルを新築するとのこと。京阪は、この近所にもインバウンド向けホテルを建設したばかりで、そちらはコロナ禍でほぼ閑古鳥みたいにもかかわらず、アフターコロナに向けて攻めているようだ。今年の12月に着工。完成は2年後の9月ということだから、店主はこのホテルの完成を見ずに店を去ることになりそうだもっとも、休業中、ずっと家でだらだらと酒を飲んで過ごしているわけではない(飲んではいるが)。『還暦移住計画』に向けて山に通い、着々と準備を進めている。ある意味開き直っている。幸い、時間はたっぷりあるのだ。こちらのご報告は、また機を改めてまとめようと思う。とりあえず、長期休業で発狂しないよう、自分を律して生活しようと心を叱咤することにする。

  • 28Apr
  • 18Mar
    • 還暦移住計画 その7 開墾の準備の画像

      還暦移住計画 その7 開墾の準備

      春遠からじ。還暦移住計画 その7 開墾の準備還暦まであと3年4ヶ月ほど。当たり前だが、日々その時が近づいてくる。先日、北海道電力の電柱新設位置の確認のため、久しぶりに現地入りした。最後に訪れたのが昨年の9月24日だったから、およそ半年ぶりに自分の山に足を踏み入れたことになる。それにしても自然界というのはほんとうに逞しいもので、昨年の雪解け直後は白樺の森の奥まで徒歩で分け入ることができたのが、わずかひと月後には草が身の丈ほどに伸びて、もはや進入不可能だった。その後、知人のチカラを借りて上空からドローン撮影を試みはしたが、どの程度土地が傾斜しているかなど、その詳細はここまで謎に包まれてきたのである。▲「住むと決めれば必ず電気はくる」と聞いてはいたが、実際、自分だけのために電力会社の電柱が立つというのはちょっと感動的である。費用はもちろん電力会社(ほくでん)負担。手続きは実にカンタンで、電柱から自分の敷地に電線を引き込む電気屋さんさえ見つけて要件を発注すれば、あとは勝手に事が進む。電柱からの引き込み費用は所有者負担で、10数万円〜というのが相場のようだ。このような図面を作っておくと、電気屋さんとのやりとりで話が早い当然のことながら、現地は深い雪に埋まり、朝の陽光のもと、しんと静まりかえっていた。暦の上ではすっかり春とはいうものの、北海道の山はまだまだ冬なのである。が、これが逆に幸いして、ゆるんだ雪に足をとられつつも徒歩で森のかなり奥まで進入が可能となっており、しかもジャマな草が埋まっていて視界が開けていたから、初めてその全容をあるていど把握することができた。当日は抜けるような晴天だったのも好条件だったといえる。▲土地を北端から眺めたようす。奥が南で、白い雪原が地平線のように見えるあたりまで自分の土地。右側の傾斜は沢に続いていて、傾斜が始まるあたりが境界線。沢までの落差は軽く20m以上あって水が流れているのも確認できた。これは、なにか面白い遊びができるかもしれない。他人様の土地だが…。これでギョウジャニンニクが自生していてくれたら最高なんだがなあ…実際に分け入ってみると、やはり土地は水平ではなく、全体にゆるーくうねっていた。水を張る田んぼならいざしらず、元来牧草とトウキビなどを育てていたというから、まあ、そんなものだろう。ただ、極端なアップダウンはなさそうなので、うまくデザインすれば、逆に美しい情景を演出できそうだ。さらに、見渡す限りのモヤシのような細い白樺たちの間に、広葉樹がちらほら。桜の木のような木肌も確認できた。実際に咲いてくれたら、さぞやうれしいことだろう。間伐しながら、時間をかけてゆっくりと育てていきたいものだ。▲大連の工場で鋭意製造中のMyコンテナハウス。建具が入る部分は事前にくり抜かれている。このあと塗装して船積みされ、苫小牧港にやってくる手はず。内部の断熱材吹き付けと建具類の建て付け作業は、すべて設置現場で行うそうだ。開墾スタートから本住居が完成するまでの2年または3年間、このコンテナハウスがアラモの砦となるわけだ。頼りにしてまっせーさて。店のほうは、というと、なんか不思議なことになっている。相変わらずNG(ノーゲスト=お客様ゼロ)の夜も多く、厳しいことに変わりはないのだが、お客様単価がかなり高いことになっている。つまり、少ないお客様がたくさんお金を落としてくださっている、という事象である。▲市内中心部はごらんのようにほぼ積雪がなくなった。手前のビルはすっかり解体されたものの、いまのところ新規になにかを着工する気配はない。どうやら、この土地も京阪電鉄が購入したらしく、ということはインバウンド向けホテルを建設するつもりだったのかもしれないが、この状況ではそう安々と着工を決断できまい。しばらくしたら整地してコインパーキングになるのでは。それにしても、ビルなきあとにその全容が顕になった『名取川靴店』がなんともいえない味わいを醸し出している。いっそのこと京阪にまとめて買ってもらったらよかったんじゃないかこの謎の事象の要因は、長引く自粛で疲れちゃったオトナの方々が、春の予感に誘われて、夜の街に足を向ける気分になってきたことにある、という解釈でよいのだろうか。少ないお客様で経営が成り立つというのは、ある意味、当店本来のスタイルではあるのでこれは歓迎したところだが、あとはこの状況が長続きしてくれることを祈るばかりである。それにしても、NG比率30%というのは、もう、ぜひやめてもらいたい。どうか、ひとつ…。

  • 11Mar
    • あれから10年:その2の画像

      あれから10年:その2

      あの瞬間、なにをしていたか。あれから10年:その2東日本大震災。実際に被災された方々は当然のことながら、幸いにしてダイレクトな影響を受けなかった人々も、10年前のあの瞬間、なにをしていたかは記憶に深く刻み込まれているのではないだろうか。店主は、2011年14時46分のあの瞬間、新規開業を控えた当店の内装工事現場にいた。ビルが東西方向に振り子のように大きく揺れ、なかなか収まらなかったことが忘れられない。そのときは、まさかここまで大事になっているとは想像だにしなかったのだが、直後にKDDIとdocomoの電波が不通になり、これはなにかしらの重大な被害が出ているのかな…と不安な気持ちになったものである。▲当店の「顔」ともいえるカリン材の一枚板カウンターの搬入作業。2011年3月15日の深夜、4tトラックと11tラフタークレーンがビルの前に横付けされ、4.6mのカウンターを吊り上げて窓から搬入した。板が長すぎて、EVはもちろん階段も使えなかったからだ。これが地下だったりしたら、このサイズの一枚板カウンターは実現できなかっただろう。当日は、小雪のちらつく寒い夜だったなあ…その日の夕方に、家族と地下鉄大通駅の改札で待ち合わせしていたのに連絡が取れず、大いに焦ったのも記憶に鮮明だ。幸い、常日頃、家族の行動パターンをしっかりと把握していたので、訪れそうなポイントで網を張っていたらちゃんとやってきた。現代あるあるだが、携帯電話の普及によって待ち合わせなどの事前調整がきわめてルーズになった。いざというときに途方に暮れないためにも、非常事態を想定した日頃のコミュニケーションが大切であることを再認識する。ちなみに、Softbankだけは震災直後も断線を免れていた。あのとき現場にいた男たちの中で、唯一Softbankだったのが現場監督で、ふつーに通話していたから間違いないだろう。なにが幸いするか、わかったものではない。▲搬入後すぐに仮設置。銘木店でていねいに表面処理されてビカビカの状態だ。あれから10年、一生懸命に磨いてないからツヤはなくなったけど、ソリや歪みは皆無。たぶん、表面をカンナで削ってもう一度磨けば、あのときのビカビカが蘇るのだろうが、その作業は次のオーナーさんに引き継ぐこととして…さて。3月も半ばに差し掛かりつつある。相変わらず「元に戻った」とはほど遠いものの、古くからのお客様が毎晩ぽつぽつと訪れてくれ、おかげさまでここまで、取り急ぎの家賃と光熱費分は確保できた。とはいえ、今日時点でノーゲストの夜がすでに3回もあったので、やはり今月も家計は赤字必至だから、憂鬱な気持ちに変わりないのではあるが…。▲またまた出ました経産省の給付金。今回は、主に飲食店に関連する業者向け(卸業など)だが、飲食店でも、時短や休業に伴う協力金給付の対象外だった事業者には申請資格がある。北海道はここまで『すすきの地区』を限定に協力金を給付してきたので、そのままなら当店にも申請資格があったはずだが、いきなり2月16日から2月28日に対象エリアを『市内全域』に拡大したものだから、土壇場で当店にも協力金が給付されることとなり、当然のことながらその資格がなくなってしまった。道の協力金が26万円で、今回の支援金が30万円。結果的にもらえるはずの補償が4万円削られたかっこうだ。これは意図的な施策なのではと勘ぐりたくなるタイミングである。もういやだ札幌は、ここ数日気温が上昇し、まだまだ寒いが陽ざしに春を感じられるようになってきた。朝晩、あるいは日ごとの寒暖差が極端なのも、北国特有の、春の訪れの前奏曲みたいなものだ。今年は山の開墾を控えているので、期待と不安がないまぜになりつつも、ことさら春が待ち遠しい。こんな前向きな気持を、10年後の今日も変わらず持ち続けていたいものである。

  • 05Mar
    • あれから10年の画像

      あれから10年

      はて。ここまで長かったのか短かったのか…。あれから10年画像は、2011年3月3日に撮影した店内のようすである。10年前のちょうどいま頃、当店は新規開業に向けて内装工事の真っ最中だった。Blogの過去記事によると、着工したのが2月25日だったから、解体から1週間あまりで床組までできていた、ということになる。こうして当時を顧みると、実に感慨深いものがある。当店のフロアは、全体的に20数cmほど嵩上げされている。これはデザイン優先の結果ではなく、機能面からこのようなややこしい仕様に至った経緯がある。その理由は…、ビリヤード台の存在であった。そう。10年前の開業時、店内にはフルサイズのビリヤード台が「どでん」と鎮座していたのである。今思えば「なにやってんだか」としかいいようがない。でも、そのときは、当時の自分なりの信念に突き動かされていたわけだ。で、そのビリヤード台はどうなったか…というと、わずか2年後には撤去され、函館のダーツバーにもらわれていったのであった…。ああ、究極の無駄遣い…。…それにしても、小blogをAmebaに移転したのが2005年だから、断続的に休止した時期があったとはいえ、いつの間にやら創刊16年目の老舗である。過去の記事を読み返してみると、自分自身、その時々で何を考え、悩み、結果どんな選択をしてきたのかが鮮明に蘇ってきて興味深い。温故知新とはよくいったもので、10年前の自分の記事から新しい発見をすることもある。なんてことないことだが、続けてきてよかったな、と思う次第である。当blogで記事にしてきたように、今春、いよいよ将来的な山ぐらしの準備が始まる。10年前のように、今回のプロセスもちょくちょくblogで紹介していくつもりだが、それらもまた、いつの日か読み返していろいろな感慨に包まれるのだろう。…というわけで、今後ともよろしくお願いいたします。店主

  • 27Feb
    • VEGA-SICILIA  "UNICO" Reserva Especial NVの画像

      VEGA-SICILIA "UNICO" Reserva Especial NV

      雪は降る、お客はこない。 VEGA-SICILIA "UNICO" Reserva Especial NVヴェガ=シシリア ウニコ リゼルヴァ・エスペシアルNV実に久々のワインネタである。そもそもワインバーのblogであるにもかかわらず、その実、ほとんどの記事がワイン以外で構成されている現実からしてすでにコンセプトが破綻しているのだが、これでもデビュー当初はテイスティングの記録っぽい記事が大半を占めていて、逆にいま読み返すとやたらと恥ずかしいから困ったものである。さて。久しぶりに "UNICO"(ウニコ)を味わう機会を得た。しかも、希少なリゼルヴァ・エスペシアルだ。ある夜、コロナ禍で自粛しがちだったわが一族の晩餐が催され、その際に父がストックから「ひょい」と持ち出してきた。こんなもの、いままでどこに隠し持っていたのだろうか。しかも、晩餐のメニューは恒例の手巻き寿司であって、マリアージュもTPOもあったものではない。思うに、本年齢87を迎える父が、ついにというかようやくというか、本気で終活を意識し始めた、ということなのだろう。これからは、晩餐のたびにこういうヘンタイワインが出てくるのかもしれない。楽しみである。ワイン通の方なら、"UNICO" の存在はご存知だろうが、せっかくのワインバーblogなので、軽く解説させていただこう。ヴェガ=シシリアは、スペイン産ワインのトップブランドである。ワイナリーのある銘醸地は、首都マドリッドの北、カスティーリャ・イ・レオン州を横断するドゥエロ河沿いにあって、やたら乾燥している一方標高が高く冷涼という、ブドウ栽培にはかなり適した環境であると思われる。ちなみに、このドゥエロ河は西方向に流れていて、国境を越えてポルトガルに入るとドウロ河と名を変え、かの有名なポルトワインの産地を経て大西洋に注がれる。河の流量は決して多くないみたいだが、全長は国をまたいで900km近くあるのだから、やはり大陸のスケール感は日本と違うことを再認識させられるというものだ。▲Green Spain Plus さんのサイトから拝借したペニャフィエル城から眺める街並み。河は見えない。カスティーリャ・イ・レオン州の『カスティーリャ』とはスペイン語で「城」のことで、その名が示すように、同州には城跡が多い。しかも、フランスみたいな優雅なのじゃなくて、戦う気満々のマジなやつ。このようなことからも、この地の歴史的な足跡を知ることができる(https://greenspainplus.net/penafiel/)で、ヴェガ=シシリアがリリースするブランドのフラッグシップが、この"UNICO"というわけだ。特徴は、徹底的に収量を絞るブドウ栽培と10年以上の長期熟成。収量については、「五大シャトーの1/5」ともいわれている。まじか。また、誰がいったかは知らないが、時に「スペインのシャトー・ラトゥール」「スペインのロマネ・コンティ」などと持ち上げられ、出荷本数の少なさも手伝って、市場価格は不当に高い。まあ、ワインビジネス、なんてそんなもんなのだが。そして、今回再会を果たした『リゼルヴァ・エスペシアル』は、それでなくとも希少な"UNICO"の、さらに優良なヴィンテージだけを複数ブレンドしたものという、まさにヘンタイ中のヘンタイワインなのである。では、実際、どのヴィンテージをブレンドしたのかな、と、ラベルをジロジロと観察してみたのだが、残念ながら具体的な表示が確認できなかった。店主の観察眼がぼやけていただけだろうか。ちなみに、WEBで軽く調べてみたところ、2019年リリースの『リゼルヴァ・エスペシアル』は、06、07、09をブレンドしたものだということだった。店主の豊富な経験と類まれなる鋭い味覚からして(…)、今回の手巻き寿司のお供となった『リゼルヴァ・エスペシアル』は、少なくとも90年代以前、たぶん80年代のリリースではあるまいか…という気がする…。色調は煉瓦色である。セパージュはおそらくほとんどティント・フィノ(テンプラニーリョ)であるはずで、外観からはかなりの熟成感が見て取れるものの、80年代のティント・フィノはそもそも色調が薄かった記憶が強く、これは熟成によるものか、はたまたオリジナルの色調なのかは定かではない。香りは…ブラインド・テイスティングであったら、長熟を経た上質なネッビオーロと迷うところだ。少なくとも、フランスのワインでないことは明らかである。このワインの素性を識別できる瞬間は、やはりアタックと余韻にあった。これは、なんとも筆舌に尽くしがたいので、どうぞ察してください。そんなこというとほんとはソムリエ失格なんだが、この際、無理に形容するほうが訳わからなくなりそうということで、あえていわないことにする。…以上。▲今年の札幌は雪が少ない、と油断していたら、このところホワイトアウト級の吹雪が多発中。聞くところによると、店や自宅がある中央区はまだマシで、北区は記録的な積雪に見舞われているという。たしかに、両区の境目であるJR函館線の高架橋をくぐると天気が変わることがよくある。なにか、目に見えないゾーンがあるのかなーーというわけで、久々のblog更新は、これまた久々のワインネタということでまとめてみました。右往左往する政府のコロナ対策もいよいよ断末魔の状態で、全国各地の飲食業は大波に巻かれる小舟のように翻弄され続けている。ここ札幌では、昨年の11月7日から『すすきの地区限定』の時短要請と協力金の給付がだらだらと続いていたわけだが、その要請範囲が2月16日から突如『札幌市内全域』に拡大され、おかげさまで、当店もようやく協力金にありつくことができそうだ。正直、この協力金がなければ(2月16日から2月28日までの13日間で26万円給付)、今月は店の家賃すら払えないところだったから、渡りに船とはこのことである。おしむらくは、当初から『すすきの地区限定』とせず、『札幌市内全域』を対象としていれば、もっと早期に感染拡大を抑えることができ、結果的に税金が節約できたのではないかという仮説も成り立つわけで、この点においては税金拠出の不公平感が否めないのも事実である。大好きで移住してきた札幌市だけに、今回の政策の不合理性については残念でならない。その「最後っ屁」とも思われる金銭的支援もどうやらいよいよ弾切れの様相で、3月以降はよるべない道を、子羊のようにさまよい歩くしかないのが実情である。時短が解除されたからといって、すぐに顧客が戻ってくるとは思えず、また悩ましい日々が大きな口を開けて待ち構えているかのようだ。▲店が静かすぎるので、つい窓外を眺める時間が多くなる。当店には窓があってよかった。この状況で窓がなかったらウツになったかもしれない。それにしても『じょうてつバス』の運転は荒い。だいたい、まともに停止線で止まるほうが珍しい。かなりの速度で幅寄せは当たり前。昨年はでっかいメルセデスに追突する瞬間も目撃した。そろそろお客様相談窓口に電話してみようかと思っているところだなので、もう、いいです。いまは、もう、早く雪が溶けてほしいだけです。とっとと山に籠もって、ただひたすらに草を刈って間伐作業がしたい。そんな逃避と妄想に余念のない、猛吹雪の今日このごろなのであった。

  • 07Jan
    • 近況のご報告 2020年総括の画像

      近況のご報告 2020年総括

      やばいぞ、やばいぞ。近況のご報告 2020年総括『魔の2020年』が終了した。年は変わったけれど、ウィルス禍は収まるどころか、全国的に悪化の一途を邁進しており、どうやら、この状況はまだまだ続きそうな気配だ。ここ札幌では、2ヶ月以上(11月7日〜12月25日)にも及んだ『すすきの地区』の時短&休業要請が奏功したのか、感染の拡大はピークアウトしたかんじだが、首都圏では急拡大に歯止めがかからないまま、ついに1月7日から再び『緊急事態宣言』が発出されるに至った。北海道の鈴木知事は、会見で道民に対して「緊急事態宣言対象地域との往来自粛」を呼びかけているが、どこまで抑止できるか不安なところではある。首都圏のキャバクラが休業すると、わざわざ飛行機に乗って『すすきの地区』まで飛んできちゃう病的キャバクラ中毒者は絶対に存在するし、現時点ではそれらを防ぐ実効的な手立てがないというのが現実だ。北海道で感染が再拡大しないことを祈る。*札幌市はキャバクラ等「接待を伴う店」に対して引き続き1月15日までの「時短営業」を要請している。協力金は1店舗あたり50万円。11月7日からの協力金の合計は190万円に達する。しかも、発表当初、支給は「1事業者あたり」だったものがその後「1店舗あたり」に修正された。ハコの大きな店はそれでも厳しかろうが、小規模なラウンジの中には焼け太りになる店もあるはずだ。▲テレ朝が好き、ということじゃないのだが、できるだけ芸人や芸能人が出てない朝の情報番組をチェックしようとすると、羽鳥さんの『モーニングショー』に落ち着いてしまう。とはいえ、高木美保さん、良純、一茂など、妙に中途半端な芸能人コメンテイターをアサインし続けるのは何故なのだろうか。ネット上ではこの件にかんする批判も多いようだ。とはいえ、テレ朝の平社員でありながらいまや同番組の看板的存在の玉川さんのコメントに溜飲を下げる高齢者は多いのではなかろうか。このあたり、『モーニングショー』が狙うターゲット層をうかがい知ることができるさて。さんざんな2020年の、業績状況を総括する。売上対前年比 ▲37%利益対前年比 ▲73%前回の記事で、「年間売上が半減するのでは」と危機感を吐露したが、結果的には4割減にとどまった。書き入れ時の12月の売上は悲惨の極みではあったものの、これでも善戦したほうである。やばいのが、利益だ。売上が4割減なのに、なんで利益が7割も落ちるか、というと、それは損益分岐点の問題である。つまり、ある一定以上の売上を得ないと、売上に対する経費の比率が重くなり、利益を創出できないということだ。お客が入ろうが入るまいが家賃は一定で、店を維持するための光熱費なども実はあまり変わらない。それらの経費を経理上は『一般管理費』という。いわゆる固定費である。当店には従業員がいないからまだ軽いほうだが、この固定費をカバーした上で、さらに原価を差し引いた残金が、はじめて利益となるのである。その利益が7割減った、ということだ。勤め人の方にはピンとこないかもしれないが、てっとり早く表現すれば、給料が昨年の3割になりました、ということである。それでなくとも、ここまでカツカツでやってきたものが、正直、これはキツい。家計は真っ赤っか、である。奥さん、すみません。幸い、税金から多額の給付金をいただいたので、2020年の家計収支はなんとかカタチを保つことができた。しかし、本番はこれからである。当blogでなんどもボヤいているが、当店は繁華街にありながら道1本の差で『すすきの地区』ではない。したがって、今般の時短&休業要請の対象外であり、要請受諾の協力金支給もない。おそらく、今後も感染の拡大と抑制は繰り返されることだろう。だが、札幌市は『すすきの地区』を抑えれば感染拡大を抑止できるという実感を抱いてしまったから、今後、時短&休業要請が発出されるとしても、それはやはり『すすきの地区』に限定されるのはまず間違いあるまい。*キャバクラ等「接待を伴う店」については市内全域が時短&休業要請対象協力金は限られた財政からの拠出だから仕方がないとはいえ、これは、ほぼ『すすきの地区』でない繁華街のバーは潰れて止むなしと同義の政策であり、あらためて、迫りくる淘汰の波に怯える日々である。▲同じテレ朝の『ワイドスクランブル』も、他局と比べるとわりと硬派なコンセプトの情報番組だ。デイブ・スペクターさん以外、コメンテイターに芸能関係者がいない。杉村太蔵はタレントなのか実業家なのかビミョーなところだが。それにしても、番組スポンサーが「85歳から加入できる死亡保険」とか「タマゴの独自成分の育毛剤」とか「膝関節痛にに効く」とか、あきらかに高齢者ターゲットである。『モーニングショー』で勢力を強めていた『レディースアートネイチャー』が影をひそめるところを見ると、より高齢男性に狙いを定めているものと思われる。たしかに、羽鳥さんは女性からの好感度が高いからな…てな具合で、年が新たになってもまったく事態が好転していないわけなのであるが、その一方で某警察署長が会食に参加して感染したり、芸能人やアスリートが矢継ぎ早に感染したり、自民党国対委員長が「4人までの会食は許される」と公言したりと、「ニッポンはいったいどうなっちゃうんだろう」と心底憂いでしまうのであった。と、新年早々、またあれこれと吠えたくなってきて精神衛生上よろしくないので、本日はこれにて筆を置くことにする。

  • 28Dec
    • いったんバイクを降りるの画像

      いったんバイクを降りる

      寄る年波に勝てず…。いったんバイクを降りるPanigale 1199S Tricolore を手放すことにした。2018年4月、清水の舞台から飛び降りる覚悟で乗り始めたパニガーレであったが、ここにきてついに、というか、やっぱり、というか、手放す決意をした。最大の理由は、来年から『My 山』の開墾が始まり、乗る機会がほぼなくなるであろうということだ。山との往復の交通手段として活用することも検討したが、いかんせん、積載能力を有さないレーシングバイクでは、資材はおろか、着替えの運搬すらおぼつかない(パニガーレでキャンプしてるツワモノもいるようだが…)。乗らずとも手放さない、という選択肢もなくはないものの、維持費を考えると、現状の経済状況では叶わぬ夢ということだろう。もっとも、寄る年波…の問題もある。パニガーレは、サーキットからそのまんま出てきちゃったんじゃないかというような、200馬力を有する最強のハイパーマシンである。ライディングポジションはレーサーそのものに前傾しており、往年のDUCATIに比べれば操縦性がだいぶマイルドになったとはいえ、全体から決して油断を許さないオーラを発している。もちろん試したことはないが、最高速度は300km/hに達するといわれている。…って、そこがよかったんだが、やはり、還暦が見えてきたおっさんにはちょいと過激にすぎたようだ。というわけで、まずは、手放すことにした。購入先のDUCATI札幌さんに相談したところ、買取りでは価格が出しにくいということで、委託販売を勧められた。DUCATI札幌さんに手数料をお支払いして、車両を販売していただく、という仕組みだ。自分がオーナーになってから手を入れたのは、ミラー、ラジエターコアガード、サイドスタンドアシスト、ETCくらいなもので、フルエキゾーストシステムを含め、お金のかかるお約束のカスタムはほぼ終了しているコンプリートマシン。ディーラーによる販売ということで、今後のケアについても安心できるのではないだろうか。で、程度のよいお手軽価格のDUCATIスーパーバイクをお探しのアナタ。ぜひ、いますぐ、DUCATI札幌さんにお問い合わせください。DUCATI札幌:011-883-8000【 公式 】ドゥカティ札幌 / Ducati Sapporo / グランドトップドゥカティ札幌は、北海道で唯一のドゥカティストアです。Ducati Sapporoには、ドゥカティのすべてが集結しています。試乗車、中古車、アパレル、カスタムパーツもございますのでぜひ一度ご来店下さい。www.ducati-sapporo.comもう二度と登場しないであろう、DUCATI伝統のLツイン・スーパーバイク。しかも限定モデル。エンジン始動ほか、機能的にはまったく問題なく、程度は良好かと思いますよーー!▲『My 山』とパニガーレ。どの角度からみても申し分ない圧倒的なデザインは、現行モデルのV4と比較するとぐっとスリムに映る。このスレンダーなシルエットがDUCATIの本来の魅力ではあるが、さすがにLツインで世界のレースを戦うには限界だったんだろうDUCATI Panigale 1199S Tricolre ( Limited Edition )ドゥカティパニガーレ1199S トリコローレ(限定車)年式 2012走行距離 (要確認:約12,000km)車検 2022年6月修復歴無しディーラー車セカンドオーナー屋内ガレージ保管バッテリ 2018年6月交換タイヤ前後  2018年4月交換(7分山程度)ノーマルパーツ一式純正マニュアル<アフターパーツ>Termignoni フルエクゾーストシステム(Racing EVO:車検非対応)Rizoma バックミラー(車検非対応)ETC ユニットPerformance バックステップRシート(純正指定)リアフェンダーレスキットカーボンヒートガードカーボンステップガード(やや傷あり)カーボンリアフェンダーハイアップスクリーングリップサイドスタンドアシストパーツラジエターコアガード*基本的に手を入れる余地ほぼなしのコンプリート<不具合>湿気の多い日の走り出しでディスプレイパネルの内側が曇る(漸次解消)クラッチマスタの定期的なエア噛み左サイドカウルステー修復痕アッパーカウル飛石による修復痕(微小)シリンダヘッドオイル漏れ修復痕(ファーストオーナーによるもの)その他、経年と使用による小キズ等

  • 23Dec
    • サービス料とか施工監理費とかの画像

      サービス料とか施工監理費とか

      魑魅魍魎。サービス料とか施工監理費とかここ札幌は、12月に入っても雪は降らないしなんか例年よりも暖かいなと喜んでいたら、今週アタマ(12月14日)から急激に気温が低下して、あっという間に連続真冬日(最高気温がプラスにならない日)となった。記事を書いている12月17日14時時点の外気温は−5℃。さきほど店の近所で買い出しをしてきたが、風が強く冷たく、体感では−10℃近い気がした。さむい。積雪のほうは相変わらず少なく、本日時点の札幌市の積雪は3cmということだ。一方、わずか30kmほどしか離れていない近郊都市の岩見沢市では本日時点で積雪100cmを超えて記録的な瞬間降雪量らしいから、気象というのはほんとうにわからないものだ。わからない…といえば、唐突だが、見積や請求金額にさりげなくのっかってくる、『サービス料』とか『進行管理費』とか『施工監理費』とかの謎の項目も、実に理解に苦しむ類のものどもである。▲行政からの時短&休業要請の影響でひっそりと静まり返った深夜の狸小路商店街。それでも、ポツポツと営業しているバーもある。あくまで「要請」であって「命令」ではないし、大手系のチェーンは協力金給付の対象外だから、営業を強行する背景にはさまざまな事情が渦巻いているのだ。感染防止の施策としては実にゆるいといわざる得ないが、それがわが国の実情だ『サービス料』とは、わが国独自の商慣例で、ホテルやレストランなどで請求されるもの。飲食や宿泊代金の合計に対して、概して10%が上乗せされる。代金が1万円だろうが10万円だろうがサービスの手間としては大差ないはずだが、なにしろ問答無用で10%をのっけてくるので、ぜいたくをして店に貢献すればするほど理不尽にコストアップするという構図である。例えばロマネ・コンティを1本100万円でオーダーしたとすると、自動的に10万円のサービス料がのっかってくる。店側はたいへんおいしい。客は当たり前のように10万円を追徴され、さらに消費税10%がかかるから、いつの間にかお会計が121万円になっていて、あらびっくりである。もっとも、ロマネ・コンティをオーダーできるような人は、そんなささいな金額(!)には頓着しないのだろうが…。『サービス料』の出自は、日本の文化にチップ制度が馴染まなかったことから業界が巧みに編み出したスゴ技に由来するが、チップが従業員の直接報酬になるのに対し、『サービス料』は施設の売上となり必ずしも従業員に還元されないという大いなる矛盾を内包しており、そう考えてもこれは施設の儲けの隠れ蓑になっているとしか思えず、本来の目的から逸脱すること甚だしいと言わざるを得ない。もっとも、近年、『サービス料』を請求されるのは、一部の『格式の高い施設』に限定されてきているようだ。聞いた話では、欧米でも『サービス料』を導入するレストランが増えてきているらしい。しかも、サービス料に加え、チップまでせがんでくるという、どうにもおかしなことになってきているという。▲株主に送付される今年の中間決算報告書は、各社「コロナ禍の影響で…」と業績下方修正オンパレードだ。事実だろうが、こうも異口同音に書かれるとなんか腹立たしい。今期は無配を決定した大手も数社あった。そんな中、ちょっと笑ったのが『宇部興産』の上半期トピックスだ。「事業所の操業開始」、「アビガン錠の中間体製造」などのオカタイトピックと並んで、トミカとのコラボミニカーのニュースが! よっぽどうれしかったんだな、自社のミニカー発売がお次は、『進行管理費』について。店主は長年、広告制作事業に従事してきたが、大手印刷会社の見積に必ず記載されてくる『進行管理費10%』という項目がナゾで仕方がなかった。まあ、当時は自分の金じゃないしとスルーしてきたものの、自営を始めた以降はそうもいかない。無駄を承知で営業マンを突き回したりしたものだが、たいていは「これがボクらの給料なんです」とかわけわからんことをいう。おまえの給料は、印刷単価に組み込まれておろうが。そういえば、『営業費』なんて項目立ててくる会社もあったなあ。誰が営業してくれって頼んだんだよ、といいたくもなる、なんとも形容し難い珍事である。▲当店が入居するビルのはす向いにあったタワーパーキングビルが絶賛解体中。上層階から徐々に解体され少しずつチビてきていたところ、ある晩、見慣れない電飾とタワーマンションのアタマが登場した。三越大通店の電飾とさらに西側に建つ賃貸タワーマンションだ。いずれも近所だから見えて当たり前なんだが、なぜか新鮮で、なんでこんなことを思い出したかというと、例の『還暦移住計画』にあたり、仮設小屋としてコンテナハウを1棟仕立てることにしたわけなのだが、その最終見積に『施工監理費』なるものが登場したからだ。ああ、きたか。一応、お約束で内容を問い合わせたところ、「これが施工会社の利益になります」という、20年ぶりくらいにどこかで聞いたような説明で、しかもレートが25%なんだそうだ。高いですね。今回の事案については、窓やドアなどの建具類は自分のルートで手配しての持ち込みだから、もしかしたらそれを理由にレートが高めに設定されているのかもしれないが、それにしても『建具施工費』など単価が明確な項目がほかにあってそれらで利益を確保しているはずなので、やはりこの『施工監理費』とやらはなんとも腑に落ちない存在なのである。それならばと、建具類の手配も含めて施工会社に依頼したとしても、彼らはきっとメーカー卸売価格に利益をのせ、そこに『施工監理費』をのせてくるに違いない。闇は深まるばかりである。▲コンテナハウスの外板色を決めるのに業者さんから貸し出されたカラーチャート。RAL(ラル)というドイツ発の工業製品規格で世界的に通用するらしい。こういうところは、さすがドイツである。日本人はたしかに器用で勤勉で技術力も高いが、世界の基準となる権威を示すことができるかというと、そこは厳しい。民間はがんばってても、国の後押しが不十分だからこういう残念なことになるのだ…という具合に、われわれの生きる世界には、謎の商習慣というものが多数うごめいている。こういう有象無象が緩衝材となり、必要悪として世の中をうまく回しているというのは理解できなくもないが、それが既得権益として常態化してはいけないと考える。少なくとも、「どうせわかりゃしないだろ」というスタンスで一般人をケムに巻くような請求はやめようよ。…既得権益といえば。今回、さんざんダッチロールした挙げ句唐突に全国停止になったGoToについて政権の判断がゆらいだのも、重鎮の二階さんが全国旅行業協会の会長さんだったからといううがった見方もあったりする。政治家にとっては票田が生命線だから、票田の権益を守るのは政治家の使命ではあるのだけれど、こう、あからさまにやられると、いい加減にしろよな、と引導を渡したくもなる。▲政界の重鎮、二階幹事長は御年81歳にして妖怪の貫禄十分である。こういう顔つきの人が政治家になるのか、はたまた政治の世界に揉まれるとこういう顔つきになるのか。森喜朗さんにしても、金丸信さんにしても、老成に比例して妖怪度がアップするのが興味深い国民には「大勢で飲み食いするなー」と命令しておいて、自分たちは高級ステーキハウスで会食しちゃったり、実は忘年会やる気満々だったり、「政治家は集まるのが仕事だから許される」的な根本的な思い違いがはびこっているのも、ある意味既得権益の範疇だろう。世の中こんなことばっかりで、なんだかモヤモヤした気分が晴れない今日このごろだ。…と、こういう記事を書いているとついついダークサイドのほうに陥っていきそうだから、今日は、このへんでやめときます。