2007-01-17 23:01:32

オランダ 寛容の国の改革と模索

テーマ:寺子屋新書



太田 和敬, 見原 礼子
オランダ 寛容の国の改革と模索

この寺子屋新書というのも、あまり見かけないシロモノだが、「子どもの未来社」なんてとこが出しているにしては私好みラインアップを揃えてきている。どうも教育系の人たちとつきあいがあるのか、著者もそっち系が多いのだが、オランダの場合、教育的にはモデルと成り得る国なのだろうか。究極の多元化教育を実践している国として、朝鮮学校問題を拉致問題から目をそらさす為にも、貴重な「差別」として利用している総連=日教組ラインから見れば、オランダこそ日本が見習うべきということであろう。つまり公立私立問わず政府がカネを出して運営を委託する。「イスラム原理主義」を教える学校でも公費で運営される訳で、「反倭」を教える朝鮮学校も公費で運営されてしかるべきというのが連中の主張だが、まあ我々の時代は日教組が公立の学校で「反日教育」をするのは常識だったので、朝鮮学校が公費で運営されない道理はない(過去に都立朝校が存在した例もある)。ただ、さすがにオランダでもその弊害が出てきているらしく、「寛容性」とは「無関心」と表裏一体なのではないかという指摘は至言である。このオランダ人の「寛容」信仰については文春新書の『物語オランダ人』というこわーい本があったが、文春と寺子屋の差というより、実際に外国人として定住している著者と留学で1年ほどの滞在しかない著者との「生活実感」の差が出ていて面白い。ただでさえ麻薬、売春、安楽死の合法化とかで、世界の奇人扱いされているオランダ人(ダッチアカウントの起源はそうらしいが、ダッチワイフは我が国の南極Z号と同じく伝説らしい)だが、「通りの祭り」とか「トイレのお誕生日カレンダー」なんて話で、こちらはフォローしていて、『物語オランダ人』の強烈な印象が残っている身には、ああオランダ人にもそんな人間性が残っていたのかとか思ってしまった。遂に殺人事件までに発展してしまった最近のヒルシ・アリの騒動についても触れているが、これでオランダも「普通の国」になったなという感じもした。サリン事件が起きたとき、インドネシアの新聞が、これで日本も普通の国になったという社説を掲載したらしいが、オランダも日本も、やはり「普通の国」から見て、どこか超越したところがあることは否めない。
★★
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006-10-18 23:47:35

アメリカの中のイスラーム 

テーマ:寺子屋新書


大類 久恵
アメリカの中のイスラーム

最近は雨後のタケノコというか、バカの壁後のタケノコといった感じで、新しい新書が創刊されているのだが、この寺子屋新書というのは子どもの未来社という版元らしい。そのネーミングは悪くないのだが、一発打を狙うなら新潮や光文社みたいな軽チャー路線で行くしかないだろう。いずれにしても、大手系でないところは、大規模以外の書店で見かけるのは稀なのだから、私みたいな新書も図書館派のドケチ人間は増々読む機会はない。ということで、これが寺子屋デビューになるのだが、テーマ的にはかなりいい感じ。ただ、内容は予想通りというか、可もなく不可もなくといったところ。著者はアメリカ史プロパーということで、研究テーマであるマルコムX、ネイション・オブ・イスラムについての記述に頁数がさかれ、新移民や白人改宗者については少ない。前者の多くがIT技術者をはじめとするホワイトカラーで所得水準高く、後者がヒッピームーブメントに端を発すスーフィズム系教団の信徒か、結婚によって改宗した者というのはデータ的には正しいのかもしれないが、NYのタクシードライバーやアルカイダの改宗アメリカ人戦士みたいな、眼に見える存在にも言及して欲しかった。もっともアメリカの中のイスラームという文脈であれば、その大多数がNOIを嚆矢とする黒人系イスラーム運動にあることは間違いないところだ。エライジャ・ムハンマドからマルコムX、そしてルイス・ファラカンに至る運動の流れは、さすがに分かりやすくまとめてある。私もてっきりルイス・ファラカンがNOIを継いでいるのかと思っていたが、現在のNOIは分派で、元祖の方はエライジャの息子であるウォレスが継いでいるのだという。そこには黒人選民思想と世界宗教としてのイスラームの教義的対立があった訳だが、マルコムXの遺族も絡んだ暗殺騒ぎがあったかと思えば、和解があったりと、アフリカ系アメリカ人社会の利点と弱点を表している様で興味深い。元々アフリカから連れてこられた奴隷の20%から30%はムスリムであったという説もあるくらいなので、これには先祖回帰という見方もできるのだが、現在、アメリカが戦っている戦争については、アメリカ国民であるということがます優先されているらしい。それは第二次世界大戦で一部が日本軍を支持してしまったという失敗の反省があるのかどうか定かではないが、たしかに冷戦期も政治にコミットすることは少なかった。イラクやアフガンはともかく、現在アメリカが宣伝に力を入れているダルフールの黒人対アラブ人のイスラーム教徒同士の戦争を彼等はどう位置づけているんだろうか。
★★
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。