一般的には塩分の取りすぎで血圧が上がると思われていますが、血液中のカリウムが増加する「高カリウム血症」でも血圧は上がります。
カリウムは心臓を含む筋肉や神経の活動に重要な役割を果たす電解質ですが、血中に過剰に存在する(高カリウム血症)と不整脈を誘発する可能性があります。
高カリウム血症から死に至ることもあるため、状況を判断しつつ迅速に治療することが必要です。
体内のカリウムの大多数は細胞の中にあって、血液検査で測定される値(血清カリウム値)はごく一部です。
カリウムは赤血球などの血球成分にも大量に含まれていますが、通常これらは血清カリウム値に反映されません。
しかし、溶血などで血球成分が破壊されてしまった場合に、本来細胞内に保持されているカリウムが血球中から血清へと大量に流れ込むため、血液検査にてカリウムが高値となってしまいます。
これは人為的に発生した高カリウム血症であるため、病的な意味は全くありません。
血清中のカリウムは、腎臓のはたらきで尿となって排泄されて、その量は厳密にコントロールされていて、腎臓が正常に機能している場合は、不要なカリウムは体外に排泄されます。
しかし腎機能に異常が存在する場合には排泄のコントロールがうまくいかなくなり、高カリウム血症が引き起こされます。
急性腎不全や、慢性腎不全などは高カリウム血症の原因となります。
副腎機能の低下で、副腎から分泌されるホルモン(アルドステロン)のはたらきも重要で、副腎の機能低下でも高カリウム血症は発症します。
大量のカリウムが存在している細胞が大量に破壊されるような状況も高カリウム血症の原因となります。たとえば、横紋筋融解症(筋肉が大量に破壊される病気)、やけど、抗がん剤での化学療法中などが代表的です 。
その他カリウムのサプリメントやカリウムの豊富な食事、輸血などではカリウムを大量に摂取することになり、高カリウム血症の原因となります。
さらに、薬剤(一部解熱鎮痛剤、免疫抑制剤、ACE阻害薬など)も原因となります。
高カリウム血症では、下肢の筋力低下やしびれをみることがありますが、基本的に無症状であることが多く、不整脈を引き起こしてから症状が出現することがあります。
不整脈を引き起こすと、血圧低下からの意識消失、死に至ることがあるため、状況を判断しつつ迅速にカルシウム製剤の投与、インシュリンとブドウ糖の同時投与のGI療法などの治療することが必要です。
腎機能障害が原因であることが多いため、腎機能を評価するために血液検査(尿素窒素、クレアチニン値などを測定)や尿検査が行われます。
その他、細胞の破壊が原因であると考えられる場合には、血液検査により、CKやASTなど本来細胞中に存在すべき物質が血液中で高くなっていないかどうか確認されます。高カリウム血症では、致死的な不整脈が発症する事があります。
したがって、心電図の不整脈の有無はとても大切です。
カリウムが気になる方は、カルシウムの摂取と水分摂取、そして発汗する事も大事です。
通常腎不全で透析中の方はカリウムが上昇しますが、運動で発汗されている人は、軽減する事が出来ます。
ラジオ大阪1314OBCドクトルかっちゃん「笑顔で元気」
井草克一&仲みゆき
放送音声http://www.bione.co.jp/tenpo/OBC190807_Dr_K_Egao.mp3