誰もが経験する老い。

それに真っ向から立ち向かった作品です。

 

80を迎えた笠智衆は6年前に妻を亡くし、ひとりで暮らしていましたが、子供たちや孫たちとは時々会ったりして平和に暮らしていました。

しかし、これから先に病気になるかも知れないし、その場合には子供たちは面倒を見てくれるだろうけれども、次第に迷惑な存在になるに違いない。

そう考えた彼は預金を全額下ろして、片道切符の東北の旅に出ます。

 

道中で泊まった鳴子温泉の中居・岸本加世子に多額のチップを与えたことから、恋仲の板前・金田賢一が疑問を抱き、板前長と喧嘩したこともあり、笠を追いかけて行きます。

そんな彼にも150万という金を与え、店を持つために使って欲しいと云います。

 

笠は八戸で元会社の同僚・小沢栄太郎と会い、彼は不治の病で入院しており、妻も痴ほう症で同じ病院にいる事を知らされます。

小沢は笠が死のうとしていることを見抜き説得しますが、笠はそれを笑って聞き流すだけ。

 

恐山を詣でてから尻屋崎から海に飛び込もうとしますが、いざ飛び込もうとしても崖から何とか這い上がろうとする笠。

そこへ金田と岸本が現れ、金田の実家が尻屋にあるので祖父・藤原鎌足と会ってみないかと提案します。

藤原は「死ぬのは簡単なことではないから、暫くはここで暮らしてみないか」と持ち掛ける。

 

80歳といえば、ボクもあと10年後には迎える歳です。

どうしても、そう遠くない死について考えざるを得なくなってきます。

若い日に見たこのドラマとは違い、いま改めて見ると、全く印象が違って見えました。