2006年06月30日 デイリーニュース

日本植物燃料、BDF燃料事業を本格化、低環境負荷の新製法武器に (情報提供:化工日報)
 日本植物燃料(本社・東京都港区、合田真社長)は、バイオディーゼル燃料(BDF)の本格的な事業活動に乗り出した。同社のBDFは、パーム油を主原料とした植物油を独自技術を用いて炭化水素化したもの。軽油代替が可能なほか、任意の濃度で軽油と混合利用できる。軽油に比べセタン価が高く、低硫黄、低アロマなのが特徴。二〇〇七年末までに月産二千-五千トンの供給体制を確立、BDFの導入が進展しているEUおよび韓国を主なターゲットとして市場開拓を本格化し、一〇年までに売上高を現在の三倍超、二十億円まで引き上げる方針。
 日本植物燃料は、これまでマレーシアで生産されたパーム油をメチルエステル化して植物燃料を製造、軽油と重油にそれぞれ五%ずつ混合したBDFを販売していた。しかしメチルエステル化を用いたBDF(脂肪酸メチルエステル=FAME)は、アルカリ触媒を使用するためエンジンが損傷する場合があるほか、排水対策も必要で、新技術による精製法が求められていた。
 新製法は、原料油を水素化精製によって炭化水素化するもの。FAMEに比べて流動点、目詰まり点、動粘度、引火点が低く、燃焼時のNOx発生量も少ない。また精製工程で廃液、廃棄物が発生せず、環境負荷を低減できる。今後は代替軽油だけでなく、A重油、灯油、ナフサもターゲットに技術開発を進める。
 原料となる植物油の調達については、マレーシアでパーム油の確保を進める一方、スリランカのプランテーションでナンヨウアブラギリ(ヤトロファ)の大規模栽培試験を開始、低価格での安定供給体制の整備を進める。ヤトロファは干ばつや害虫に強く、種子の収穫量は一ヘクタール当たり年間五トンが見込まれる。種子からは三五%の油が採取されるため、一ヘクタール当たり一・七五トンの油を確保できる。食用に向かないため、ダイズやナタネのように食用油への利用と競合しない。
 日本政府は、化石燃料からバイオ燃料への転換を推進しており、今後は税制上の優遇措置など法的側面からの支援策も期待できる。
 合田社長は「二〇一〇年を中間目標として国内外での安定供給体制を整備、日本の法制度が整うまではBDF導入が先行しているEUや韓国をターゲットに展開する。BDF事業は単に植物燃料を供給するだけでなく、干ばつ地帯の緑化や現地での雇用創出にもつながる。将来的にはアジアでの農場運営、BDF精製技術の開発および提供、BDF販売を三本柱として事業を進めていきたい」と話している。