2月14日 化工日報
 石油メジャーが、バイオマス燃料に対する投資を活発化している。このほど
英BPがインド・エネルギー資源機関(TERI)のバイオディーゼル燃料の製造試
験計画に九百四十万米ドルを投入することを決めたほか、英蘭ロイヤル・ダッチ・
シェルはカナダ、ドイツの企業と連携、セルロース由来などのバイオエタノールの生
産に取り組んでいる。米国では、ブッシュ大統領が年頭の一般教書演説で石油依存度
の低減に言及。石油需給の世界的なひっ迫感が強まるなか、石油代替エネルギーであ
るバイオマス燃料の開発がメジャーを中心に今後も拡大しそうだ。
 BPがインド・TERIに資金提供するのは「ジャトロファ」という非食用
作物からのバイオディーゼル燃料を取り出すプロジェクト。
十年間の予定で、約八千
ヘクタールの荒れ地でジャトロファを栽培し、年九千キロリットルのバイオディーゼ
ル燃料を製造する。土地の有効利用に加えて、化石燃料の消費減による温室効果ガス
の排出削減効果、急増するインドのエネルギー需要の緩和効果などさまざまな効果が
期待されている。
 一方、シェルは資本参加するカナダのアイオジェン社と協力し、セルロース
由来の自動車用バイオエタノールの商業生産を目指している。アイオジェン社のプロ
セスでは、LCA評価で従来燃料と比較してCO2排出を九〇%削減できるという。ドイツ
ではエネルギー開発企業のショーレン社と連携して、木くずなどをガス化して軽油留
分を取り出す「BTL(バイオマス・ツー・リキッド)」の開発を推進。ショーレン
社は同国フライベルクに世界初となる実証設備を設置、シェルは軽油乗用車が一般的
な欧州市場で新燃料の拡大を見込む。
 米ブッシュ大統領は今年の一般教書演説で、二〇二五年までに中東からの石
油輸入を七五%削減し、代替エネルギーとして植物などから燃料を取り出す技術開発
を進める方針を示した。米国の自動車メーカーもバイオ自動車の拡販を急ぐなど具体
的な取り組みが始まっており、燃料サイドでも資金力の優れた石油メジャーを中心
に、バイオマス燃料の経済性、供給安定性の向上に向けた商業化の取り組みが一層加
速しそうだ。