CO2排出枠を購入 経産・環境省 来年度93億円要求

2005年 8月26日 (金) 01:56

 政府は二十五日、地球温暖化防止を目指す国際条約「京都議定書」の目標達成に向け、平成十八年度から温室効果ガスの排出枠を途上国などから購入する方針を固めた。十八年度予算の概算要求にクレジット(排出量)購入費として経済産業、環境両省が九十三億円を計上。技術開発など環境整備面に注力してきた政府がクレジット購入に乗り出すことで、日本の削減目標達成への成果が問われることになる。

 政府は京都議定書が削減目標を定めた二十四年までに二酸化炭素(CO2)一億トン分のクレジット購入を想定し、今後七年間の支出額は一千億円規模にのぼる見通しだ。


 京都議定書では、日本は平成二十年から二十四年の五年間、温室効果ガス排出量を基準となる平成二年から6%削減する計画となっている。しかし、現在の排出量はすでに二年比で約7%増となり、このままでは計13%の削減を迫られる。


 このため、京都議定書は国家間で排出枠の取引を認める「京都メカニズム」を取り入れ、政府も今年四月に閣議決定した京都議定書目標達成計画で、省エネや代替フロンなどの削減策とともに、削減量の一部(平成二年の1・6%分)にクレジット購入を充てる方針を示していた。


 主に途上国で生じたクレジットをめぐっては、「排出量市場」の商品として、各国の企業も取得している。現在、クレジットの価格はCO2一トン当たり八ドル程度だが、今後の需給次第では変動する可能性が大きい。


 こうした相場を見極めつつ、政府は購入量を増やす投資を続けることになるため、経産、環境両省は「早期の契約締結や前払いの対応も必要だ」(関係者)として京都議定書の削減目標が始まる二十年より二年早く予算を確保したい考えだ。


 両省は翌年度への繰り越しといった柔軟な支出方法で購入のタイミングを図りたいとしている。


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 京都メカニズム 各国に割り当てた温室効果ガス削減数値目標の達成を容易にするため、京都議定書が認めた排出枠の経済的取引の仕組み。(1)条約を締結した先進国が途上国に排出削減プロジェクトを供与し、発生した削減量を分けあう「クリーン開発メカニズム(CDM)」(2)先進国同士の共同プロジェクトで生じた削減量を分けあう「共同実施(JI)」(3)排出目標を達成して排出量に余裕がある国から買い取る「排出量取引」-の3種類。いずれも他国で生じた排出削減量を自国の削減量としてカウントできる。