http://www.tokachi.co.jp/kachi/0505/05_11.htm


経産相審議会
実用化のメリット評価へ

 経済産業相の審議会・総合新エネルギー調査会は今年度から、植物由来のバイオエタノールを自動車燃料用添加剤(ETBE)に変換、実用化する手法の検討を開始した。十勝では直接混合(E3燃料=エタノール3%混合ガソリン)を念頭にバイオエタノールの研究が進んでいるが、混合率が高くなると専用車両の開発が必要とされている。添加剤だと既存車両に広く利用でき、バイオエタノールの早期実用手法として、十勝の関係者も関心を寄せている。(広田実)

 資源エネルギー庁によると、検討作業はメーカー、自動車工業界の技術者らで組織するワーキンググループが担当。既存データや海外での実用化事例を基に供給安定性、経済性を評価する。

 ハイオクガソリンを作る際の添加物としてフランスとスペインでは既に実用化段階にある。フランスではETBEを15%(エタノール換算で6-7%)まで混合が認められている。ドイツでも導入が検討されている。

 十勝での研究は、エタノールのガソリン混合を念頭に進められている。混合率E3(3%)までなら既存車両でも利用できるが、「E5」を超えると専用車両への変更が必要なため、この点ではETBEに軍配が上がる。

 ただETBEは製造工程で(直接混合に比べ)余分な二酸化炭素を排出するほか、ガソリンに混ぜる際に混合比率が高くなるほど排出ガス中の窒素酸化物濃度が増える点がデメリットとなっている。エタノールの直接混合と、添加剤に変えて利用する手法はどちらが優れているかは簡単に説明できない面がある。

 十勝での研究に携わっている西崎邦夫帯広畜産大学教授は「E3、ETBE共に、農業副産物から作るエタノールが地球温暖化防止に貢献するという点では同じ。状況に応じてどちらかの手法を選ぶべき。今後の検討経過を注目していく」と話している。

 バイオ燃料をめぐっては、燃やしても植物が吸収した分の二酸化炭素しか発生せず、化石燃料の使用量削減にもつながるとし、地球温暖化対策に向けて検討成果が注目されている。

 <ETBE>エチル・ターシャル・ブチル・エーテル。エタノールとイソブテンから合成される燃料添加剤。(1)揮発しにくく大気汚染の可能性が低い(2)水との親和性がない(3)車両のゴムパッキンや金属配管を劣化させない-などの特徴がある。自動車エンジン、流通施設を現状のまま使用できる。