新川てるえさんとAntiscam活動をするようになって、色々な被害者の方々と接したり、アンケート調査をもとにいろいろな状況などを知ることが出来ました。以前より、FC2の掲示板などでも「警察に行ってもなかなか相手にしてくれない」とのコメントは拝見していました。新川さんも他の仲間も私も、いつも「警察に被害届を出してください」とアドバイスしていますが、警察に届け出をしない被害者の方は少なくありません。

 

警察に届け出ることに対するネガティブな見方は以下の通りです。

1)外国の犯人なので、警察は殆ど捜査が出来ない。(犯人逮捕につながらない。)

2)警察に嫌な態度を取られたりした経験がある。

3)民事なので弁護士に相談しなさいと言われた経験がある。

4)警察に届け出ると詐欺にあったことが周囲に知られるので恥ずかしい。

 

 

警察の消極的な態度が予測できても、届け出る理由があります。

1)日本の警察は国際ロマンス詐欺のことをほどんど知らない。知るようにするべきです。

 日本の警察はオレオレ詐欺の捜査には力を入れていて、警察署や銀行にポスターが貼ってあります。しかし国際ロマンス詐欺の知名度は非常に低い。たくさん起きていて非常に緊急度が高い犯罪でなければ、警察は重要視しません。たとえ数千万円だまし取られた日本人が何百人もいたとしても、届け出がなければだれもそんなに危険な犯罪がはびこっているなどとは思わないのです。ほんの一握りの不注意な人が外国の犯罪者に騙されたという程度だと判断されれば、警察は税金使って捜査することはできないでしょう。世界的に見ても、警察には実際に発生している国際ロマンス詐欺の発生件数のほんの2,3%しか届け出されていないのです。

 

 2017年のオレオレ詐欺の認知件数8,496件、被害額207.9億円。架空請求詐欺が、認知件数5,753件、被害額127.7億円。還付金等詐欺が、認知件数3,129件で被害額35.9億円。この3つの手口が日本の特殊詐欺の認知件数全体の95%を占めます。おそらく国際ロマンス詐欺の認知件数はごくわずか、パーセントにすると非常に微々たる数になります。従って、大きな問題としては認識されません。被害者が警察に届け出ない状態が続く限りは、警察はこの問題に対して積極的にはなりません。何故なら、大きな問題と認識していない事件に人材と税金をかけられないからです。

 

 例外的に警察が良く動いてくれる場合があるのは、日本国内に送金先があった場合です。但し署によって反応は異なる。送金先はマネーミュール(元被害者)の場合もあれば、日本に住む外国人ギャングの場合もあります。いずれにしても主犯につながる可能性は低いですが、口座の持ち主の口座が凍結され、そこから可能な金額は戻ってくることもあり、口座の持ち主の逮捕起訴までいく可能性も期待できます。

 

日本国内の送金先で、送金先の名義が日本人だった場合、マネーミュール、つまり詐欺師との精神的つながりが強い被害者である可能性も高いです。そのような方々は周囲の人が詐欺について注意しても聞く耳を持たない場合が多いです。警察に捕まることで目が覚まされることもあり、残酷ではありますが深刻な被害者が詐欺師からの支配から逃れる助けになります。

 

2)政府も国際ロマンス詐欺のことをほとんど知らないので法整備の必要性を認識しない。警察が認識を深めれば政府も重要性を認識できる。

 日本の警察が国際ロマンス詐欺の被害の重要性を認識しないので、政府も新しい法を作ったり、関係国との連携捜査などが出来るような国際協力の枠組みを作ったりといった行動に出る必然性を見出せません。

 

3)もう一つ重大なこととして、警察が重要性を認識して政府が法整備をするように動かないなら、いつまでたっても同じように詐欺犯罪が発生する結果になる。結果として詐欺師は2億ドルの巨大市場を相手に楽してボロ儲けを続けられる。日本人は警察に届け出ないことを知っておいしい

 日本の警察が国際ロマンス詐欺の被害の重要性を認識しないので、政府も新しい法を作ったり、関係国との連携捜査などが出来るような国際協力の枠組みを作ったりといった行動に出る必然性を見出せません。

 

だから、警察に届け出ることをお勧めします。

 

もちろん、既に事件が起きてしまった後で、被害者本人には何も返ってくるものがない場合もあります。送金先が海外で、主犯は自称米国人だけれども実際にはナイジェリアにいる。逮捕につながる手掛かりは皆無。自分にプラスにならないなら警察に届け出たくないという方もおられるでしょう。ロマンス詐欺の被害者の中には自己中心的な方もおられますが、殆どの方は優しい方が多く、その優しさに付け込まれて騙されたケースがほとんどです。そんな優しい皆さん、次に騙される人が減ってほしいと思うのなら、たとえ犯人逮捕につながらなくとも、被害を警察に届け出るようにしてください。

 

地元の警察に行く前にサイバー警察に連絡してみてください。

 

 

 

RSN. Why Reporting Matters. 

http://romancescamsnow.com/dating-scams/rsn-guide-why-reporting-matters/(viewed 2018.9.6)

 

警察庁生活安全課. 平成29年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2017.pdf (viewed 2018.9.6)