代金を振り込ませて商品を送らない ─ H・Ichinohara ─

出品者は「入金を確認して、1週間以内に発送する」約束をした。落札者は全額を振り込んで商品の到着を待った。2週間が過ぎても商品は届かない。出品者に問い質すと「私は代理出品で、商品は手元にない」と開き直った。返金もなく、その後、商品は届かず、内容証明が届いた。行政書士に架電した。「当職はお金を貰って、ただ書いただけです。それ以外の依頼は受けていません」と回答した。

詐欺は絶対に許さない──

 出品者を告訴した。
数日後、武蔵野警察署を訪ねた。捜査二課の佐藤警部は「今、捜査中」という。逮捕は?「しない!」何故?「又、来てもらうから..。」はぁ~、被疑者に又、来て貰うってどういうことだ!「逃亡の恐れがないから」こんな攻防が一年以上も続いて捜査は26年の秋に終結した。

 東京地検に架電した。担当の高橋検事は「難しい案件で判断に迷う。被疑者の肩を持つ訳ではないが…。」と漏らした。12月16日再度架電した。「処分は決まった。通知書は送る」──。

 通知書は届かないまま27年が明けた。2月10日再度架電すると、検事は無言で事務官に代わって逃げた。事務官は状況が掴めず曖昧な答弁をした。無理もない「少し時間が欲しい」というので譲歩して待った。処分は不起訴。( 平成27年(ハ)第850号 )

  被告は弁護士を通じて和解を求めてきた。
以下、被告側が「詐欺」を認めたので和解に合意した。 損害賠償等請求事件 近藤壽邦裁判長。

1、被告は、原告に対し、本件不法行為「詐欺」を認め、多大な迷惑を掛けたことを謝罪する。
2、被告は、原告に対し、本件詐欺に基づく損害賠償債務として○○○円及び、これに対する遅延損害金の支払義務があることを認める。

※刑事上の犯罪と民事上の不法行為について、法律上、人に損害を与える行為には2種類があります。民事上の不法行為と刑事上の犯罪です。

※詐欺には、民事上の詐欺「不法行為」と刑事上の詐欺「犯罪」があります。
刑事上の詐欺「犯罪」は、民事上の不法行為になるのが一般的で、民事上の詐欺「不法行為」だから刑事上の犯罪になるとは限りません。犯罪「不法行為」です。

※不法行為と犯罪の違い──。
民事上の不法行為は,違法行為によって「他人の権利・利益を侵害した者」に対して与えた損害を賠償させる為の民法上の制度(民法709条)です。

 刑事上の犯罪は,社会生活上の利益を侵害する行為であって、刑罰による制裁が必要なものを指します。民事事件(不法行為)は、お金の支払いだけの問題になるのに対して、刑事事件(犯罪行為)は、罰金のほかに懲役や死刑などがあります。