春分の日の連休に歩いた丹沢初の縦走をレポート中。
2回目は、塔ノ岳山頂から菩提峠までの表尾根を報告する。
稜線歩きがつらく感じるなんて初めてでした。
■マップ
(1)全体

(2)表尾根コース攻略法

●表尾根のアップダウン
①[ 710m]登山口(富士見橋横)
②[1144m]二ノ塔(にのとう)
・[1100m]鞍部
③[1205m]三ノ塔(さんのとう)
・[1050m]鞍部(ヤゲン沢乗越)
④[1136m]烏尾山(からすおやま)
・[1100m]1130mほどの無名峰を2つ通過
⑤[1180m]行者岳(ぎょうじゃがたけ)
・[1150m]鞍部近くに鎖場(よく渋滞する)
⑥[1209m]政次郎ノ頭(まさじろうのあたま)
・[1300m]書策小屋跡
⑦[1340m]新大日(しんだいにち)
・[1310m]鞍部
⑧[1396m]木ノ又大日(きのまただいにち)
・[1390m]鞍部
⑨[1491m]塔ノ岳(とうのだけ)
●表尾根(稜線)と尾根道
表尾根というのはヤビツ峠かた塔ノ岳に続く山並みの稜線を歩く縦走路を言う。
この稜線から麓の登山口へ続く「尾根道」を地図で見ると、明確な違いが分かる。
正規な(管理された)登山道は南側に多く北側には少ないのである。

南側の正式ルートは4つ。
・政次郎尾根コース(政次郎の頭~戸沢山荘)
・烏尾尾根コース(烏尾山~新茅荘)
・三ノ塔コース(三ノ塔~大倉:戸川公園)
・二ノ塔コース(二ノ塔~菩提原BS)
V路は2つあるがあまり歩く人はいない
・書策新道(廃道)
・烏尾山仲尾根コース
北側の正式ルートは1つ
・長尾尾根コース(新大日~本谷、そして札掛又は塩水橋へ)
V路が1つあり、この道を歩くハイカーは実は多い。私も良く利用する
・ヨモギ尾根コース(三ノ塔~札掛又はBOSCOキャンプ場)
やはりハイカーの利用する交通手段の影響によるものと思われる。
表尾根は南丹沢とか表丹沢とも呼ばれ、秦野平野に面した南側の交通の便が良い。
尾根の裏側になると、バスも電車も利用できず、西丹沢並みに不便になる。
バスで行ける最深部がヤビツ峠である。
油断して日没を向かえてしまうと携帯の電波も届かない超危険な状況に陥る。
初心者には注意が必要だが、状況を理解した者であれば、挑戦し甲斐のある山域であるとも言える。
表尾根の稜線歩きに飽きたら、表尾根の山越えルートを考えてみるのも楽しいですよ。
なお大倉をStartGoalとした周回コースも表尾根の尾根道をつなぐと色々考えられますよ。
大倉尾根と三ノ塔尾根道を使うとどちらから始めてもタフなコースになります。
■本日のデータ
◆経過詳細
↓以下の通り

■実走報告
塔ノ岳山頂からの続き。
(⌒_⌒)v いぇ~い!
(06)塔ノ岳OUT、表尾根へ
10:22、塔ノ岳に到着。
お腹が空いて足に力が入らないのも気になったが、それより大倉尾根の途中で一度も腰を下ろして休んでいないことが気になった。
丹沢歴が長いわけでもなく、1年のブランク明けでの大倉尾根上りである。
同じスポーツを長く続けると、多少のブランクでも平気なことがある。足を使う場合は「地足が出来る」などと言う。
たった3年の週末ハイキングでは到底無理だ。しかも私はもう老人だ。
過去の記憶をもとにプランニングしたので表尾根に全く不安は感じなかったが現実は厳しい。
太ももがピクピクするし、座る位置を変えようと不意に力を加えたら足が攣りそうになった。
(これは、かなりヤバいぞ)
(慌てずに、休みながら行こう、無理は禁物だ)
11:02、じっくり休んで塔ノ岳山頂を後にする。
見えているのは丹沢山か
(07)表尾根・書策小屋跡まで
表尾根は塔ノ岳から行者ヶ岳手前の鎖場まで下り基調の道が続くが、木ノ又大日まではゴロゴロした岩場の道で注意が必要だ。
◆木ノ又大日
傾斜が落ち着いて平坦な道に変われば、直に木野又小屋が現れる。
途中に崩落により尾根道が削れてなくなってしまい、迂回するように道がついている。

11:26、木ノ又小屋前を通過。閉まっていると思ったら、小屋の主人らしき方が談笑中だった。
◆新大日
木ノ又小屋を過ぎたら新大日はすぐだと記憶していたのだが、なかなか階段が現れない。
新大日に続く階段に来たら不安的中、足が上がらない。
階段で足を挙げようとしたら太ももが攣りそうになった。
(上りは注意がいるなぁ)
諦めて階段横で足を休ませる。ハイカーの流れが止まったところでゆっくりと上がっていく。
11:41、新大日を通過。
新大日茶屋がの倒壊が進んだ。今年の台風で完全倒壊しそうです。
小屋が消えるのは寂しいが致し方ないですね。

◆書策小屋跡(かいさくこやあと)
新大日から足場の悪いガレた細道を直線的に下りた僅かな平地が書策小屋跡。
ヤビツ峠から来るハイカーとすれ違いますので、譲り合いながら慎重に下る。

現在ベンチテーブルが置かれた場所にかつて、書策小屋という山小屋があった。
”しょさく”と読みたくなるが、”かいさく”と読む渋谷書策さんという達人が住んでいた。
戸沢方面からの登山道を開いたことでも知られた方で、”書策新道”と名前がついていた。
現在は廃道扱いとなっている。
付近には”書策”を表す道標が全くないため、書策小屋跡も意識していないと見過ごしてしまいますね。
書策さんは2009年に亡くなりその後小屋は倒壊してクリーン作戦で更地となった。
ここは下りが一段落するので一息入れるのにちょうど良い。
振り返ると塔ノ岳までの山並みが一望できる上に、新大日から下るハイカーの姿がはっきり分かって面白いのだ。


(08)表尾根・烏尾山まで
◆政次郎ノ頭
12:00、道標が立ち登山道の分岐点に到着。
ここを右に進むと戸沢山荘に行き着く。

この道標が政次郎ノ頭である。
山頂は道標のすぐ横の盛り上がりの上だと思うが道が分岐しているので道標はここになるのでしょう。
細かいことは気にしない。
◆崩れかけた痩せ尾根
政次郎ノ頭を越えると痩せ尾根の大きな鞍部が現れる。
視線の先には鎖場が見えた。
ここも登山道が崩落斜面に掛っており鎖を持って歩かないと危険である。
崩落した斜面が荒々しく急峻なため、妙に高所に来た印象を持ってしまうのだが、そんなに高くはない。
階段の両側に樹木がないのもプラスの演出で、「天国への階段」を想わせる。
◆名物の渋滞する鎖場
行者ヶ岳との間に鎖場が2つ現れる。
行者ヶ岳寄りの鎖場は短く問題ないが、政次郎ノ頭寄りの鎖場ははぼ垂直の崖を鎖で上り通過する。
ここは週末にハイカーの渋滞が起きることで知られている。
鎖場の下は木橋が掛けられているが、木橋がなければ大きなキレット(岩場の裂け目)である。
現在は注意しないと分からないが、木橋がなかったらマジで怖い場所ですよ。

鎖は2本用意されており上りと下りで使い分けが出来るのだが、今回たまたま私が到着した時間帯に、どこかの講習会の一団が1つの鎖場を占有してしまっていたため、渋滞がひどかった。
1本の鎖を上りと下りで譲り合って使っていたためである。
この一団、烏尾山まで一緒だったが、インストラクターの個性が強烈で参加者が楽しそうに見えなかったのよね。
隊長の一言一言が、命令口調で、なんかおかしいんだよ。
昭和っぽいというか、厳しさを伝えたいなら、そこじゃないんじゃない?と感じるような人でしたよ。
鳥尾山を過ぎた木道で見ず知らずのおじさんと「あれおかしいよね?」ってことで意気投合しました。
鎖場は問題ないのですが、やはり足に力を入れようとすると筋肉が耐えられないと応える。
攣りそうで攣らない状態をキープしながらヨロヨロと鎖場を越えた。
↓政次郎ノ頭を振り返る
◆行者ヶ岳
12:21、行者ヶ岳頂上を通過。
行者ヶ岳山頂には2つの石碑がある。左が山の安全を祈願したもので、右が役行者を彫った石碑である。
昔は「役の行者」の石像があったそうだが、持ち去られたか吹き飛んだかしてなくなってしまった。
”行者(ぎょうじゃ)=修行する人”のことで、ネットで調べると、
「新客ノゾキの岩がある。ここで新客に腰縄を付けて谷を覗かせる」
岩場から下を覗き込むことを修行としてやっていたらしい。
(その場所って、もしかして鎖場のキレット?)
推測が当たっていたら非常に興味深いことだ。

もう一つ私が関心を寄せているのは行者ヶ岳の東側に伸びる尾根である。
V路よりトライする者は少ないが歩いている者がいる。ヤゲン沢と境沢の分かれ目の付近に下る尾根なのだがいつか歩いてみたいと考えている。降りられればヨモギ尾根に上るルートは分かっているので表尾根に戻ってこれるのだ。
◆馬酔木(あせび)
烏尾山と行者ヶ岳の中間部には馬酔木(あせび)が咲き誇る場所がある。
白い小さな鈴の塊のような花がきれいに咲くのだが、この花木は有毒植物らしく丹沢の鹿は食べない。


烏尾山が見えると山すそから猛烈な風が舞い上がるポイントを通過する。
尾根筋がV字になってまるで風の谷のようです。
◆烏尾山
12:40、烏尾山に到着。



山頂上広場には鎖場で一緒だった全く私語をしない一団がいた。
指導者(昭和の隊長)から1時間の休憩を告げられていた。
昭和オヤジが大きな声を上げた
「はい、そこ、ザックをテーブルに置かない、下げて」
言われた女性は、返事もせずオヤジを見ることもなく、のっそりとザックをテーブルから降ろしたのだった。
(なんか変な感じ)
と思いながら私は先に進む。
ここは烏尾山分岐で左に進むと戸沢方面の新茅荘近くに行き着く。
(09)表尾根・二ノ塔まで
三角形の烏尾山荘を撮っていると、見ず知らずのオヤジコンビが話しながら目の前を通過した。
「おかしくない、おかしいよね、普通ザックテーブルに置くよね、何あれ」
さっきの昭和の隊長への反応だ。
「はい、おかしいと思います」(俺)
思わず反応してしまった。
「おかしいよね、荷物出したりするのにテーブル置くでしょ」(オヤジ1)
「あんなんじゃ、楽しくないよね」(オヤジ1)
「見たけど、みんな楽しそうに見えなかったね」(オヤジ2)
暫くみんなで昭和オヤジをディスって意気投合しました。
(もう時代は令和なんだから、楽しく取り組んだ方が良いですよ)昭和の隊長さんへ

階段の途中から三ノ塔が見える。


三ノ塔への上りはしんどいオヤジコンビと先を譲り合いながら上った。
岩場の途中で耐えられず、座り込んで休んでしまった。
太ももがちぎれそうでした。
◆三ノ塔北側の地蔵様
草場を越えると階段が現れてその先に小さくお地蔵さまが見えた。
(あと少しだ)
13:08、久しぶりにお地蔵さまとご対面です。
ここにくると必ず地蔵の脇から表尾根を撮ります。
表尾根を見守るお地蔵様の目線を意識するのです。



◆三ノ塔
13:15、三ノ塔に到着。
きれいになった避難小屋には興味がないのでスルー。風が強かったので避難小屋を風よけに出来るテーブルで昼食を摂ることにした。
そこは正面に大山山頂が望める抜群の場所であった。
私はお地蔵さまのところでは表尾根に関心が向くのだが、三ノ塔の頂上部までくると大山方面にした関心が向かない。




やはり大山の西側と北側は興味深い。
次は大山の北尾根を狙っている。
金比羅尾根も良く見えたし、地獄沢周辺も良く見えた。
おにぎり二個と缶ビールで十分です。
13:40、短めの休憩で三ノ塔を後にする。

ここは三ノ塔尾根分岐で、右に進むと戸川公園に行き着く、その先に大倉BS。

◆二ノ塔
三ノ塔と二ノ塔は近い下って少し上り返す感じで二ノ塔についてしまう。
13:51、二ノ塔に到着。
ここで行先が分かれる。
表尾根コースならば左の階段に進む。行き着く先は富士見橋横の登山口である。
しかし、私はこのパートが嫌いです。
ハイカーと雨水によって道は深くえぐられてまるで塹壕道のようになっている。
丹沢では珍しくはないけれど階段が嫌なのだ。
ここまでも多くの階段があったじゃないかと思うが、選択肢がないので問題にならない。
V路扱いではあるが階段が全くない別ルートがあるなら、そちらを私は選択する。
(10)菩提峠
二ノ塔尾根方面に進み暫く進んだところにある分岐を菩提峠方面(左)に進む。





◆日本武尊の足跡
14:02、日本武尊の足跡の道標前を通過する。
足跡は以前訪問したので立ち寄りません。

↓正面に大山、右に岳ノ台です
↓台風で倒れた杉の木、ずっとこのままです
↓この辺りが気に入っている
↓菩提林道
14:27、菩提峠に到着しました。
全行程の3/4が完了しました。後は岳ノ台をなんとか越えられれば安心できそうです。

第2回はここまで、菩提峠から次回に続く。
(⌒_⌒)v いぇ~い!
●表尾根ってこれまでは連絡用にしか使ってなくてあまり気にしなかった。
今回改めて考えると興味深い山域である。
南側の尾根で全部歩いたことがあるのは三ノ塔尾根コースだけ。
二ノ塔尾根は途中までだけ、まずは政次郎と烏尾尾根を歩いてみたい。
稜線の北側にも興味がわく。
ではでは(⌒O⌒)























































