【トランスミッションとは編】


突然ですが、クラッチワイヤーの清掃してます?

『そんなもの、清掃する必要あるの?』っていう方も多いんじゃないでしょうか。


多くのバイクはクラッチの操作を左手側のレバーを引いたり戻したりして行いますが、レバーを引くとレバーにつながったワイヤーが引っ張られ、その先にあるプッシュレバーを動かしなんだかんだでクラッチが切れる(エンジンとトランスミッションが離れる)という仕組みです。

プッシュレバー

    出典:バイクブロス


トランスミッションって何?

という方も少なくはないでしょう。


エンジンは常に動力を発生していてバイクを動かそうとしていますが、信号や他の交通がある以上それでは困ります。


また、エンジンが発生する力はとても強力ですが、走行するときには常に強力な力を必要とはしません。


自転車を思い浮かべていただければわかりやすいと思います。停止した状態からの漕ぎ出しはペダルがとても重たいですが、スピードが速くなってくるとペダルはほとんど力を込めなくても漕げるくらい軽くなります。その代わり、変速装置がない自転車では速いスピードを保つためには速いスピードでペダルを漕ぎ続けなければなりません。


もしバイクに変速装置が無いとすると、速く走るためにはたくさんエンジンを回す必要があり、その分たくさんガソリンを消費してしまいます。速いスピードでは力を必要としないのにガソリンをたくさん使ってエンジンを速く回すのは勿体無いですよね?



そこで昔の人は変速装置(トランスミッション)を考案しました。

例えば、エンジンが生み出す回転の軸に歯が10枚の歯車を取り付け、タイヤの軸にも歯が10枚の歯車を取り付け、2つの歯車を噛み合わせます。歯車は一方の歯が接する他方の歯を押すことにより動力を伝達させるものなので、エンジン側の歯の枚数とタイヤ側の歯の枚数が同じなら、エンジン1回転に対してタイヤも1回転することになるのはおわかりいただけますでしょうか。

トランスミッション

    出典:バイクライフラボ


では、エンジン側の歯車の歯を20枚に増やしたらどうなるでしょう。

エンジン側が1回転すると、接する点を歯が20個通過します。ということはタイヤ側の歯車の歯も20個通過するので、タイヤは2回転するんです。

つまり、エンジン側の歯車の歯の数とタイヤ側の歯車の歯の数の比はそれぞれの回転数の比に等しくなります。

ただし、最初の10枚歯の歯車と20枚歯の歯車とで歯の大きさを変えてしまうとうまく噛み合わなくなってしまいますから、歯の大きさを変えないために20枚歯の歯車は10枚歯の歯車より直径が大きくなります。

輪軸の原理で直径の大きさは軸を回転させる力に比例しますので、20枚歯の歯車を回すには、より大きなエンジンの力が必要になります。


   出典:スタペディア


ですから、タイヤが静止している状態では動き出しに大きな力を必要とするので、エンジン側の歯の数を多くするのは得策では無いと言えます。

逆を言えば、発進時はエンジン側の歯の数を少なくすればより小さな力で発進できるということも言えます。

このことを利用して、大きな力が必要な発進時は歯の枚数が少ない歯車(ギア)、速度が上がるにつれて必要な力が小さくなるので徐々に歯の枚数が少ない歯車(ギア)に変えていけばエンジンを回すエネルギー(ガソリン)が少なくて済む、という機構が考えられました。これがトランスミッションです。

このギアチェンジを(コンピュータが)自動で行うのをオートマチック・トランスミッション(AT)、ライダー(ドライバー)が自分で行うのをマニュアル・トランスミッション(MT)と言います。


なんだか、クラッチワイヤーの清掃とはかけ離れた内容になってしまいましたが、ついでなので上げてみました。つまらない文章ですみません🙇


次回へ続きます。