2021.3.8
つけていたテレビから、今日からまたさらに緊急事態延長のニュースが流れている…
もうすぐ着くってLINEが入ってから結構時間が経ってる
ぼんやりとソファーに座って、スマホを握ってた…
待つのは平気、イライラは別にしない
けど、心配にはなる…
『電話してみようかな…』
そっとスマホを左手に持ち替えたら、ブルブル震え出して驚いた
『…もしもし?どした?大丈夫?』
今まさに電話しようとしてた人物からかかってきて、瞬殺で出てた…
『ごめん、遅くなっちゃって、着いたから開けて』
『了解〜良かった、遅いからどうしたのかと思って』
スマホを耳に充てながら、家のロック解除を押した…さらに歩きながら玄関の解除もついでにして置いた…再度ロックがかかる前には着くだろうと思って
『着いた!』
『オッケー開いてるよ』
『はーい』
電話を切ると、すぐに玄関のドアが開いた…
『おつか、え!?』
玄関の外に立ってたのは、全身黒いものに覆われた人…
『あ、リーダー久しぶり〜今脱ぐよ』
テキパキと手早に脱いで小さくまとめて袋にしまって口を閉じた…さらにスプレーを出して色んなとこに吹きかけてる…
『え?…』
『え?…消毒だけど、念のため』
松潤らしい…中に入るまでに5分はかかった…
お互い心配性だから、検査を終えても迂闊な行動はしなかった…まぁこれからもしないけど…
うがい手洗いを終えて松潤は微笑んだ…
『リーダーんち久しぶりだ〜前とあんま変わってないね』
『まあね、ほとんど家に居るだけだし…』
『ふーん…そっか、まあこの状況だしね』
『とりあえず飯?飲む?』
『リーダー相変わらず薄いね、筋トレしてないの?』
『体は動かしてるよ、けどハードなのは流石にやってない…相葉ちゃんいないとね〜笑』
『へぇ、…ま、食べて飲んでにしよう!』
『うん』
松潤の作る料理に、お酒、俺もツマミをちょいちょい作って一緒に食べた…
誰かと食事なんて久しぶり…翔ちゃんと食べて以来かも…なんかすでに懐かしいな……
『あ、そろそろzero始まるんじゃ?』
程なくしてお互い酔ってきて、松潤が高そうな腕時計を見ながらそう言った…
『…あ、うん…そうだね、テレビつけよっか』
テレビをつけるとちょうどビールのCM…
翔ちゃんが画面に映った…
『…頑張ってるね、相変わらず…』
『うん、松潤も相葉ちゃんも、ニノも…』
『リーダーも頑張ってるね』
『俺は休んでるだけだろ…』
『そう?休むのも大変よ!ずっとは寝てられないし、お腹は空くし体は汚れるし、お掃除だってしなきゃじゃん』
『……ぷっ!…んふふ、なんかまつずんお姉みたくなってる!よ!って笑』
『なによ〜いいじゃないの〜』
『ぷっ!くははは!』
『もーひどいじゃないー』
散々笑わせてもらった、いつぶりだろ…
『やーっと笑った…』
『ん?…』
『リーダー、お通夜みたいな顔してんだもの…俺だって一応貴方のこと見てきたんですからね?…ま、このテレビん中の人には負けるけど…』
そう呟くと、グラスに口をつけて視線をテレビに向けた……
『…笑ってなかったの?俺…』
『……いや、笑ってたけど、なんつーかな、寂しそうっていうか…変な気起こしそうになる笑い方』
『はぁ?なんだよそれ』
『うん…テレビ電話とかさ、画像とか…なんとなく…』
『いやそうじゃなくて』
『リーダー、寂しいの?』
『え…』
『辛そう…に、見える』
そっと、松潤が俺の頬に触れた…
テレビから、翔ちゃんの滑舌の良い声が聞こえて来る…けど、松潤の目に見つめられて、さっきの言葉の意味を理解できなくて、固まったまま動けない…
『リーダー……』
松潤がテレビを隠すように覆い被さる…
何がオキテル?………