あれから… 10 | 青い人 嵐妄想小説

青い人 嵐妄想小説

気象系グループをモチーフとしたお話のブログとなっております。ブログ内のお話しは全て架空のモノです。腐的要素が含まれておりますので苦手な方は閲覧注意ください。アメンバー承認は以前よりコメメッセで絡んだ方のみです。

2021.1.8

狭くて天井の低いフロア…リノなんか敷いてなくてただ鏡に囲われてるだけ、それに蛍光灯がくすんで見える…

『おい大野っ!ボケッとしてんな』

声のした方を見ると、見知ったはずの人が顔だけぼやけた状態で立ってる
何か言う前に、今じゃあすっかり忘れていた音楽が聞こえてくる…

自然に体が動いた
何も考えない、疑問にも思わない…
ただ、ただ…無心で踊る…


『大野君!大野君の後ろで踊っていい?…ですか?』

また声が聞こえた
今より全然高い声で呼びかけるその子、最初は少し興奮気味で、語尾は慌てて敬語になって…
振り向くと、翔ちゃんが微笑んでた…

『智君…やっとこっち向いてくれた…ずっと呼んでたんだよ?』

聞き慣れた低い声…
俺より少し高い背…ずいぶん男らしくなって…
でも綺麗な目も、魅力的な唇も…ずっと変わってない…

『翔くん…』

あぁ、俺はそう呼んでたっけ…いつから俺はみんなが呼ぶように翔ちゃんって呼ぶようになったんだろう…

『智君………………』

『ん?何?…よく聞こえない』

『だから、俺…………』














聞き返そうと口を開けた瞬間
目の前が真っ白な光に包まれた…


『…んっ、んぅ〜〜……あれ?…あぁ…』

目を開けると、実家の天井…カーテンの隙間から陽の光が部屋を照らしてる


『夢か……』


不思議な夢だった…翔ちゃんは、俺に何を言ったんだろう…
ぐっと伸びをして起き上がると、もう思考は他へ向かう…









『もう一泊くらいしていけばいいのに…』

母ちゃんはそう言って眉尻を下げた

『うん、また来るよ』
『そうね、世の中が落ち着いたら…みんなでご飯食べに行こうね!』
『んふふ、そんときは俺がご馳走する!』
『あら?もちろんそのつもりよ〜ふふふ』
『ちょ、ご馳走される気まんまんかよ〜』


たわいもない会話をしながらも、母ちゃんはいそいそと大きな袋に何かを詰めてる…俺の好きなものばかり


『母ちゃん、通販で買うからいいのに』
『届くまでに時間がかかるし、ただでさえ配達の方が忙しいんだから、自分で持って行けるときは持っていきなさい』
『……はーい…んじゃ、帰るね』
『はいはい、気をつけてお帰り』
『うん、じゃあね〜』





待たせていたタクシーに乗って、家の近くを告げる

本当は、帰りたくない…
でも、実家には…幼い自分たちの面影がある…無性に会いたくなる…




あれだけ寝たのに、車の揺れが心地よくて…いつの間にか眠ってしまった……