あれから… 4 | 青い人 嵐妄想小説

青い人 嵐妄想小説

気象系グループをモチーフとしたお話のブログとなっております。ブログ内のお話しは全て架空のモノです。腐的要素が含まれておりますので苦手な方は閲覧注意ください。アメンバー承認は以前よりコメメッセで絡んだ方のみです。

2021.1.3
着いた場所は見慣れぬとこで、辺りが真っ暗だったから本当は来たことあったのかもしれないけど


大きな鳥居を潜って、ジャリジャリと音のする道を歩いた…小さな呼び鈴を翔ちゃんが押すと、中から初老の男性が出てきた…

『お待ちしておりました…夜分にようこそ…』

『いえ、こちらこそこんな時間になってしまい申し訳ないです…昨年はなかなかお邪魔できず申し訳ありません…』

『とんでもない…お忙しいのは分かってましたから…ささ、どうぞ寒いですから中へ…』

『ありがとうございます…行こう、智君』
『…え、ああ、うん…遅くにすいません、失礼します…』

『大野さんもようこそいらっしゃいました…お会いできて光栄です…』
『いや、俺なんかどこでもいますから…』

『ほら、智君、中入るよ?』
『あ、ごめん…』

ついつい話しかけられると止まって喋っちゃう…せっかく中に促してくれたのに、好意を無駄にするところだった…翔ちゃんはこういうところもよく気がつく…




中へ入ると、すごく歴史を感じる…一つ一つの作りが繊細で、昼間だったらずっと眺めていたいくらい…あんまゆっくり暗闇をウロウロしてると、翔ちゃんが怖がるだろうから程々で行こう…


『こちらでございます…もう用意は出来ておりますので、私の方で一度動きますので、どうぞ同じようにお参りください…』

『はい、よろしくお願いします』

そっか、お参りか…神社に着いたからそうだとは思ってたけど…


『…初詣、行けてなかったからさ…今年は』
そっと、神主さんが清めている後ろで俺の耳元に囁く…
『…うん、そうだと思ってたとこ…あんがと』




滞りなくお参りが終わり、破魔矢やお札などを頂いた… すっかり冷えてしまった体を、温かい飲み物やお茶菓子でもてなしてもらい、ほっと一息つけた…
長居は申し訳ないので、暖まったところで帰ることにした…お礼を言って車に乗り込む…





『…なんかさ、しゃんとするよねやっぱり』
『うん、俺無意識に背筋が伸びる…』
『ふふ、智君…寝てていいからね』
『んにゃ大丈夫、なんかさ起きていたいから』
『そう?…でも無理に起きてなくていいからね』





しばらく会話のないまま、車は進む…車のことはよく分からないけど、全然振動を感じないから翔ちゃんが乗る車はさすがの良い車なんだろうな…
無言でも、居心地が良いのはやっぱり相手が翔ちゃんで、メンバーだからだよな…めっちゃ楽…もうこの先…こういう人には出会えないかもしれないな…


『…翔ちゃん…あんがと…20年以上前から、今日までも、明日からも…ありがとうな』



言わずにはいられなかった…
ふふって口の端を上げて笑う翔ちゃんは、『…いえいえ、こちらこそ…』なんてかしこまってたけど、暗がりでも耳が真っ赤になってるのを俺は見逃さなかった…喋るのは得意だけど、俺に喋られ慣れしてないからな……
なんだかあの櫻井翔を翻弄してるみたいで、すごく気分が良かった…ずっと、この時間が続いたらいいななんて、夢みたいなこと考えてた…










起きてる…なんて言ったのはどこのどいつだ?

気が付けばすっかり夜は明けていて、翔ちゃんちの駐車場で目が覚めた…
隣に目をやると、シートを倒して翔ちゃんも寝てた…専用ガレージの中で良かった…迂闊に見せられないよな、こんな俺たち…んふふ…


控えめな常夜灯が、翔ちゃんの顔を照らす…
よくは見えないけど、目の下には疲れからか薄っすらクマみたいなのができてる…疲れてるよね…悪いことしちまったな…無理矢理でも休ませれば良かった…にしても綺麗な顔してるなぁ…こんな至近距離で寝顔見たの久しぶりだな……いつも俺が寝てるから、翔ちゃんの寝顔は楽屋以外では見たことない…
でもさすがに車じゃ疲れはとれないだろう…可哀想だけど起こすか…


『…翔ちゃん、翔ちゃん…起きて?ちゃんとベッドで寝よ?な?』

『…んっ…んん〜〜あ、智君起きたんだ、起こしてくれれば良かったのに』

『ごめん、俺が寝ちったからだよな、もう部屋戻ってゆっくりしなよ』

『ふぁぁ〜そうだね、そうしよっか…』

車から降りると、神社で貰った御守りなどを翔ちゃんが持ってくれ、鍵を閉めるとエレベーターに乗り込む…ピ、ピ、ピ…って回数が増えていくのを無言で眺めて………る場合じゃない!
『っ、翔ちゃん、俺帰るよ!ここでいいよ、俺このまま下戻って帰るから』

『え?なんで?…今日はさすがに疲れたから少し寝ようよ…』
『あ、うん、分かってるよ寝るよさすがに、だから家に帰るからさ』
『ん?家?…あ、そろそろ着くよ』
♪ポーン…
いや違くて…って言う言葉はエレベーターの到着音にかき消されてしまった…扉が開いてあたりまえのようにドアを押さえてエスコートしてくれる翔ちゃん…あろうことかそのまま降りて、部屋に入るどーしょもない俺……どんだけ迷惑かけるんだ俺…新年早々神様に恨まれそうな俺…翔ちゃん独占しすぎな俺は、そのうち翔ちゃんの彼女に怨まれそうだ…


『え、っと…翔ちゃん?俺、家に帰るからさ』
『智君、着替えるでしょう?昨日来てたスウェット乾いてるから着替えちゃって?俺ベッド直してくるから』
『へ?あ、はい…えっとそうじゃなくてさ』
『あ、そうだ、頂いたお札飾り棚の上に飾っとくね?一応そこが神棚のつもりなんだ…暮れに掃除しといてよかったよ』
寝室の方から声がしたと思ったら今度はリビングから…テキパキと手際良く動き回ってる翔ちゃんに、俺の声は届かなかった…

途方に暮れた俺は、結局翔ちゃんに借りたスウェットに着替えていた……