ウイルスに感染して免疫不全が起きるHIV(後天性免疫不全症候群)や、HIVが発症した状態のAIDSは抜本的な治療は未だ難しい病気だが、早期に治療を開始すればコントロールできるようになりつつある。そのHIVが進行した若者が米国で多いことが最近の調査で明らかになった。
米国立保健研究機構が、若者のHIV・AIDS治療相談や予防啓発を行っている組織の利用者852人(12-24歳)のリンパ球CD4の数を調べた。CD4は免疫力を測る指標となり、健康な人のCD4の正常値は500-1000とされていて、HIVが進行するに連れその数は減って行く。
調査の結果、全体として感染率が非常に高く、しかもCD4が350以下だった人が34%にのぼった。これはAIDS発症リスクが非常に高いレベルだ。さらに351-500だったのが27%で、500以上は39%だった。調査ではまた、HIVに感染している男性との性交渉を持った若い男性については実に30%の人で非常に深刻なCD4値が出たという。
米国立保健研究機構によると、米国では13-24歳の4人に1人がHIVと推測されていて、その60%が自身の感染を自覚していないとのこと。調査にあたったビル・カポジアニス医師は「結論を出すにはまだ早いが、若い同性愛者の男性から相談を受けているヘルスケア従事者は特に注意してほしい。早期の受診や治療をこれまで以上に呼びかける必要がある」としている。
