もしあなたがカンボジア人女性と恋に陥り、カンボジアの法律にのっとり結婚しようと考えているならば、いくつか条件がある。それは、あなたが50歳未満で、月収が2550ドル(約24万9700円)以上あるということだ。この条件を満たしていない外国人男性は、カンボジア人女性と結婚できない。

 政府は「まっとうな結婚を望んでいるからだ」(外務省報道官)と説明している。それだけではピンとこないのだが、国際結婚の自由を規制するこの法的措置には、自国の女性を保護し、「人身取引」を予防するという狙いがある。

 カンボジアでは、偽装結婚などにより女性が労働・性的搾取の目的で売り渡されている。台湾に渡った女性が、売春目的で売買された例などが多々ある。

 そこに国際結婚の斡旋(あっせん)・仲介業者などが、ブローカーとして介在しているケースもあった。このため政府は、商業目的の国際結婚の斡旋と仲介を禁じている。

 たとえ「花嫁探し」のための斡旋・仲介業者を通したお見合いであっても、「人身取引」とみなされる。韓国人男性との結婚の大部分は近年、斡旋・仲介業者を通して行われた経緯があるが、韓国人男性が1人で女性25人とお見合いをし、摘発された事例などもあった。

 政府は一時、韓国人との国際結婚を禁止する措置を執った。在シンガポールのカンボジア大使館によると「韓国人との結婚については現在、禁止されていないが、厳しい書類審査などが課せられている。台湾人男性との結婚は禁止されている」という。

 こうした経緯と事情を背景にした類似の規制策が、冒頭の条件だといえ、「まっとうな結婚」という言葉には、深い意味がある。

ビッグパンダの日記