「憧れのプロサーファー」 2025.6月
「遊びを仕事にするもんじゃない。」と先輩が言っていた。しかし、一度サーフィンの世界に足を踏み入れた者は皆プロサーファーに憧れる。好きなサーフィンで食って行けたら。食って行かずともサーフィンを極めた者をプロと言うのなら、その領域に達したいと思うのは当然のことだろう。海の中でプロは注目を浴びることになる。「あの人はプロだよ。」ということは、誰もが知っている。私も10代の頃プロサーファーに憧れ、その動きを観察した。波の選び方、姿勢、板の持ち方、歩き方、その佇まい。どれを取っても格好よく、友達と真似たものだ。大磯にも格好いいプロサーファーはたくさんいて、それを間近で見ながら学んでいった。
小さなアマチュアの大会で勝ったりすると自信がつき、だんだん大きな大会に出るようになる。BクラスからAクラス、スペシャルクラスへとレベルが上がってくると、湘南や千葉、伊豆の選手と戦うようになり、実力が付いてくる。共に戦ったライバルたちがアマチュアで成績を残すとプロの世界へと旅立っていく。自分にも可能性があるのではないかと思い込み、プロに挑戦したが、夢と散った。
私がマッサージ師になったのはサーフィンを続けるための手段だった。20代前半でサーフィンを中断し、勉強をしてプロのマッサージ師になった。手に職を付け、自由な時間を作って海に行く。30代で再び海に戻ってきた。その頃には家族ができ、子育てをしながら、仕事と家庭のほんの僅かな時間を見付けて海に入った。プロのように毎日海に入れなくても、波のある日にできれば、それだけで十分満足だった。
自分の果たせなかった夢を子に託すというのはよくある話で、親が子にサーフィンを与え、いつしか親より上手くなる。そういう親を見て育った子もまたプロを目指すというのも自然な流れで、私の娘はアマチュアで日本一になった後、昨年プロになった。プロというのは、称号ではなく、それで食っていけるのが本当のプロだが、プロの壁は厚く、負けて帰ってくる度「お疲れ。」としか声を掛けられないが、ここから先は自分の力で道を切り拓いていくしかない。