自分のコンプレックスというものを考えてみた時に

「少々コンプレックスかな」
と思いあたることがある程度です。

いつからそうなったのかはともかく、お陰さまでその類いの悩みはありません。

だからこんな人間のままなのでしょうが……

自己嫌悪におちいることはあっても、自分の何かが嫌でたまらないと感じたことはないのかも知れません。
他人を見て自分より秀でているなと思うことは多々ありますが、せいぜい
「たいしたものだ」
と感心して終わりです。

岩手県北の農村で産まれ育った自分は県庁所在地の高校に進学した際には田舎者扱いされる時もありましたが
「田舎出身であることは間違いない」
と思う以上に特に感じることはありませんでした。
背が小さいと言われても事実だし不自由を感じてなかったので何とも思いませんでした。
同級生で宗教関係の本ばかり読んでる女子が自分との間を冷やかされた時に
「だって林下、背が低いもん」
と言われた時も
「こんな娘でも背を気にするんだ」 
そう思ったぐらいです。

親に貰った身体を恥ずかしいとか
生来与えられた環境
にコンプレックスを持つ意味もわかりません。

努力が足りなかったから田舎者なわけでもなく、何か優れていたから都会に生まれたわけでもありません。

六男である自分が長男に叩かれて転がった後に兄貴に向かって
“お前なんかに叩かれても、痛くねーよ!”  
と言ったという話を姉から聞いた時は衝撃的でした。
長男は 
“こいつはたいしたもんだ”
と笑って怒るのをやめたそうです。


へたれだとしか思っていなかった自分にそんな根性があったことを、もう少し早く知っていれば何かが違ったかもしれません。

まあ大概違わないんですけどね。

あの恐ろしくしかなかった長男に反論出来たなんて
重しのように成長を押さえられていたと思ってたのに

背伸びして大きく深呼吸したような気持ちになりました。