
館長は
まぁ拳で殴るのみが空手にあらず
ウチはもともと棍術が本業だしな
そのとおりで、徒手空拳による打撃に比べて、棍(棒)を使う技術は目を見張るほどに上達しました。
もっとも、昔奥さんに言われたとおり、
誰かを守るために使い方を覚えているわけで、自分から求めて使う必要は全くないのです。
それに右足首の可動域の狭さがここに来て、空手の動きを制限してしまい…
どうにも伸び悩んでいるのでした。
第二話
毒親は変わらず、でも自分が変われば状況は変わる
ワタシが小学校2年生の時に、世話をしてくれていた曾祖母が鬼籍に入り、それからは父子家庭になるのですが、相変わらず家庭のことやワタシのことには興味がないのか、それとも鈍いのか、
そんなこんなで高校に合格し、決してハデさはないものの、楽しい高校生活を過ごしていたのです。
第三話
見てはいけないものを見てしまいました。
高校3年になる前の春休み、唯一目を見て会話出来る女友達のミニモンちゃん(ミニマムモンキーの略 勝手に付けたあだ名)と一緒に、東京ドームのこけら落としでALFEEのミニライブを観に行きました。ちなみにセトリです。
01. 星空のディスタンス
02. シンデレラは眠れない
03. メリーアン
04. WEEKEND SHUFFLE-華やかな週末
05. クリスティーナ
06. My Truth
07. 恋人たちのペイヴメント
08. サファイアの瞳
09. THE AGES
10. 終わりなきメッセージ
11. SWEAT & TEARS
12. CATCH YOUR EARTH
ミニライブとは思えない豪華なセトリ!!
ミニモンちゃん曰く、今回はミニライブだからこんなものだったけど、実際のライブは20曲以上やってくれるよ!
とのこと、また夏イベになると30曲以上らしく、次の夏イベは神奈川での
4ACCESS AREA
夏イベはチケットを取るのが大変だけど、今回は神奈川以外に福岡、大阪、札幌の4ヶ所でも開催して、分散するから比較的取りやすいのでは…と分析するが…
学校のアル中の先輩たちと行かないの?と聞いてみると、ALFEEマニアの紹介ルールは撤廃されたらしく、またボス猿ちゃんは卒業したから、好きにチケットを取れるようになったらしいです。
絶対にチケットを取ると意気込んでくれているミニモンちゃんを見てるだけで、なんか嬉しくなります。
期待してます。
ミニモンちゃんと別れ、自宅に戻ったところ、家の前に見たことのないクルマが止まっている…
ジャマだな〜と思いながら家の玄関を開けたところ、見覚えのない男ものの靴…
イヤな予感を感じつつリビングのドアを開けた途端に目に飛び込んで来る
半裸の母上と半裸の若い男…
アッチャ〜、ヤバいもんを見ちゃったなぁ………
ここはひとつ…何も見なかったことにしてリビングをあとにします。
第四話
ガマン出来ませんでした。
でも今見えた男の背中、イレズミだったよなぁ…
自分の部屋に戻り、どうしようか考えていると下から母上がワタシを呼ぶ声が…
正直面倒臭い…出来れば何も見なかった
で通したい…でも無かったことには出来ないよなぁ…
いろいろ考えながら渋々階下に降りたところで、いきなり謝ってくる母上とリビングのソファでふんぞり返る間男…
第一印象で
コイツ、気にくわない。
人の母親を寝取って偉そうに…
あからさまに嫌な顔を向けてしまった…
今の、向こうにも伝わったかな?
ついでだから相手の顔をジッと見てみる。
なんか、貧相だなぁ
ヒョロヒョロだし
全く鍛えてない…
母上の男を見る目を疑う…
もっともオヤジ殿を選んだくらい
だから見る目はないよね
思わず、クスリと笑った瞬間に相手が逆上したのがわかります。
チッ、もっと無表情を通せば良かったか?と思った時には、母上を乱暴にどけて、間男が何か言ってくる…
見てんじゃねえよ
とか
帰ってくんじゃねぇよ
とか…
とにかくスッゲー高圧的で…
自分達が悪いのに、まるでこちらが悪いみたいな言い方で…
あれ?なんだ?この感じ…知ってる!
なんだかんだ理由をつけて、コチラを非難するこのやり方…ネグレクトを受けてたときの継母のやり方だ!!
瞬間、怒りでアタマの中がガンガンする…
その時、突然顔に衝撃💥
アレ、今殴られた?
別に痛くもないんだけど…
そして間男は何か怒鳴ってる…
聞いてんのかよ
とかなんとか…そしてさらに顔に衝撃…
大したダメージはないけど…
コイツ…また殴った?
フザケルナ
言い訳も聞かずに、言うことを聞かせるために行う理不尽な暴力…
フザケルナ
コイツまた殴ろうとしてる…
フザケルナ
顔目掛けて大振りのフック…
ギチッ
瞬間、肘を立てて相手の拳に合わせて防御…
肘が相手の指を打つ衝撃が気持ち悪い…
相手がビクンと反応して拳を引っ込めます。
遅いなあ、振りかぶってパンチとか、ルフィかよっ!!
大げさに痛そうにしやがって…
道場でさんざん館長にやられた防御…牙を折る…と書いて『牙折』(がせつ)です。
ちなみにチビ兄は中指の付け根を骨折したこともあります。
コレを何回かやれば、怖くて殴れなくなります。
間男はさらに別の拳で殴って来ました。
案外根性あるじゃん…
当然コレも肘を使って防御。
その瞬間、軌道を変え、襟を掴んできます。
おっ、アタマを使ったな!!
この態勢で来るのは、
投げか…あるいは…
相手はアタマを後方にのけぞらせて
まぁ…頭突きだろうなぁ…
襟を掴んでいる相手の両腕の間に下から右拳を突き出し、肘を曲げて頭突きする顔面にカウンターの肘打ち…
ホントは指を立てて鼻梁に沿って目潰しでもいいんだけど、アレ指先が気持ち悪いから使いたくないんだよなぁ…
相手の顔面の中央に肘が当たります。
うわぁグチャっていった…やっぱり気持ち悪い🤮
すぐに相手から離れ、間男を観察する…
コレは館長から教えられた基本中の基本…
じっくり観察して技の効果を見ろ!
鼻血出てる…鼻骨が骨折してるか?
拳は…変色してるし、変な方向に曲がってる…
両手の攻撃力は潰した…
と、なると次は蹴りなんだけど…攻撃が来ない…もう終わり…か?
もう良いですか?
ボクはなにも
見なかったことにしますから
と言って外に出ようとしたところで、間男が今度は母上を殴り始めた。
なにやってんのコイツ…
八つ当たりで女を殴るとか…あり得ない。
ここでまた心のなかで、何かが動く
なんで?なんで母上を殴ってんの?
好きだから抱いたんじゃないの?
女は男が何があっても守らなきゃいけないものなんじゃないの?
もうワケがわからない?
ただわかるのは、コイツは排除すべき脅威だと言うこと…
アタマの中で再び、何かが振り切れる…
ブチン💢
瞬間、母を庇って再び肘を立てて防御、そしてさらに踏み込む。
拳を払った肘が間男の首筋に当たるように…
当たった瞬間、呼吸が止まったのか、苦しそうに咳き込んだので、そのまま母を連れて外に出ます。
第五話
気がついたら近所中が大騒ぎでした。
とりあえず外に出たはいいけど、母上連れて逃げるのキツイな…
ふと見ると、騒ぎを聞きつけて、我が家の御庭番筆頭イングリッシュセッターの『ベア』がコチラを見ている…
おいで…ベア
いいか、母さんを守れ!!
母さんに何かする奴は…
遠慮せずに、噛み殺せ!
ベアは『ワフッ』と一声鳴いて母上に寄り添う。
コイツ、母上が初めて挨拶に来たときから懐いてたからなぁ…
基本、美人に弱いんだコイツは…
母さん、ベアから離れないで
母上はベアに付き添われてベアの小屋の方へ避難する。
ベアの小屋は家の裏にあって玄関からは死角になる。
頼む母上、そこから動かないでくれ…
隣を見ると、お隣のおばさんが庭いじりをしている。
おばさん、警察呼んでください。
ちょっと揉め事で…
その時、玄関から間男が出てきた…
手に持っているのは…包丁🔪
それを見た瞬間、おばさんダッシュで家の中へ…
よし、それで良い!
相手を良く見れば、持っているのは刃が異様にデカい牛刀…
そう言えばオヤジ殿がケバブをさばくのに便利だから買ったとか言ってたな…チっ…バカオヤジが余計なことを!
とっさに周りを見て武器を探す…
武器は? 武器はないか?
とりあえず隣のおばさんが庭いじりで使っていた農作業用のスコップがある…
おばさん、借りるよ!
コレは長さが無いけど先端が金属になってる…
警察が来るまで、なんとかするしかない!!
スコップのグリップを右手で持って、真っ直ぐに前に突き出す!
せーの…ホイ!!
スコップの長さがそのまま拳の延長になって相手の腹に突き刺さる!!
今のうちに…
スコップはそのままにして、牛刀の刃が届かない位置から牛刀を持つ手首に向けて横から蹴りを放ちます…が、全然放さない…
コイツ、なんでこんな
クソ握りしてんだよ…
ならば…
右手で牛刀を握っているため、刺されないように右側に回り込み、スコップの柄の真ん中を握り、牛刀を持つ右手の肘に金属部分を叩きつけ、そのまま地面に押し付けます。
ヤベ〜ぞコイツ…なんてチカラだ
変なクスリでもやってんじゃ…
全体重をかけて、肘を押さえつけているのに、それを押し返そうとしている…
信じられないチカラ…
遠くでパトカーのサイレンが聞こえる…
もうすぐ、もうすぐだ…
ようやくお巡りさんが到着した…
来てくれたお巡りさんは2人…
お巡りさんは状況を見て、すぐにワタシを手伝い、牛刀を持っている相手の腕を押さえ、もう1人のお巡りさんは手に金属の盾と130cmくらいの棒を持っていたけど、棒は捨てて、盾で間男を抑えようとしたその瞬間、間男が腕を振りほどき、盾を掴んで、その隙間から牛刀でお巡りさんに切りつけた。
周りに血が飛び散り、転がりまわるお巡りさん。
何やってんだよ、もう…
お巡りさん、大丈夫!?
そして素早くお巡りさんを観察…
傷は…浅い!!
せいぜい皮膚の表面から脂肪層を切られた程度だ…
それに大振りの横薙ぎで良かった
真っ直ぐに刺されてたら致命傷になってたかも…
と、なればお巡りさんは一旦放置し、再び間男を観察、
かなり息は荒い、お巡りさんにケガをさせて動揺しているのか、動きは止まっている…ここだっ!!
牛刀を持つ間男の右手の外側に回り込んで、態勢を低くして間男の両方の太ももを抱え込むようにタックル…
うまいこと間男を転がす。
その勢いのまま間男を飛び越えて、あるところへ飛び込む…そう、お巡りさんが手放した棒のところへ…
間男から視線を切らず、手の感覚だけで、その棒を引き寄せる…
ちょうどいい長さと重さだ…
その時、間男が起き上がり、牛刀を振り上げる…こちらに背を向けて、切られたお巡りさんを抱き起こし止血をしてるお巡りさんに向けて…
お巡りさん、なにやってんの
後ろ、来てるぞ!
咄嗟に怒鳴りつけ、その声にお巡りさんが振り返ったのと同時に間男が牛刀を振り下ろす…
コレはヤバい
間に合うか!?
いっけー
棒の一番端っこを持ち、もう片方の手で中ほどをつかみ、狙いを定め、そのまま真っ直ぐに突き出す…狙うは牛刀を持つ右手!!
お巡りさんに刺さる寸前、棒の先端が右手を弾き、間男が態勢を崩す!!
牛刀がお巡りさんの帽子を飛ばす。
ふぅ~間一髪!!
だが…ここからだ!
とにかく、あの包丁を
なんとかしないと…
間男が態勢を整える前に、もう一度棒を真っ直ぐに突き出し、間男の喉を撃ち抜く。
そして、その棒を引く勢いのまま、間男の右側に回転して背面に回り込み、間男のひざ裏に棒を叩き付ける。
威力は要らない、態勢を崩せれば…
予想通り間男は膝カックンの状態で地面に四つん這いに!
今だ!!
棒の一番端っこを持って、棒の長さと遠心力を最大限に利用して上段から打ち下ろす!
狙うは牛刀…を持つ右手首!!
ガツン!
キレイに当たリ、右手首があらぬ方向に…だがそれでも離さない…
やっぱりコイツ
何かクスリやってやがる…
ならば…
手に当たった棒を振り抜いてから再度上段へ…そして狙うは
牛刀の柄の部分!!
手首を使って棒を一回転…
円運動から発生する遠心力を一点に集約する…
…ハンッ!!
振り下ろされた棒は、牛刀と柄のつなぎ目の一点を打ち抜く
バキン!!
乾いた音が響き、直後に柄の目釘の部分が折れて、長い刃が地面に落ちる。
それをすかさず間男と反対側に蹴り飛ばし、棒の中ほどを握って、下から間男のアゴを跳ね上げる。
いっけー!
瞬間、棒が肉を打つ鈍い音
ゴツン!!
手応え、あり!!
間男は身体をビクンと震わせ、膝から地面に倒れた。
ここで相手を観察…
間男はそれでも立ち上がろうともがいている…
ホントにタフな野郎だ…
だが脳を真下から揺らしたんだ…
足に力が入らないはず…
もしここで立たれたら…
いや、その時は何度でも叩きのめしてやる…
残心を示し、再び棒を構えたところで、ケガをしてない方のお巡りさんが、間男に手錠をかけた。
ここでやっとチカラが抜ける…疲れた〜
ふと見ると、母上が倒れたお巡りさんの救護をしてる…
出てくるなって言ったのに…でも、母上らしいな…ベアもいるし😏
その時、間男が応援で集まったと思われるほかの警察官に引きずられるように連行される…
間男は、母上に罵詈雑言を浴びせている…
コノヤローどこまでもイラつかせてくれる…
うるせぇよ、コノヤロー
高校生に負けてるようなヤツが
偉そうに抜かすな!
そう言って、もう一発、殴ってやろうとしたところで、母上とお巡りさんの2人がかりで止められる。
お兄ちゃん、ここまでだ!!
これ以上はやらせない…
睨みつけるお巡りさん…
なんで?
お巡りさんだって仲間を
やられてるだろ?
お巡りさんはワタシから棒を奪い取って、
こんな事になるのも警察官なら
織り込み済みだ!
そんなことでキミを犯罪者に
したくない。
それに…これ以上
お母さんを…泣かせるな…
言われて初めて気づく…
母上が泣きながらワタシを押さえつけていることに…
母さん?
母上をよく見ると、キレイな顔にアザが出来て、唇も切れて血が滲んでいる…
クッソ、あのヤロウ、やっぱりもう一発くらい殴っとけば良かった…
でもワタシを抱きしめて
陰キャくん、もう良いの
陰キャくんの気持ち、
すっごく伝わったから…
ってずっと言ってる母上を見て、全身から闘志が抜けていくのを感じました…
ちなみにその直後に、ワタシと母上は事情聴取のため、警察署に連行されることになるのですが…
ベアは最後まで母上を守って、近づく警察官を片っ端から唸り散らかしていたらしいです…
相棒グッジョブ👍
第六話
非行少年に認定されました。
見れば、なんかすごいことになってる…
パトカーや救急車が家の周りを取り囲んでる…
ケガをしたお巡りさんは、救急車に乗せられていきました…命に別状は無さそうだし…良かった😅
ワタシと母上はそのまま、私服の刑事さんに警察署までクルマで連行…
事の顛末は母上と隣のおばさん(普段から話好き)が説明してくれて、なんとか大丈夫だったんだけど、いかんせん、お巡りさんの目の前で間男をボコボコにしたのが良くなかった…らしい。
でもお巡りさんケガしてたし、ちょうど棒が落ちてたから…
ちなみにあの棒、警杖(けいじょう)って言うんだって!
その後、家族以外の身元引受人(家族が事件関係者だから…)として、館長とチビ兄、そして県警本部からノッポ兄まで呼ばれて、最終的に被疑者検挙に協力した功労で傷害罪は不問にしてもらったものの、取調室でさんざん説教されて…なんとか帰宅出来たのは朝方でした。
ちなみに一番熱心にワタシを庇ってくれたのは、なんと間男を逮捕したあのお巡りさん…らしいです。
あとで警察官のノッポ兄に教えてもらったんだけど、あのお巡りさんが提出した報告書によると、
刃物を持った被疑者に対して、果敢に立ち向かい、巧みに警杖を操り、武器を破壊したうえで本職と共同で制圧し、被疑者検挙に貢献した…
と、ベタ褒めの内容だったとか…
でもよくよく考えれば、相手を煽ったのワタシだし、包丁はオヤジ殿のだし…褒められる要素なんかないんですよ!!
その後、
警察官にならないか
と結構しつこく誘われたのはまた別のお話…
なお間男は予想通り、悪いクスリをやっていて、その上、間男が乗ってきたクルマには異常な量の悪いクスリが入っていて、反社組織のクスリの売人だったらしいです…
今後の捜査で組織を壊滅に追い込むにあたり、そのきっかけとなったワタシと母上は逆恨みで何らかの被害に遭う可能性が高いとされ、保護の対象になってしまいました。
まぁ名目上は非行少年として児童相談所に預け、その上で今の身分を隠して別のところに住むことになったのです。
母上はあれだけの大事件のキッカケを作ってしまった…として一応警察署に連行され、尿検査とかいろいろやって、結果シロで帰って来ました。
ただとても責任を感じていて、父と離婚の話をしていたけど…アレは相手が悪すぎただけで、母上が悪いわけではない…と思う…
チラッと見た感じ、
最後まで
『いたしてしまっていた』
わけではなかったみたいだし。
聞けば、昔、あのクソヤロウと付き合っていたけど、暴力が酷く、別れたものの、相当な粘着ヤロウで別れた後も悪質なつきまといをして、母上を苦しめたらしく、そんな時に、オヤジ殿と出会い、コレを撃退してもらったことをキッカケにオヤジ殿と結婚したと言う経緯があり…アレ?オヤジ殿をちょっと見直したかも…
最近になり家を見つけられてしまい、家族を盾に脅されて、無理やり関係を持たされそうになったとのことを泣きながら話していました。
それに母上が殴られたのは、外に出ようとしたワタシに殴りかかろうとしていたクソヤロウを止めたからみたいだし…母親として息子を助けてくれようとしたわけね?
ならば今回は母上を信じなきゃでしょ!
あのね母上は美人なんだから、今度からはもっと慎重にね!!
ともかく、結論としては
家族を放置したオヤジ殿が悪い。
そ、れ、か、ら牛刀なんてクソくだらねえものを買ったのも悪い。
みんな、みんな、オヤジ殿が悪い!!
責任取って、新しい家に一緒に住め!!
それから母上も離婚とか言ってないで最後までオレとベアの面倒を見ろ!!
怒鳴っていると、それを聞きつけてベアが縁側のサッシをカラカラと開けて家の中を覗く。
最近、すごく器用になって、前足のツメを上手にサッシのゴム部分に引っ掛けて少しだけサッシを開けて、中を覗くようになったんです。
ワタシはベアのアタマを撫でながら、
別にキミのことを怒っていたわけ
じゃないから
と言うと母上もアタマを撫でながら、
ありがとうねベアくん
とお礼を言ったところで、めっちゃご機嫌になるベア…単純なヤツ😏
それを見ていて、ついでにオヤジ殿への要求を上乗せ!!
あと…ベアを室内で飼わせろ…以上😤
あぁスッキリした😝
第七話
引っ越す事になりました。
一応、引っ越すにあたり、学校やいろいろな所に挨拶をしないと…
道場は館長以下、事情は知っていてくれたけど、館長がスッゲー不機嫌なの!
空手を無断使用して
スイマセンでした…
素直に謝ったら、館長ってば
命がけで母親を守ったってのに
犯罪者扱いしやがって…
だから警察はキライなんだ
オイオイ、怒るのソコなの!?
ってか、ノッポ兄、警察官なんですけど…
でもワタシのために怒ってくれているのがわかるから…少し嬉しいかな?
そんでな、お前、将来
やることないなら、ここで
チビ助と一緒に師範代やれよ
最終的に勝負して勝った方に
師範を譲る…どうだ?
どうだ?じゃねえよ!
3歳の頃から思ってたけど、マジでこういうとこあんだよなぁ、このオッサン…
オレは空手家にはならないよ!
別の将来を考えてる!
でもちょくちょく稽古しに
来るから、その時は頼むよ
オ.ヤ.ジ!!
嬉しかったのか、館長は満面の笑み。
まだ覚えてたのか?
そうだな、お前はウチの三男だ
いつでも来い。
棒術以外にも
いろいろ教えてやる
館長の機嫌が治って良かった〜
これで道場への挨拶は済んだ。
次は…学校だなぁ…
まぁ学校にはそこまで思い入れはなかったけど…いや、ある!
とびきりのヤツが…
転校することになったから
キョトンとした顔のミニモンちゃん
ゴメン、理由は言えない
まぁ家庭の事情?
ALFEEの夏のライブ、一緒に
行きたかったんだけど…
ミニモンちゃんの声は沈んで…
せっかく出来た、男の子の友達
だったんだけどなぁ
あまりにも急でプレゼントとか
なにもないや…
そう言って、制服のネクタイに付いている
白いフライングAのギター
のカタチをしたピンバッジ
を外して、ワタシのネクタイに付けてくれたのです。
同じクラスになって、
初めて話しかけてくれた
ときのこと…
覚えてる?
そうです。
彼女のネクタイにいつも付いている高見沢さんのギターが気になって
コレ、ALFEEのギターだよね
フライングVって言うんでしょ
ワタシの質問に
違うよ、コレは
フライングA
高見沢さんのオリジナルギター
ホントはネクタイピンじゃない
けど、ネクタイに付いてると
カッコ良いでしょ?
話しかけたのは、このピンバッジがキッカケでした。
ありがとう…
大事にしてるヤツでしょ?
良いの?
彼女は笑顔で
良いの!
初めて出来た男の子のアル友くん
いつかどこかで
また会える日の為の約束
See You Again…ってね
コイツいつもそうなんだ、ALFEEでアタマの中がいっぱいで、幸せそうで、それを分けてくれるんだ…
そうだね
またいつかどこかで…
See You Again
やっと終わった〜
コレほとんど事実ですが、エンタメ性を持たせて、見てる人が楽しめるように書いてますので、納得いかなかった人はスイマセン