タイトル:命を守る食卓
著者:鈴木宣弘, 印鑰智哉, 安田節子
出版社:宝島社

書籍の内容を、自分の言葉でまとめた記事です。
加筆や、表現を大きく変更している箇所があります。

 

有機JAS取得 農家に莫大な負担
有機JAS認証取得には、農家にとって膨大な手間と費用がかかるみたいです。
・2年間農薬不使用
・生産過程記録
・混合防止の措置
・指定肥料、指定農薬の使用
・研修参加
・認証機関による検査
・継続性

主な牛肉の種類★重要
・和牛(全部で4品種)
・黒毛和牛(和牛4品種のうちのひとつ)(和牛のうち90%以上を占める)
・国産牛(海外から仕入れた牛のうち、日本での生育期間の方が、海外よりも長いもの。)

・輸入牛肉
*神戸牛、但馬牛などは、黒毛和牛の一種になる。あくまでブランド名。

和牛4品種
・黒毛和種
・褐毛和種(熊本、高知)(肥後あか牛、土佐和牛)
・日本短角種(東北地方)
・無角和種(山口県)(希少品種)

牛のエサはすべて遺伝子組み換え飼料
和牛も、輸入牛肉も、遺伝子組換え飼料が使われている。
生協向けや、スーパーライフやイオンで、特にNONGMOなどと記載されていない限り、遺伝子組換え飼料が使われている。
(豪州、NZ国では、グラスフェッドで育成された牛もいる。ただし、肥育ホルモンが投与されている可能性がある。)

地鶏の定義
・在来種の血統50%以上
・75日以上飼育
・生後29日目以降平飼い
・1平方メートルあたり10羽以下
*有名な地鶏:名古屋コーチン、さつま地鶏、青森シャモロック

鶏はどんなものを食べるか
米、トウモロコシ、野菜、魚粉

自分でエサを配合する畜産農家もいる
鶏のエサについて、自家配合と、完全配合に分けられる。
・自家配合・・・鶏の品種、気候、生産状況などに応じて、畜産農家が配合する。例えば、国産米を中心に与える。NONGMOのトウモロコシを与えるなど。
・完全配合・・・売られている飼料を、そのまま与える。

栄養強化卵は良いか
自然な卵とは言えず、無理に選ぶ必要はない。
強化したいビタミン剤や栄養剤をエサに加えて、卵黄を強化したもの。
ビタミン剤や栄養剤の内容も分からない。

「一番搾り」の油は良い
「一番搾り」などと書かれている油は、圧搾法によるもの。
抽出法(ヘキサン)よりも安全。

魚の抗生物質を避ける方法
抗生物質が投与されている可能性が高い魚
・輸入の養殖サーモン
・輸入の養殖うなぎ
*回転寿司や、牛丼屋で扱っているウナギ丼は、抗生物質の影響があると言えそう。
*天然モノであれば、薬剤の影響はないと言える。

魚の重金属汚染を避ける方法
なるべく小さな魚を食べる

カレイ、ヒラメの重金属に注意
海底の砂には、多くの金属が混ざっている。
海底に潜って暮らす、カレイやヒラメには、重金属が多い傾向がある。

妊婦は大型魚を控える
厚労省指導内容で、妊婦は大型魚の摂取を控えるように言われている。
また、内臓に重金属はたまりやすく、内臓は避けたほうがよい。

魚の大きさ分類
魚は、大きなほど重金属汚染の可能性が高いとのことでした。
魚の大きさを分類したいと思います。
大型魚・・・マグロ、カジキ、サメ、クジラ、シイラ
中型魚・・・サケ、マス、カツオ、ブリ、ハマチ、スズキ、サバ
小型魚・・・アジ、イワシ

魚の安全性ランキング
安全な順
天然小型魚
天然大型魚
天然養殖
陸上養殖
ゲノム編集

刺し身は原産地不明
刺し身の盛り合わせの場合、原産地表示が不要となる。

ツナはマグロではない
ツナ缶に含まれる魚の種類。
マグロ、カツオ、ブリ

政府は分からなくしている
政府が機能していない。米国寄りの政策となっている。
ゲノム編集は規制なし、放射線育種米も消費者に分からないように流通させている。

ゲノム編集食品が出回る
2023年、ゲノム編集作物「ワキシートウモロコシ」が厚労省に届け出。
トマト、魚類3種に続くもの。
流通品としては、一例目となる。
今後、お菓子や加工品の材料として、知らぬ間に口にすることになりそうです。

残留農薬の多い野菜・果物
いちご、ほうれん草、ケール、ぶどう、桃、梨、ネクタリン、りんご、パプリカ、トウガラシ、さくらんぼ、ブルーベリー、さやいんげん、トマト、じゃがいも

*米国での調査。日本と環境が異なる。

残留農薬の少ない野菜・果物
アボカド、スイートコーン、パイナップル、玉ねぎ、パパイヤ、グリーンピース、アスパラガス、ハネデューメロン、キウイ、キャベツ、きのこ、マンゴー、さつまいも、スイカ、にんじん
*米国での調査。日本と環境が異なる。

農家への補助金制度
指定野菜制度(農水省)と、特定野菜制度(都道府県)
指定野菜制度は1966年からある制度。
過去6年の価格平均の90%が基準。
基準を下回ると、90%が補償される。

指定野菜制度の弊害
指定野菜制度により、特定地域で、特定農産物が、集中的に作られる。
連作が続き、農薬に対して、害虫が耐性を示す。
耐性の結果、農薬の量や種類が増加する。
指定野菜制度により、食の安全が損なわれる可能性がある。

F1種と在来種の違い
F1は混血種。在来種は純血種。
混血種のほうが強い。(雑種強勢)
混血種の最大の特徴は、大量生産に向いていること。
効率性、均一性において強い。
しかし、栄養、味は、在来種に劣る可能性がある。

F1種からタネを採取して自家栽培できるか
自家栽培できます。(販売は、たぶん法的にできないです。)
自家栽培できますが、味、形、成長は不均一になります。
雄性不稔(ゆうせいふねん)の特徴を持つ場合もある。
雄性不稔の場合、種子を形成できず、タネの採取ができない。

スーパーで在来種を買うことができるか?
スーパーで、在来種の野菜、果物は、基本的に販売されていません。
在来種を買いたい場合は、専門の販売店や農家から購入する必要があります。

F1種に向いている野菜、向いていない野菜
・F1種に向いている野菜、果物
トマト、きゅうり、キャベツ、大根、ナス、メロン、スイカ、いちご
・F1種に向いていない野菜、果物
サツマイモは、無性生殖であり、必ずしも交配を必要としない。(多分)
サツマイモの植え付けは、種イモから伸びたツルを土に埋めるだけ。
植え付けまでの過程で、F1種を作る工程が発生しない。
(花が咲くまで待ち、交配させることは可能と思います。)

ポストハーベストから逃れる方法
・国産を第一に選択する
・輸入品フルーツは有機認証さらたものを買う
・皮付きフルーツも農薬から逃れられない。浸透性農薬が多く使われている。

果物パッケージに書いてある数字の意味(PLUコード)
3か4で始まる数字・・・慣行栽培(農薬使用)
9で始まる数字・・・有機栽培
*PLUコードは民間団体が発行しているコード。日本国内で表示義務はない。

ポストハーベスト農薬の種類
ジフェニル・・・グレープフルーツ、レモン、オレンジ
OPP・・・柑橘類(オルトフェニルフェノール)
OPP-Na・・・柑橘類(オルトフェニルフェノールナトリウム)
TBZ・・・柑橘類、バナナ(チアベンダゾール)
イマザリル・・・柑橘類、バナナ
フルジオキソニル・・・みかん以外の柑橘類、キウイ、ザクロ、西洋梨、びわ、りんご、すもも、ネクタリン、桃
アゾキシストロビン・・・みかん除く柑橘類
ピリメタニル・・・みかん除く柑橘類、りんご、西洋梨

フルーツ販売 無包装なら農薬表示なし
袋詰めの場合・・・農産物の名前、原産地(国か都道府県名)、内容量、事業者氏名、防カビ剤を使用している場合はその旨の記載
無包装の場合・・・商品棚に記載すればOK。(購入後、家に持ち帰ってからは確認できない。)

禁止ワード
販売時の禁止ワード 無農薬、減農薬、無化学肥料、減化学肥料

栽培方法の種類★重要
・特別栽培農産物 50%減農薬 (農薬(殺虫、抗菌、除草)、化学肥料)
・有機JAS認証 要件を満たし認証される(2年農薬不使用など)
・自然栽培 自己申告で公的な認証制度はない

農産物の選び方
・何も書いてない=慣行栽培
・特別栽培=農薬が半分以下
・有機JAS=無農薬
・自然栽培=無農薬
・無農薬(農薬不使用)=無農薬 *本当はNGだけど「無農薬」表示している
*有機JASの問題。認証のハードルが高すぎるのと、知名度が低く付加価値がつきにくい。有機JAS認証取得の意欲が低い農家、無農薬を始めたばかりの農家は、宙ぶらりん状態。宙ぶらりん状態の農産物は、「無農薬」などの禁止ワードを使用せざるを得ない実態がある。

室内栽培は有機JASの対象外
有機JASは、土壌栽培が原則のため、野菜工場は対象外。

カット野菜の添加物
洗浄剤・・・乳化剤(シュガーエステル)
変色防止・・・カテキン、ソルビン酸
殺菌剤・・・次亜塩素酸ナトリウム
食感・・・フマル酸、乳酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム

遺伝子組換え、ゲノム編集が失敗の理由
遺伝子組換え・・・イタチごっことなる。例えば、Aと言う害虫を遺伝子操作でクリアしても、次にBと言う害虫がやってくる。
ゲノム編集・・・育つ前に死んでしまう。一部位が改良されても、他の部位が支えきれず崩壊すると言った、根本的な問題がある。
陸上養殖・・・コスト過大。初期投資、ランニングコストが大きい。

遺伝子を破壊するゲノム編集
ゲノム編集技術でよくある説明「遺伝子の狙った部分を切り出す。」
しかし実際は、狙った部分を破壊している。
破壊により、どんな影響がでるか予期できない。

ゲノム編集のウソ
ウソ:自然界で起こる突然変異を、人為的に生じさせている。
ホント:ゲノム編集は、遺伝子の一部を破壊している。自然界では起こらない。破壊により、遺伝子を監督するDNAの役割が弱まる。ゲノム編集された生物や植物は、自然の進化に適応できなくなる。自然に突然変異が起こった食品とは異なり、人体にどのような影響が出るか不明。

コオロギ食ブームの知識
・イナゴやハチノコを食べる文化はあった。
・実用化を打ち出したのは、徳島大学のベンチャー企業、グリラス社。
・コオロギの体内には、菌や寄生虫が多く、どのような影響が出るか分からない。
・コオロギ食ブームは一瞬で終了。食糧難と言った名目は吹き飛んでしまった。お金が絡んでいたと見るのが自然。

ローカルフード法の知識(立法府の対応)
超党派議員によって提出された、「地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する法律案」
法の理念
・在来品種の保護
・地産地消の推進
・農業従事者の支援
・食料安全保障

ローカルフードプロジェクトの知識(行政の対応)
農水省の取り組み。
言わば、農業事業の仲介プラットフォーム。
例えば、以下のようなケース。(多分)
売り手:日本海のカニ漁業者が、カニの販売促進をしたい場合。情報を掲載する。
買い手:都心部の旅行会社がカニツアーの企画を立て、カニの購入へ向けて動く。

みどりの食料システム戦略(行政の対応)
農水省の取り組み。
食料安定供給に向けた、長期的計画。
・CO2ゼロエミッション
・ネオニコの代用開発
・ネオニコ代用による50%の農薬削減
・化学肥料30%低減
・有機農業の耕地面積を25%に拡大
・食品製造の労働生産性30%アップ
・養殖における人工種苗比率100%(人工種苗とは海から親魚を獲らず、養殖で循環し続けること。)
*行政の取り組みが頓挫するのは、国民の関心が低いからだと思います。関心が低く、補助金目的の業者ばかり集まる。関心を高める必要がある。

国産有機サポーターズ(行政の対応)
農水省の取り組み
農水省の特設ページで、有機原材料を使用している生産者、小売店、産直仲介サイト、飲食店などを紹介している。
*少ない投資費用で、有機栽培について、多くの人と企業をつなぐ、有用な取り組みと感じます。