大正時代に入りますニコニコ

 

【資料】
日本では元号が明治から大正に切り替わった1910年を区切りに、芸術をとりまく思潮が変化します。同年創刊された文芸雑誌『白樺』(a)や、ヨーロッパで最新の美術動向に触れた芸術家たちを通して、自由に表現を追求する個人主義が促されました。これは黒田清輝をトップとする日本の芸術アカデミズムに反旗を翻す動きともなり、ヨーロッパの前衛芸術に影響された表現(b)が増えていきました。

 

 

Q.269
下線部(a)が唱えた「自我の解放」を1910年頃に具現化した作品として、最もふさわしいものは?

① 萬鐡五郎 《裸体美人》

② 青木繁 《海の幸》

③ 福田平八郎 《漣》

④ 古賀春江 《海》

 

 

萬鉄五郎 裸体美人

萬鉄五郎 《裸体美人》

1912年 東京国立近代美術館 重要文化財

 

 

 

 

答え ① 萬鐵五郎 《裸体美人》

 

 

萬鐵五郎(よろず てつごろう/1885~1927)キラキラ

 

萬鉄五郎

 

岩手県の生まれ

東京美術学校で学びます音譜

 

その卒業制作として描いた作品が

《裸体美人》ですビックリマーク

 

 

ゴッホマティスから影響を受け

 

ポスト印象主義フォーヴィスム

画法を取り入れた意欲作でしたキラキラ

 

 

 

国家の美術となった明治時代でしたが

大正時代 「個性」へと意識が向かうようになります目

 

 

1910年に創刊された『白樺』では

 

志賀直哉や武者小路実篤らが

自我の解放 個性の尊重を説いていますキラキラ

 

 

白樺 創刊号

『白樺』 創刊号

 

 

『白樺』は文芸誌ですが 美術雑誌色も強く

 

ポスト印象主義象徴主義など

作品と作家を図版付きで紹介キラキラ

 

セザンヌゴッホ ロダンなど

当時まだ知られていない作家が掲載されました音譜

 

 

 

萬鐵五郎

岸田劉生高村光太郎らとともに

「フュウザン会」を結成キラキラ

 

見たものを自由個性的

鮮やかな色で描きました

 

フュウザン会は 短い間でしたが

日本で初めての 表現主義的な美術運動 として

若い画家たちに大きな影響を与えましたビックリマーク

 

フュウザン(仏 fusain)は

木炭の意味で

デッサン用の木炭を指しますウインク

 

 

 

萬鉄五郎 もたれて立つ人

《もたれて立つ人》 1917年

 

こちらはキュビスムの手法ですねウインク

 

 

 

 

出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019

参考図書

改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術出版社 2019

続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018

増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 美術出版社 2020

芸術教養シリーズ8 アジア・アフリカと新しい潮流 近現代の芸術史 造形篇II 林洋子編 幻冬舎 2013

この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 美術出版社 2019