大正時代に入ります
萬鉄五郎 《裸体美人》
1912年 東京国立近代美術館 重要文化財
萬鐵五郎(よろず てつごろう/1885~1927)
岩手県の生まれ
東京美術学校で学びます
その卒業制作として描いた作品が
《裸体美人》です
ゴッホやマティスから影響を受け
ポスト印象主義やフォーヴィスムの
画法を取り入れた意欲作でした
国家の美術となった明治時代でしたが
大正時代は 「個性」へと意識が向かうようになります
1910年に創刊された『白樺』では
志賀直哉や武者小路実篤らが
自我の解放 個性の尊重を説いています
『白樺』 創刊号
『白樺』は文芸誌ですが 美術雑誌色も強く
ポスト印象主義や象徴主義など
作品と作家を図版付きで紹介
セザンヌやゴッホ ロダンなど
当時まだ知られていない作家が掲載されました
萬鐵五郎は
岸田劉生や高村光太郎らとともに
「フュウザン会」を結成
見たものを自由に個性的に
鮮やかな色で描きました
フュウザン会は 短い間でしたが
日本で初めての 表現主義的な美術運動 として
若い画家たちに大きな影響を与えました
フュウザン(仏 fusain)は
木炭の意味で
デッサン用の木炭を指します
《もたれて立つ人》 1917年
こちらはキュビスムの手法ですね
出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019
参考図書
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 美術出版社 2020
芸術教養シリーズ8 アジア・アフリカと新しい潮流 近現代の芸術史 造形篇II 林洋子編 幻冬舎 2013
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 美術出版社 2019