「5のつく日なんだから、地元でジャグラー狙いしたいよ〜!」
そう声を上げるのは会社の先輩。社歴は1年と変わらないから、距離を縮めるのであれば同僚と言っても差し支えない。
「大丈夫です、エウレカってマジで甘いんで、僕9回打って8回勝ってるんで!アイムの5より期待値ありますよ!」
アイムの5だって103.3%あるからバカにはできない。そしてエウレカはフル攻略しても設定1で100%を切る。期待値が無いのは目に見えている。
しかし僕は絶対に退かない、誰かにエウレカを打ってほしいし、願わくば並び打ちをしたい!
僕がこの先輩を誘うのには理由があった。
この先輩は自分の所属する部署以外の人で、初めて仲良くなれた人だ。全員に対して丁寧な対応をするし、全員に対して優しい。たまに優しさのせいで余計な仕事を抱え込んでしまうこともあるようだが、僕に対しても優しくしてくれたのは今でも覚えている。
「任せてください!僕とエウレカ打つと、絶対楽しいですから!」
最終的に僕が押し切った形となった。
エウレカの楽しさ、そして出玉の両面で先輩を魅了しなくてはならない。かくして僕の絶対に負けられないエウレカ戦が始まったのだった。
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「大丈夫です!エウレカはBIGに設定差がほぼ無いですから、腕っぷしで引きまくれば良いんですよ!」
僕は先輩になんの根拠もない自信を振りかざした。
まあBIGを引きまくればあっさり勝てると言うのは事実に違いない。自分の収支はどうでもいい。せめて先輩がいい展開に恵まれますように。
まずスタートダッシュを決めたのは先輩だ。
ボーナスを引く前に、通常時の高確で引いたレア役から見事ARTに当選。打っている限り低設定ではなかなか直撃しないので、設定推測要素的にもかなり良い。
しかも偶然これが80%ループを取っていたようで、ボーナスを一切引かなくても続く続く。
ART終了時に赤ステチェンが出たのをきっかけに、僕が小ネタを挟んでいく。
「赤ステチェンは全然がせりますが期待度高いです、なんなら複数ストックにも期待できますよ!」
間髪入れず、さらに差し込む。
「キリン柄のステチェンであれば、出現した時点で6セット以上ストックがあることが確定します!なかなか見れないですけどね!」
ポツポツと放つ小ネタに対して反応してくれる先輩。当然優しさもあるだろうが、展開も相まって意外と興味を持ってくれている。
よし、このペースどんどんトークも展開していこう。とりあえず先輩のARTは終わらないでくれ!
結果このARTは10連。ボーナスは思うように絡まなかったものの、しっかり投資分以上の回収に成功していた。
…と同時に僕は赤7BIGを消化し終えたところ。前兆を経てARTに当選すれば、50%以上のループ率が確定するが…
「「あ」」
ボーナス終了後のMAXベットを叩いた瞬間、液晶に現れたのはキリン柄のステチェン画面だった。