錦秋鈴鹿の山の中を、一日、歩いていました。透明な陽射しが見せてくれたのは、色とりどりの斜面。一面に刺繍を施した着物の生地のようで、「錦秋」という言葉がぴったりでした。ブナやコナラ、ツツジ、椿といった雑木林の原生林は、そこで生きるものたちの力強さを教えてくれました。幾つにも分かれた根っこたち。幾つにも分かれた幹たち。置かれた場所で生きなさいと、教えてくれました。