私たちはややもすると子育てについて、「どうすれば問題行動は改善されるのか?」「苦手な勉強を克服するためによい方法はないか?」などと解決法について、ストレートに考えがちです。
すなわち、漢字や繰り上がりの足し算、鉄棒、縄跳びなどの学習や運動的なことから、すぐに人を叩く、落ち着いて座っていられない、みんなと仲良くできないなどの行動面まで、あらゆる分野において、何とか解決の糸口を探し出そうとしてしまうわけです。
自分が各所で講演を行うときも、そのような質問をよく受けます。
そんなとき、答えながらも、果たしてこの1つ1つを解決することで子どもの全体発達によい影響を及ぼすのだろうか、と疑問を持つことがあります(参加者のヒントくらいにはなっているのでしょうが)。
もし、スーパーマンのような人がいて、どんな質問にも即座に答えられたとしたら…。
もちろん、学習面や運動面においては、アドバイスがそれらの解決につながり、子どもの自信につながっていくのだと思われます。
しかし、行動面の改善については果たして同じことが言えるのか…。
問題行動が1つ減っても、子どもが大きく成長するとはどうしても思えないのです。
人はいろいろな力が総合的に備わっている、バランスの生き物です。
誰もが、大なり小なり凸凹の部分を持っていて、だからこそ、その人に個性が生じてきます。
つるんつるんの球体人間など存在しないのです。
つまり、問題行動を減らすことも大切ですが、問題行動が減って凸凹の部分が多少平らになっても、それだけでは成長したとは言えません。
成長とは、形が整うだけでなく、核となる球体が大きくならなければなりません。
小さいままでは、何かパッとしないことになってしまいます。
では、球体が大きくなるためにはどうすればよいのか。
まずは、子どもにちょこちょこと、かかわらないようにします。
例えば、思春期の子ども(中学生~高校生)はしょっちゅう親や教師がやって欲しくないことをします。
そんなとき、大人がいちいち指摘して、説教じみたことを言うと、彼らは無視したり、「うざい」と言ったりして、拒否を示します。
この場合、思春期に限らず、子どもの問題行動やできないことを目にしたときは、まずは「ありのまま受け止める」ようにします。
いちいち指摘などせず、とにかく「ああ、そうなんだね」とじっくり受け止めてみるのです。
そうするうちに、やがて子どもの方から「どうも英文法がわからなくて…」「部活で嫌なことがあって…」などとSOSを出すようになってきます。
それこそが、子どもにとって大きな成長につながってくるのです。
子どもによってはSOSをなかなか出さないこともあります。
それは、それまでに大人の方がやんややんやと細かく言ってしまっているからです。
子育てには、ある程度の忍耐力が必要になってくるのです。
行動面で「これはまずい」ということを目にしたときは、とりあえず「やめて」と言い、やめさせます。
その場合も「そんなことをしたら相手が嫌な思いをするでしょう」などと理屈を言わないことが大切です。
ただシンプルに「やめて」と言えばよいのです。
例えば、お母さんを叩いてきたら、「痛い。やめて」で十分です。
そして、子どもが落ち着いてから、なぜそういう行動を取ったのか話を聞き、それについて共感しつつ、それでも「叩くのをやめてえらかったね」と褒めるのです。
結局、子どもがよい行動をしたときには喜び、よくない行動をしたときはやめさせて、それを子どもが受け入れたときに間髪入れず「えらいね」と言うことが最も効果的なのです。
子どもの言い分を聞くのは、問題行動をやめ、落ち着いてからでも遅くはありません。
発達障害の子には、いろいろな特性がありますが、いい環境で過ごしていると特性の多くは徐々に緩和されてくると言われています。
特性が変わらなかったり、強まったりするのは、周りの大人がそれだけ問題行動に過敏に反応しているからです。
そうではなく、まずは本人の特性を「ありのまま受け止める」こと、そしてそれをじっくりと味わうくらいの余裕を持つことが大切になってきます。
焦って育てても、「焦り」という情動は、子どもを余計に混乱させてしまうということを是非知っておきましょう。
加藤の本(『発達障害のある子への音楽療法あそび』(明治図書))は、お陰さまでたくさんの方に読んでいただいています。
9月もよろしくお願いいたします。
【発達支援教室 ビリーブ】
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