発達障害の子の中には、マイペースの強さから自己主張ばかりする子がいます。
グループで遊んでいても、いつの間にかおもちゃを独占し、他の子は仕方なく余った物で遊んでいるという場面が見られます。
その子たちが本人に「それ貸して」などと言おうものなら、「そういう勝手なことは言わないで」とまくし立ててきます。
その子は、自分のことを客観的に見ることが難しいのでしょう。
また、自分は大きな声でたくさん話しているのに、誰かが話し始めると、「うるさくて勉強の邪魔になる」と言う子がいます。
どちらも、自分のことばかり考えています。
被害者意識が強いため、自分がやられた嫌なことには強く反応するものの、実は自分も結構相手に迷惑をかけているということがわかりません。
そのことは、「人の気持ちがわからない」つまり「他者視点が弱い」ということに起因しています。
他にも、他者視点が弱いタイプに、大学生(発達障害)で友だちができない人がいます。
彼らは友だちについて「ある程度自分の思い通りになる」と考えているのです。
本来友だちとは、迷惑をかけたり、迷惑をかけられたりする関係性で成り立っているにもかかわらず、そのことがなかなかわかりません。
このようなタイプの子ども、または大人に対し、私たちはどのように接していけばよいのでしょうか。ここでは、2つの方法を考えたいと思います。
まずは、その人の特性を認めるということです。
人の気持ちがわかりにくいため、そのような行動を取ってしまう…つまり、「そういう人だ」と認めてしまうのです。
その上で、どうすればよいかを考えていきます。
発達障害の人たちといろいろ話をしてみると、多くの人は周りの人と不仲になることを望んではいません。
できれば仲良くしたい、自分のことを気に入ってもらいたいとさえ思っています。
でもつい不適切な行動や言動を取ってしまうのです。
それなら、注意をするよりも、やるべき行動を教えていけばよいでしょう。
前述のグループ遊びで言えば、あらかじめ「おもちゃは1人2つまで」と伝えます。
もし、「僕が先に選んでもいい?」と聞いてきたら、それくらいは許容の範囲とします。
ちょっと優位に立てれば、彼らは結構満足するのです。もちろん、2つ選べたら、短く、褒めるようにします。
もう1つは、「我慢する力」を身につけることです。
具体的には、少しだけ思い通りにならない場面を設定していきます。
ゲームでいつもトランプをやりたいと主張する人には、3回はトランプを、残り2回はUNOやボードゲームなど違うゲームを提案します。
また、順番が待てない人には、いつも1番目ではなく、ときどき2番目や3番目を提案します。
他にも、大きな声で話す人には、もう少し小さい声で話すように伝え(「レベル6で話してね」)、話す時間も限定し(「2分間ね」)、それができたら、短めに褒めていきます。
いちいち面倒な気もしますが、その人がやるべきことをシンプルに提案し、それがわかりやすければ、きちんと受け入れてくれる…そういうことが得意な人が多いことも事実です。
そこが彼らの特性でもあります。
口が達者で理屈で相手を言い負かせようとする特性を、ある意味逆手に取って、こちらから「みんな同じ条件で」と提案していくことで、納得して行動できるようになるのです。
このような良質な環境を日常的に提供していけば、発達障害の人でも徐々に相手の気持ちがわかり始め、相手の意見を受け入れられるようになってきます。
特性が和らいでくるのです(もちろん限定的ではありますが…)。
ときどき、耐性を身につけさせるために、「もうちょっと頑張ってみようか」とひたすら頑張らせる人がいます。
しかし、それは発達障害の人に対するかかわりとしては適切ではありません。
それよりはむしろ、「今日はちょっと少なめにしよう」という提案の方が余程効果を発揮することでしょう。
人は少し足りないくらいがちょうどよいのです。
良質な環境については、ケースバイケースの部分もありますので、個別に相談していきましょう。
小さな一歩を積み重ねていけば、やがて結構大きな一歩になってくる…。
是非それを目指していきましょう。
加藤の新刊『発達障害のある子への音楽療法あそび』(明治図書)がついに出版されました。
是非、本屋さんを覗いてみてください。
8月もよろしくお願いいたします。
【発達支援教室 ビリーブ】
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