子どもは大人から褒められることで、健全に成長します。
たくさん褒められた子は、人を信頼し、大人を安全基地としていろいろなことに挑戦するようになります。
乳幼児期の子どもは、①養育者に助けてもらう(依存、甘え)→ ②力がつく→ ③できることをやってみる(自立)→ ④うまくいかなくなる→ ① ・・・というサイクルの中で成長します。
この①で大人に褒めてもらう(共感してもらう)ことこそが、まさに子どもの成長の柱になっているわけです。
このように褒めることは大事ですが、周りを見渡すと、ときどき「これはちょっと」と思われるケースを目にします。
例えば、ただ褒めさえすればいいという感じで、しょっちゅう褒めるというケースです。
あるいは、どんなときでも、いつも同じ調子で褒める。
中には、何の理由もなく、判で押したように大げさに褒める大人もいます。
このような褒め方は、本当に子どもの気持ちに寄り添っているといえるのでしょうか。
上記の①~④のサイクルの通り、子どもが困ったときに大人が安全基地になるのはとても大切なことです。
しかし、だからと言って闇雲に褒めることは適切ではありません。
大げさに褒めるのは、せいぜい2歳くらいまでで、それ以降は褒め方を変えていく必要があります。
なぜなら、しょっちゅう褒めていると、子どもは何によって褒められているかがわからなくなってくるからです。
なぜか「いい子いい子」をされたと感じるだけで、それは本当の満足感にはつながらず、むしろストレスになることさえあり得るのです。
子どもは、過剰に褒められてばかりいると、やがて褒められるために行動するようになってきます。
自分の意思ではなく、大人に褒められるために行動する…。
そうなると、主体性は徐々に削がれていってしまいます。
あるいは、褒められる箇所がズレているケースも見られます。
例えば、ゲームをクリアして喜んでいる子に、「今回はテストの点がよかったね」と褒めてもピンとこず、褒められることにストレスさえ感じるようになります。
時々、大して思っていないのに、つい口先だけで褒めているのを目にします。
電化製品に詳しい自閉スペクトラム症の子どもが、得意げに製品のことを語っているときに、安易に「すごいね」というケースがそれに当たります。
このような気持ちのこもっていない、曖昧な褒め方では、子どもの心には到底響きません。
この場合は、下手に褒めるよりも、「エアコンはどのメーカーがいいの?」「省エネ製品はどれかな?」などと素直に聞いてしまう方がよいでしょう。その方が、子どもの満足感につながるはずです。
それでは、子どもの心に響く褒め方とはどのようなものなのでしょうか。
まずは、大げさではなく、自然に振舞うことが大切です。
何か手伝ってくれたときには、そんなにテンションを上げる必要はなく、自然な調子で「ありがとう。助かったよ」と言うだけで十分でしょう。
大人と子どものテンションができるだけ近い方がお互いの気持ちは通じ合えるのです。
快の感情も過度になると、情動が邪魔をして、より大人の意図が伝わりにくくなってしまいます。
派手に褒めると、大きな声(形だけ)で「えらいね」と言われたことだけが印象に残るのです。
その傾向は、特に発達障害の子どもに顕著に見られます。
つまり、褒める際は一本調子ではなく、表現にバリエーションを持たせることが大切です。
ちょっとしたことならさらりと褒め、もう少し頑張ったらより感情を込める。
最高に頑張ったときは、表情やジェスチャー、スキンシップ、ことばを最大限に駆使し、喜びながら褒める。
そうやって、毎回変化を持たせるのです。
また、ことばで褒める際は、できるだけ具体的に伝えるようにします。
「すごいね」だけでは、何がすごいのかがよくわかりません。
「頑張って(漢字が)上手に書けるようになったね」と言うことで、子どもは褒められている内容を自覚するようになります。
さらに、能力よりも頑張っている姿を褒めるとよいでしょう。
「あなたは賢い」と言われるよりも、「〇〇をよく頑張ったね」と言われる方が、子どもはその後、「より難しいことに挑戦する気持ちが芽生える」と言われています(1998 Mueller & Dweck)。
このように、子どもを褒める際には、小さな頑張りを見出して、一本調子にならないよう、その場に合ったスタイルで褒めるようにします。
この機会に、子どもの褒め方について、見直してみてはいかがでしょうか。
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7月もよろしくお願いいたします。
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