皆さんは、不登校の子がどのような経過を辿っていくのか、考えたことがありますか。

当然のこと、人ぞれぞれであり、一律のものではないでしょう。

 

とは言え、その経過において、共通した部分が多いことも事実のようです。

もしかしたら、1人の子どもの経過をじっくりと観察することで、何か大事なことが見えてくるのかも知れません。

 

Aくんは今20歳の青年です。

通信制高校を卒業し、専門学校を出て、この春から一般企業に勤めています。

 

親元を離れての就職で、このGWには休みを取って実家に帰り、ビリーブにも顔を出してくれました。

Aくんは中学に入るとすぐ不登校になりました。はっきりとした理由はわかりませんが、当時から、周りの子に対して気後れのようなものを感じていたようです。

 

不登校になってからはビリーブに通う以外はほとんど外出せず、毎日ゲーム三昧の日々を送りました。

ビリーブでは毎時間、本人の思いや悩みをとことん聞き、可能な範囲で相談を行いました。

特に雑談をたっぷり行い、残りの時間に学習や本人お気に入りのカードゲームなどをして、とにかく思う存分楽しい時間を過ごしました

 

中3になると、本人に少し焦りが出てきたため、今後のことを話し合い、気になっている通信制高校を一緒に調べ、1つの学校を選択しました。

 

通信制高校には、毎日通う、あるいはほとんど通わないなど、いろいろなコースがあります。

話し合いによって、Aくんは週3日通うコースに決めました。

教科学習の他、Aくんが好きな分野(ゲーム関係)の授業もあり、時々休みを取りながらも、何とか3年間通うことができました。

 

その間もビリーブでは、中学時代と同じようにAくんの話をじっくりと聞き、時に社会情勢について意見を交わし、また課題レポートや試験対策を一緒に考えるなど、充実した、安心感あふれる時間を過ごしました。

特にこの時期、Aくんは特別授業で学んだ珍しいボードゲーム(ドイツ製)にはまり、一緒に勝負をする機会を多く設けました(本気で戦いましたが、ほとんどAくんが勝ちました)。

 

このようにAくんは、自分のやりたいことを見つけ、それを思う存分楽しみながらも、勉強などを疎かにするわけではなく、私たちの多少鬱陶しいアドバイスも素直に受け入れることができました。

そして、レポート課題をすべてクリアし、卒業することができました。

 

大事な思春期を、自分のペースで、のびのびと過ごすことができたのです。

それは、高校卒業後に通った通信制専門学校でも同じです。

安心できる時間をたっぷりと過ごしたAくんからは、中学時代に見られた「気後れ」が少しずつ減ってきて、本来の自分らしさを取り戻すようになったのです。

 

自信がついてきたAくんが、次に挑んだのが就活です。

最初、多少の不安が見られたものの、これまでの「安心感」の積み重ねによって、Aくんは人に対し、わかりやすく話ができるようになり、自分の意見も言うというスタイルが、確実に身についていきました。

 

その結果、面接を無事乗り切り、見事希望の会社に合格することができました。

正直、バイトをしたこともなく、友だちもいないAくんがいきなり就活をして大丈夫か、という気持ちもありましたが、Aくんはそんな私たちの不安を見事に払拭してくれたのです。

 

その背景には、中学時代から私たちに対し、どんなことでも(親に言えないことも)話してくれて、相談してくれたことが大きかったのだと思います。周りから見ると「楽そうな生活だ」を思われそうですが、そんなことはなく、安心感の中でいろいろなやりとりをしたことにより、Aくんの意欲のエネルギーが十分に蓄えられ、多少の困難なら自分から意欲的に立ち向かうことができるようになったのだと思います。

 

まさにAくんは、「やるときゃ、やる男」になったのだと言えるでしょう。

時間はかかっても、その人なりのペースで気持ちを回復させていけば、いつか必ず自己実現をすることができる

 

6月もよろしくお願いいたします。

 

【発達支援教室 ビリーブ】

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