新年度が始まり、子どもが学校や幼稚園に通い始めると、多くの保護者は「大丈夫かな」「ちゃんとやってるかな」などと心配な気持ちが湧いてきます。
子どもの様子が逐一わかるわけではないので、そう思うのは当然のことでしょう。
連絡帳等で担任の先生と連絡を取ることはある程度可能ですが、先生も忙しい身です。
保護者が求めるほど、詳しい様子が返ってくることは稀なのかもしれません。
学校に連絡をしたり、家庭訪問や面談の機会に直接聞くこともあるでしょう。
そんなとき、よく聞かれるのが、先生からの「大丈夫ですよ」「頑張ってますよ」という言葉です。
一見、この言葉は保護者にとって嬉しい言葉のように思われます。
心配な気持ちでいっぱいの保護者はある意味、この言葉を待っていたわけですから。
子どもが学校でみんなと一緒に、楽しく、問題なく過ごしているのは、何よりも安心材料になることでしょう。
しかし、この言葉をそのまま鵜呑みにしてしまうと、後になって困ったことになることがあります。
私たちが経験したケースでは、1学期の前半は全く問題なく過ごしていた子どもが、後半または2学期になって、いろいろな困った事態になり、ある日突然先生から「こういう問題があって困っている」「一度学校に来て欲しい」という連絡を受けるのです。
そして、さらに「このクラスでやっていくのは難しい」「もう少し、少ない人数の場で、丁寧に見てもらった方がよいのでは」と言われることも、実際よく耳にします。
最初に「大丈夫」と言われ、安心したのもつかの間、全く逆のことを言われてしまうわけです。
どうして、このようなことになるのでしょうか。
人は漠然と見ていると見えないものがあります。
先生だって人間です。
忙しいさなかに、1人1人の子どもを細かく見ることは、さすがに無理があるのかも知れません。
とは言え、子どものことをできるだけ細かく見て欲しいと願うのは、どの保護者も当然の気持ちと言えます。
ではどうすればよいのか。
この場合は、漠然と「細かく見て欲しい」と依頼するのではなく、どのようなかかわり方をすればよいか、具体的に伝えていくとよいでしょう。
例えば、不安症の強い子どもであれば、普段は一生懸命平静を保っていることが多く、問題が見えにくいという部分があります。
そのため、何もなさそうな時に大して意味のない話(雑談)を行なってもらい、時間をかけて本音を聞き出してもらうようにお願いします。
子どもとかかわる際には、できるだけ子どもの目の高さで、子どもの声の大きさと同じくらいの声で、できるだけ少ない言葉数で、柔らかく話しかけてもらいます。
つまり、それは「大人が子どもに似てくる(一体化する)」ということです。
大人はどうしても自分のスタイルで話しかけてしまいます。
場にそぐわない大きな声を出したり、機関銃のようにたくさん話してしまう…あるいは、いきなり「どうしたの?」などとストレートな質問をすれば、子どもはその言葉を受け入れることができず、結果的に本音で語ることができなくなってしまいます。
また、年度当初はおとなしかった子どもが、やがて他の子に迷惑をかけてしまうケースが見られます。
この場合、本人の気持ちが満たされていないということも要因の1つになっていると考えられます。
そのため、しばらくの間は規律を求めすぎず、ある程度大目に見てあげるよう、お願いします。
(もちろん、やってはいけないことは、きちんと注意をしてもらいます)
満足感が増えれば、問題行動は徐々に減ってくることでしょう。
結局は、子どもとの関係づくりを最優先してもらい、その中で、子どもの小さなサインを読み取ってもらうことが大事なのです。
関係づくりについては、子どもによって方法は微妙に違ってきます。
毎年、年度当初にビリーブと担任の先生で「関係づくり(信頼関係)」や「子どもを見る視点」について、話し合いを持っていますので、お気軽にご相談ください。
5月もよろしくお願いいたします。
【発達支援教室 ビリーブ】
埼玉県北足立郡伊奈町学園二丁目73番地
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