発達障害は一般的に男性の方が多いと言われています。
自閉スペクトラム症では男性が女性の約4倍、ADHDは男女比2.5対1というデータがあります
(最近の報告では、ADHDは男女比がほぼ同数というものもあります)。
割合の違いはあるにせよ、特性においては男女でさほど大きな違いはありません。
ただし、社会における男女の見方や育て方の違いから、微妙な差異が生じることが考えられます。
ジェンダーの問題もあって今ではあまり聞かなくなりましたが、「女の子らしく」という考え方です。
また、女子は男子ほど強い𠮟責を受けにくかったり、必要以上に「気を使われて」育てられるということもあるでしょう。
それは学校生活でも同様です。
女子同士の人間関係の複雑さは周知のとおりで、発達障害の女子はそれに翻弄されることが多いと言われています。
例えば、ある小学5年生の女子が、友だちから「私、〇〇くんが好きなの」と言われ、即座に当事者にその旨を伝えたというエピソードです。
友だちにしてみたら「それは秘密の話」のつもりなのに、発達障害の女子にはそれがわかりません。
悪気があるどころか、「好きならちゃんと伝えた方がこの先うまく進むはず」という理屈を振りかざし、友だち関係が悪化してしまいました。
逆に、発達障害の特性でもさほど問題にならないこともあります。
例えば、感覚過敏のためゆるゆるの服やぶかぶかの靴を履く人がいます。
それは、見た目は多少変わっていても、他の人には関係のないことです。
問題になるのは、人との関係の中で相手にも何かマイナスの影響を与えてしまうことに限定されるのかも知れません。
女子にとって最も困るのが相手との関係の中で生じること、すなわちグループ内でのやりとりなどです。
きちんとした話し合いはもちろんのこと、雑談もとても難しい場となります。
大人で言えば、女子会がそれに当たります。
発達障害の人にしたら、ドラマやミュージシャン、芸能人の話をすることが、なぜそんなに楽しいのか、そんな生産性のない話をして何の役に立つのか…。
その点については男女の違いはないのでしょうが、どうしても女性の方がそういう女子会的な機会が多いため、当事者は大いに苦労するわけです。
もし、その場に馴染めず、「ちょっと違う人」と思われても、当の本人が気にならないのであれば、それはそれでよいのかも知れません。
しかし、小学生も高学年以上になると、それだけでは割り切れない場面も生じてきます。
例えば、グループワークが増えてくれば、周囲の人の意見を聞きながら、自分の意見を主張するというスキルが求められます。
それは発達障害の子が最も苦手とすることです。
どうしても、相手の意見の意味が読み取れなかったり、自分の言いたいことだけを一方的に話すということになってしまいます。
ではどうすればよいでしょうか。
いろいろな方法が考えられますが、特に女性の場合、うまくいかないときに、「どうして?」と考える前に、「どうすればよかったのか」を知る必要があるでしょう。
そのためには、自分のことをよく理解してくれる人のアドバイスを聞きながら、失敗を少なくしていく方法を取ることが大切になってきます。
「何がまずかったのか?」「どうすればよかったのか?」ということを話し合うのです。
その際、理由がよくわからなくても、それはあまり気にする必要はありません。
とにかく、結果がうまくいったという経験を積み重ねていくことが大切です。
特に女性の場合、複雑な人間関係を乗り切るために、そういうパートナーを作ることは不可欠です
(家族ではなく、ほんの少し距離感のある人の方がパートナーに向いていると言われています)。
ちなみに、大人の飲み会で、どうしてもうまくいかないときのコツとして、
「みんなの意見をひたすら聞く」
「人の話にかぶせて話さない」
「上司の前では黙っている」
「カラオケは1回歌ったら、全員が歌い終わるのを待つ」
などのスキルが考えられるそうです。
それが正しいか、心地よいかは別にして、自分のできる範囲で工夫していくことが必要になってくるのだと思われます。
3月もよろしくお願いいたします。
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