発達障害の子どもにはいろいろな特性が見られます。

授業にきちんと向かえない、うわの空でボーッとしている、板書ができない、マイペースが強い、人にちょっかいを出す、ちょっとしたことですぐキレる、等々…。

 

そのようなとき、大人はややもすると行動面よりも学習面の方に注目し、過度に努力させてしまう傾向が見られます。

勉強さえできるようになれば、他は何とかなる、と。

そして、だんだんと無理な要求をするようになり、気がつけば話題はいつも勉強のことばかりというようなケースも見られます。

 

もともと、勉強が好きでない子どもは、いきなり勉強しなさいと言われても難しいことでしょう。

それでも、大人と子どもには力関係があるため、しぶしぶでもやがて勉強するようになってきます。

そして、成績がちょっとでも上がると「ほら、やればできるじゃない」と勉強への熱意(大人側)はますますエスカレートしていきます。

そういうケースをたくさん見てきました。

 

親としては子どもの成績が上がるということは、とてつもなく嬉しいことなのだと思います。

その気持ちはよくわかります。

努力させ過ぎない…しかし成績は上がって欲しい…そのジレンマから脱し、どうやってバランスを保っていくかということは、至難の業なのかも知れません。

 

確かに勉強は大切です。

成績が上がることは、本人にとっても大事なことと言えるでしょう。

 

しかし、心配なのは、あまりに勉強に偏り過ぎると、「勉強さえできれば他はおろそかになっても構わない」という気持ちに陥ることが多いということです(特に発達障害の子に多く見られる傾向です)。

 

実は、勉強をしている最中でも、子どもは子ども時代にしか得られない「貴重な体験」がたくさんあって、それを勉強と同時並行的に行う必要があります

 

小学生なら、低学年と高学年では友だちとのつき合い方が変わってきます。

そのため、年齢に応じたつき合い方を、実際場面を通じて学んでいかなければなりません。

そして、その時期に学んだことは、中学生や高校生になって果実となりりっぱに実っていきます。

 

信じられないかも知れませんが、成績が上がっても、のちのち他のことで大いに苦労するケースが後を絶ちません

具体的には、無気力や不安傾向、非行、不登校、ひきこもり等がそれに当たります。

そうなると、回復するまでに途方もない時間がかかってしまいます。

 

でも多くの人は、そんな先のことまで思いを寄せることができません。

このケースの問題点は、長い時間差があるため、どうなるのかという結果がなかなか見えないということです。

 

とにかく、1番手っ取り早くできることとして学習面に力を入れる、しかも学習面は点数という形で結果が見えやすい…。

逆に行動面の変容は、なかなか結果が見えにくいため、努力の仕方がよくわからない…

それが現実なのでしょう。

 

ときどき、「いやいやではなく本人もやる気があってやっている」という声が聞こえます。

それはもちろんよいことなのでしょう。

しかし、大人の励ましと相まって、ややもすると本人がのめり込み過ぎるケースも見られます。

そうなると、「やらせ過ぎ」と同じような結果になってしまいます。

大人は、「それくらいやれば十分だよ」とブレーキをかけることも必要になってくるでしょう。

 

努力していい高校に入ったものの、やがて不登校になり、家から一歩も出られなくなるというケースも見られます。

 

今をできるだけリラックスして過ごすこと、友だち関係を大事にすること、家の手伝いをどんどん行うこと…そうやってバランスよく過ごしていけば、子どもはいくつになっても情緒的に安定し、自分の力を存分に発揮できるように育つことでしょう。

 

がんばりすぎない、がんばらせすぎない…

今の困難な状況を勉強だけで切り抜けることには、十分に注意していきましょう。

2月もよろしくお願いいたします。

 

【発達支援教室 ビリーブ】

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