毎日子どもを見ていると、ついマイナス面に目がいってしまうことがあります。

「行動が遅い」「きちんと片付けられない」「くちゃくちゃ音を立てて食べる」など…。

 

どんな子でも気になるところはあるでしょう。

そして多くの大人は、よく指摘します。

目につくとつい口うるさく言ってしまうのです。

 

それでも、ちょっとした小言ならよいのですが、執拗に注意をしてしまうことも多々見らます。

叱っているうちに、だんだんと感情が高ぶってしまうのでしょう。

 

そのような叱られ方をしていると、ほとんどの子どもは叱られた中身よりも、「強く叱られた」ということが印象に残ってしまいます

何で叱られたのか、はよく覚えていないのです。

 

中国の故事『菜根譚』に、「責め立て過ぎない」という教えがありますが、人は責め立ててもさほど動かないと言われています。

 

特に発達障害や知的障害、境界知能の子どもにとっては、いっぺんに多くの情報を、強い調子で言われると、それを受け取ることができないのです。

そのため、大人は、自分の気持ちをうまくコントロールして、相手が受け入れられる範囲で、短めに説明することが求められるのです。

 

そして、この「叱り方」も大切ですが、もっと大事なことがあります。

それは、子どもは、その子の苦手な部分(凹)を修復するだけでは健全に育たない、ということです。

 

多くの大人は、子どもの短所に注目し、そこを改善すればよく育つと思いがちです。

前述の「くちゃくちゃ食べる」で言えば、静かに食べられるようになれば、以前よりもよい形で育っていると自己満足のように信じ込んでしまうのです。

 

もちろん、食事のマナーは改善されるのかも知れません。

でも考えてみてください。

くちゃくちゃ食べるのが直っても、食事中に小言を言われ続け、嫌な思いをしたことを子どもは決して忘れません。

 

そもそも食事は、子どもに限らず、誰にとっても楽しい場面の1つであるはずです。

食べながら、その日あったことを語り合い、美味しさを他者と味わうことで、対人関係やコミュニケーション、情緒面など多くのことを学ぶことができるのです。

 

大人はどうしても、子どもにしつけをしなければと考えてしまいます。

あるいは、自分が「くちゃくちゃ食べる」のを見ていられず、つい小言を言ってしまいます。

 

毎回の食事ごとに小言を言われたら、子どもはたまったものではないでしょう。

少し指摘するだけならよいのですが、往々にして、食事場面の小言は、毎回、執拗になりがちであり、それは食事時間を全く楽しくないものにしてしまうのです。

 

子育てで大事なことは、目についたことを次々に指摘し、1つ1つ修正するのではなく、もっと大らかに接することです。

その子のよいところを讃え、気になるところはある程度は大目に見る

そして、どうしても直した方がよいところだけ、子どもの負担にならない程度に、やんわりと指摘していく…。

 

それは、学習面でも同じです。

特定の教科が苦手な子どもに対し、長時間勉強を強いるのではなく、まずは得意な教科に時間をかけ、磨きをかけていく。

そうすると、その教科の成績は確実に上がっていき、他の教科もつられて上がっていきます。

 

もちろん、苦手な教科は苦手なままですが、それはそれで仕方ないと思います。

皆さんも、自分のことを振り返ってみればわかるのではないでしょうか。

理科が苦手で、もし毎日理科をやれと強いられたら、勉強自体嫌いになってしまうはずです。

 

ビリーブにも、得意不得意がはっきりしている子がたくさんいます。

そういう子には、とくかく得意な教科を磨いてもらい、これでもかと楽しんでもらいます

もし、苦手な教科も頑張れと言い、「全教科まんべんなく」を目指せば、得意な教科の成績も下がってしまうことでしょう。

 

人は、苦手なことを強いられると、自分の目指すことを諦めて、無気力になってしまうのです。

多くを求めず、まずはできることから始めていく。

しかも、あれもこれもと広げ過ぎない。

 

その方法が本人にとって1番楽であり、結局は最高のパフォーマンスへとつながっていくのだと思います。

 

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