最近では、発達障害など、発達に課題がある子どもの多くが通常の学級に在籍しています

 

その場合、「ただその場にいるだけ」ではあまり適正とは言えません。

一人ひとりの子どもにとって、その場がより合ったものになるためには、個別の配慮が必要となってきます。

 

通常学級のカリキュラムは多くの子にとって有効ですが、基本的にそれは、定型発達の子を対象に組まれています。

すなわち、境界知能(IQ70~85)の子や知能がとても高い子にとっては、必ずしも有効とは言えません。

 

カリキュラムが有効な割合は7割程度と言われています。

ということは、残り3割の子にとっては、今のカリキュラムをそのまま当てはめるのではなく、何らかの配慮が必要になってくるわけです。

 

ここで、担任の先生の立場に立って考えてみましょう。

 

一斉指導で国語や算数(数学)を教えることを大学等で学んだ先生にとって、一斉指導を行いつつ、個別の配慮も行うことは至難の業と言えるでしょう。

なぜなら、一斉指導と個別指導は性質の全く違うものであり、いわば真逆と言えるからです。

 

例えて言えば、短距離走の選手がマラソンも行うようなもの…。

つまり先生は、日々2つの違う価値観を行ったり来たりしなければならないわけです。

 

ちなみに、2つの価値観のはざまを揺れることを『両価性』といい、この両価性は統合失調症の症状の1つとも言われています

中には、一斉と個別を巧みに、柔軟に行う人もいますが、それが決して容易でないことを、私たちは押さえておかなければなりません。

つまり、合理的配慮というのは、それくらい難しいことが求められているわけです。

 

もちろん、実際の場面でできることはたくさんあります。

例えば、漢字などを書くのが苦手な子にタブレットの使用を許可すること。

 

ただし、子どもによっては「自分だけが使っているのは恥ずかしい」と感じることもあるでしょう。

その場合は、タブレットは使用せず「漢字がわからないときはひらがなで回答してもいいよ」と言ってあげることも大切です。

 

時々、「この子だけにそんなことはできません」「前例がありません」などと言って、配慮を断られることがあります。

日本の社会は同調圧力が強く、どうしても「人と違ったことはよくない」と考えがちです。

 

しかし、合理的配慮というもの自体、「人と違ったことをすること」ですから、そんな融通の利かない考えを持っていると、何の配慮もできなくなってしまいます。

 

ある弱視の子が、座席を前の方にして欲しいと先生に頼んだところ、先生から「みんなとじゃんけんをして、平等に決めて欲しい」と言われ困っていました。

そのとき、周りの友だちが先生には内緒で、じゃんけんをするふりをして、その子の席を前にしてくれました。

皆さんはこの話をどう思いますか。

 

視覚障害者の方が盲導犬と一緒にお店に入ろうとしたら、44%の方が受け入れを拒否されたという調査があります。

令和6年4月からは、合理的配慮が公的機関のみならず、民間を含めたすべての場で行われることが義務付けられています(令和3年「障害者差別解消法」改正)。

 

特に子どもの場合、困っている子がいたら、「他の子と同じに」など言わず、その子に合った配慮をすることは、大人としての最低限のモラルだと思うのですが…。

弱視の子が1番後ろの席に行くことが、果たして教育的と言えるのでしょうか。

 

ビリーブには毎週あちこちの学校から相談のお電話をいただいています。

その多くは合理的配慮につながるものです。

 

中には、特別支援教育に対し、あまり熱心でない先生もいるでしょう。

しかし、どんな場合でも先生を一方的に責めることはせず、まずは目の前の子どものために、何とかよりよい方策はないか、ちょっとした工夫はないかと一緒になって考えていくことが、今やるべきことなのではないでしょうか。

 

ちょっとした工夫ならそんなに難しくはありません

幸い、私たちはビリーブ等で数多くのケースを経験しており、何らかのお役に立てるのではないかと考えております。

 

今後も、子どもたちのために役立つことを心から願っています。

 

まだまだ暑い日が続いています。

9月もよろしくお願いいたします。

 

【発達支援教室 ビリーブ】

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