笑いの向こうに潜むもの | 桂米紫のブログ

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米朝一門の落語家、四代目桂米紫(かつらべいし)の、独り言であります。

「マルクス兄弟」が好きだ。

中でもハーポが大好きだ。

トーキー全盛期にありながら一言の台詞を発する事もなく、ありとあらゆる物をコートの下に忍ばせて、何でもかんでも食べてしまう。

今堕天使のような顔で女の子を追いかけ回していたかと思うと、次の瞬間には世界的腕前で、センチメンタルにハープを弾いたりもする。

八十年も前にハーポ・マルクスは、‘愛らしさ’と‘狂暴性’の両立をやってのけた。

そのシュールなギャップが、当時のアナーキスト達には大いにウケたそうだ。


マルクス兄弟の映画を観ていて、ひたすら馬鹿に暴れ回るスクリーンの中の彼らに、哀しくもないのにふと、涙が零れる時がある。

…道化に徹した笑顔が、どういう訳か涙を誘う。


笑いの向こうには、どうも‘何かが潜んでいる’気が、してならない。


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