PITTI UOMO ミラノショールーム 続報 2
ミラノのショールームめぐりで欠かせないのがSLOWEARのショールーム。
スローウェアはPITTI UOMOに出展していないので、その全貌を見ることができるのはこのミラノのショールームだけです。
オーダーは東京のショールームでするのですが、全体の傾向と打ち出しをチェックするには、フルコレクションが揃うこのショールームでのチェックは欠かせません。
ということで、毎度のごとくミラノのセンターからタクシーに乗って30分弱の倉庫街にあるショールームに今回も行ってきました。
しかし遠い・・・
今回のテーマはヴェネチアにあるBRANO島がテーマ。
カラフルな家が立ち並ぶブラ―ノ島がテーマなので、エントランスもこんな感じの絵が飾られています。
2年前に私が実際にブラーノ島に行った時に撮った画像がこちら。
カラフルに塗られた家が立ち並び、想像していた以上にキレイな街並みでした。
シーフードも絶品でした。
少しでいいと言ったのに3人でこの量・・・
食べきれませんでした。
ブラーノ島がテーマという事は、当然色が重要になります。
ディスプレイはこんな風に綺麗な色が打ち出されていました。
今回のPITTIやミラノのショールームを見ると、ブルー系やブラウン系、ホワイトやナチュラルなカラ―が主流だった今シーズンと比べると色が出てきているのは間違いない傾向ですが、これほど積極的に色が打ち出されていたのはスローウェアだけでした。
正しい打ち出しであるとは思いますが、取り入れるべき色とそうではない色があるというのも正直な印象です。
INCOTEX はプリーツ入りのベルトレスのサイドアジャスターのモデルを打ち出していました。
次の秋冬からBEAMSでも展開するモデルですが、更にバリエーションが増えていました。
多くのパンツブランドやスーツブランドが、このタイプのモデルをコレクションに入れていたので、来春夏は更に広がるのではないかと思います。
ウールだけでなくカジュアルな素材でも、このようなベルトレスのサイドアジャスターのモデルが増えているのも来春夏の傾向です。
私自身、サイドアジャスターのベルトレスのパンツは注目しているので、既に ”秋冬の買うべきモノ” リストに入っています。
BEAMS別注のホームスパンのサイドアジャスターです。
http://shop.beams.co.jp/item/beams_f/suit/21230344716/
シルエットは適度にゆとりがありながらもインコテックスらしい美脚シルエット。
ディティール、シルエット、生地、色、どれをとっても秋冬を象徴したようなモデルです。
このようなパンツを流行りモノと思う方もいると思いますが、80年代の中頃から90年代の初め頃の英国調ブームの時にBEAMS Fでも展開していたモデルなので、私にとってはリバイバルという印象が強いです。
ドレスクロージングの流れは ”英国調” なので、このようなパンツが出てくるのは自然な流れだと思います。
復活の兆しのあるカーゴパンツも展開していました。
INCOTEX SLACKS のラインで展開していたカーゴパンツとショーツ。
シルエットも素材も加工も良かったのですが、ちょっと高い・・・
4万円のカーゴパンツはバイイングする立場でもちょっと躊躇しますね。
BEAMSでも今シーズンGTAのBAYRONのカーゴ が人気でしたが、来春夏はカーゴパンツを復活させているサプライヤーも多いので要チェックアイテムだと思います。
数年前に流行った頃に比べるとシルエットが少し太くなっているのが傾向です。
プリーツの入ったカーゴパンツも多いので、シルエットに関しては普通のパンツと同じ流れだと言えます。
ほとんどのサプライヤーが展開していたと言っても過言ではないドローコード入りのパンツ。
インコテックスもかなり多くのバリエーションで展開していました。
さすがにインコテックスなので、ドローコード入りのパンツもキレイに上品に仕上げています。
今年の春夏も少し見られたドローコード入りのパンツですが、来春夏は本格的にパンツのトレンドとして広まりそうです。
以前のような太いシルエットのモノはほとんどなく、適度に余裕のあるテーパードシルエットにドローコードを入れたようなモデルが主流です。
素材もカジュアルなコットンやリネンだけでなく、ビジネスで穿けるようなトロピカルウールを使ったものも見られ、プリーツ入りやベルトループが付いてクリースをしっかり入れたようなモデルも存在します。
カジュアルスタイルはリラックス感が求められる反面、リラックスしすぎない事も求められているように感じます。
PITTIの会場でも数年前にはあれほどいたショーツスタイルをほとんど見なくなり、このようなパンツが多く提案されていることを考えても、カジュアルシーンでドローコード入りのパンツが重要になるのは間違いなさそうです。
ZANONEはレトロポロの提案が多かったです。
ご覧のように、例年に比べてバリエーションを増やして展開していました。
素材はザノーネの代名詞でもある ”ICE COTTON”
来春夏は ”ドライタッチ” が素材のトレンドでもあるので、多くのサプライヤーがドライな素材を打ち出していました。
ザノーネはアイスコットンをいち早く展開していたので、その先駆者とも言えますが、これだけドライタッチのニットやカットソーが増えると、逆に競合が増えてしまったと言うのが正直な印象です。
アイスコットンのポロは、数年前に購入した時は少し身幅が緩いなと感じたのですが、ピタピタすぎるタイトなシルエットから適度なスリムフィットという流れになってきたので、来春夏の流れを考えると ”絶妙なフィット” という事になります。
今シーズン、MEN’S EXの連載でも取り上げたレトロポロですが、来春夏は更に広がることは間違いないでしょう。
GRANSHIRTSは襟型のバリエーションが増えていました。
ご覧のようにラウンドカラ―のモデルを打ち出していました。
ドレスシャツと同様にカジュアルシャツもワイド一辺倒の流れに変化が見られます。
小ぶりのゼミワイド、ラウンド、ボタンダウンとバリエーションが増えているのは明らかな傾向です。
という事で、私も早速このシャツを購入しました。
秋冬の新入荷のBORZONELLAのデニムのラウンドカラ―。
http://shop.beams.co.jp/item/brilla_per_il_gusto/shirt/24111264395/
ドレスだけでなく、カジュアルでもラウンドカラ―が重要になることは昨年の10月のプレコレクションの時点で予想していたので、秋冬絶対に展開すべきシャツでした。
ですので、先週入荷してすぐに購入しました。(笑)
プルオーバーのBDも展開していました。
個人的にはかなり刺さったのですが、選べる生地のバリエーションが少なく、おまけに日本製の生地を使っているので値段が3万円以上・・・
ちょっと残念でした。
来年の春夏は久しぶりにプルオーバーのシャツが戻ってきそうです。
カプリシャツやバンドカラーのプルオバーは多くのサプライヤーから提案されていました。
プルオーバーのシャツは被って着なくてはならないので、必然的にボディーのフィットはゆるくなり、裾は出して着ることになります。
着たときの見た目もリラックス感があるので、来春夏の流れに合うシャツと言えます。
私も10年以上前に購入したアンナマトッツォのプルオーバーのシャツを最近クローゼットの奥から引っ張り出して着ています。
小ぶりのセミワイド、前立て付、プルオーバー、ロングスリーブ、まさに今の気分ですね。
来春夏の傾向のひとつに ”レトロ リゾート” という流れがあります。
リネンのシャツやプルオーバーのシャツ、ドローコードのパンツ、レトロポロ、シアサッカーのジャケットやパンツなど、歴史的に見ても過去に定番であったリゾート的なアイテムや素材が再注目されているのも来春夏の傾向です。
”行き過ぎたカジュアル化の反動 ” という事を何度も書いていますが、その反動はカジュアルスタイルにも見られます。
それは、カジュアルなスタイリングであっても”節度のある上品さ”のようなものが求められる流れになってきているという事です。
そういった意味では、スローウェアのコレクションは今の時代感に合っていますね。
そして、ドレス的なパンツが戻って来ていることもインコテックスにとっては追い風でしょう。
カジュアル全盛のころは彼らにとっては厳しい時代だったのではないかと思います。
正直その頃は自分もインコテックスのクリーンで上品なドレス顔のパンツは退屈に感じることがありました。
しかし、ドレススタイルが見直される中、インコテックスのような王道系?のパンツが再び見直されるのは自然の流れだと思います。
持ち上げたり落としたりと一貫性のないような話でしたが、それだけスローウェアのブランドには注目しているということです。
特にインコテックスは、この先の流れを考えてもパンツブランドとしては重要な位置づけになってくるのではないかと思います。
彼らにとっては厳しい時期もあったと思いますが、そんな時も軸をぶらすことなくやってきたことで、今また注目される存在になっているのではないかと思います。
20年以上この仕事をしているとサプライヤーの状況も良く見えてきます。
いま人気のあるブランドも近い将来厳しくなるだろうなという予想が意外と的中することが多いです。
そうならないように持ち上げるだけでなく、厳しいことも言うのです。
サプライヤーだけでなく日本の代理店の人たちとも随分やりあいました。(笑)
今の立場になっても言うべきことは言います。
洋服に対してはいつも真剣ですから。

































