12/03/11 DVD: thelonious monk straight no chaser | **コティの在庫部屋**

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「セロニアス・モンク ストレート・ノー・チェイサー」

Thelonious Monk Straight No Chaser


現在、時間がある時ナイトキャップのようにちびちびと読み進めている本があるのだが(読み終わるまで内緒w)、

読みながらふと、ああ私このDVD持ってたじゃん、と思い出して、仕事の片手間に再見してみる事に。

再見と言っても殆どがプレイの場面であるドキュメントタッチの作品なので、聞いて感じればそれでいいのだけどさ。


セロニアス・モンクと言えばまあ「ラウンド・ミッドナイト」なのよね私は。あれは名曲中の名曲よ。

だが、実はぶっちゃけ、モンクは余り得意ではないジャズ・ピアニスト^^;

でも、彼が凄いって事だけは解る。

この、ちょっと聞いただけでは不協和音にしか聞こえない軋んだ旋律が、実に見事に曲に仕上がって行く様は圧巻。

好き嫌いは別として、モンクを聞かずしてジャズは語れまい、といったところ。

だから、モンクからジャズに入るのはどうかとおもうけどw、ジャズに興味があったら一度は聞くべきだろうと思う。


しかしなあ。

ジャズってのはウイルスだね。

演奏する人間の心に巣食えば巣食う程、その人間がどれ程か人間として壊されて行くようで。

が、そうなればなる程に、プレイに磨きがかかるようで。

そして音楽家としての頂点を極めた後、文字通り転がり落ちるように、プレイヤーは朽ち果てて行く。

蝕まれれば蝕まれる程、毒牙にかかればかかる程、ジャズは味を深め、この世からは遠ざかる。

このパラドックスたるや。

今読んでる本もこの辺の感じが実によく描かれているので、DVDの内容と見事にマッチしてて解り易かった。


さて、ジャズと言えばこの方、クリント・イーストウッド御大ですが、

この映画ではエグゼクティブ・プロデューサーをつとめていらっしゃる。

個人的には「バード」よりも、こっちのが好きだったんだけど、今「バード」見るともしかしたらまた印象が変わるかもね。



さて皆さん、ワタクシがどうしてこのDVDを持っていたかと言いますとね、ワタクシの深い「愛」ゆえなのですよ。

ワタクシが愛していると公言して止まない俳優ベニシオ・デル・トロの出世作と言えば「ユージュアル・サスペクツ」ですが

デルトロ演じるフェンスター↓の台詞の中に"flip ya for real"ってのがあるのですよ。



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で、数年前のある時ネットを徘徊していたら、海外ページに「ユージュアル・サスペクツ」トリビア的なものがありまして

その中でこんなやり取りが(以下翻訳)。


「デルトロの台詞のflip ya for realって、セロニアス・モンクの『ストレート・ノー・チェイサー』から取られたってホント?」

「うん、そう思うよ。何処かのインタビューでデルトロも言ってた。ついでに言うと、あのキャラのもぐもぐした言い方は

ダスティン・ホフマンの演技にインスパイアされたらしいよ」


ワタクシが速攻でこのDVDを買いに走ったのは言うまでもありませんwww

ところで上のもぐもぐですが、モンクもかなりもぐもぐした話し方をするので、こっちにインスパイアされた可能性もあり。


さて、この台詞がドコに出てくるかというとですね、デルトロ=フェンスターはほぼ冒頭の取り調べの場面。

刑事に向かって「お前らの事なんて引きちぎってやるぜ」(字幕参照)的な脅しの文句として使っていますw

モンクは相当後、1時間7分を少し過ぎた辺りで確かに言ってます、flip ya for realって。

ただし字幕は「狂っちまうぜ」となっていて、まあ、これはいろんな風に意訳が出来る言葉なのかなと。

で、調べてみた。

flipにはアメリカ俗語として「~を狂わせる」というのがあるから、モンクのはこれだろうね。

でね、驚いた事にもういっこアメリカ俗語で「~を熱中させる」ってのがあるのよ。

実はさあ、ユージュアルのフェンスターとマクマナスはreally tiedな関係にある事になってて(深いか浅いかは謎)、

あの映画ではそういう、男同士の何やらな感じの台詞も(からかいの意味でね)よく出てくるから、そう考えると、

「お前らのが俺に夢中になっちまうんじゃねえの?」的な意味にも取れなくもないって事が今回判明。うおおすげえ。

うううーん、何年経っても発見がある映画だなあ、ユージュアル・サスペクツ!!!



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fensterと検索したら出てきた猫。そういう名前らしい。

猫と言えば、モンクにも所縁の動物。偶然だけど。



モンクがくるくると、くるくると回る。

この世から「本当に弾かれる」(flip me for real)のを免れようとして。

けれど、ジャズはモンクを侵食し続ける。

くるくる、くるくると。


*****


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