何度か書いてはいるけど、
おいらは石川県金沢市に住んでいた。
28歳から36歳まで、7年半。
決して短い間ではない。
故に、いろんなことがあった。
家族3人帯同の転勤で引っ越した事。
転勤後、一年半で離婚した事。
その3年後には、
会社も辞めてしまった事。
以降、引っ越し屋に転職し2年程勤め
楽しくやっていたけど、父親の病気をきっかけに
神奈川県平塚市に帰って来た事。
おいらにとっての金沢は、
なんかの歌ではないけれど、本当に
「何も、良いことが、なかった、この街」
のはずだった。
でも、帰って来てから9年が過ぎ、
来年2月で10年が経過する今。
もう、あの金沢で
おいらの事を覚えている人も殆ど居ないだろう。
懇意にしてくれていた人とも
連絡を取らなくなって久しい。
元々、縁もゆかりも無い土地だから
これは、当たり前の事なのだけど。
去る者は、日々に疎し
まさに、その通りなのだが、
この、寒くなり始める時期になると
その金沢が、ひどく懐かしく感じられる。
郷愁にも近い気持ちが心に広がって
無性にあの場所に、金沢に、
帰りたくなる。
自分ちがある訳じゃないから
「帰りたくなる」という表現は
適当ではないのかも、知れないけれど。
「何も、良いことが、なかった、この街」
なんて、厭世ぶってみても
思い出すのは、なぜだか楽しかった事ばかり。
俺は多分、金沢が好きだった。
夏は暑く、冬は天候荒れ放題。
気候が良いのは、春・秋の僅かな間。
言葉‥‥金沢の方言は、関西のそれとも異なって
難解で、決してきれいな言葉とは言えない。
あとどこでも同じなんだけと、
排他的で、余所者に冷たい傾向が払拭出来ない。
それでも
楽しかった事しか、
覚えてないんだよな。
良い奴の、良い事しか、
覚えてないんだよな。
11月も末になれば、
もう雪が降る事もある金沢‥‥
香林坊・大和前のバス停で
夜空から舞い降りる白い結晶に
切なくて涙した金沢‥‥
バラバラと豪音と共に
道が、街が、数分でまっ白になる金沢‥‥
急がないよ。でも生きてる間に、
必ずもう一度、
金沢に、帰ろう。
ひろひこ
(^ω^;)(;^ω^)